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CASE11 心の中

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『おはよう、アゲハ。久しぶりねぇ……会いたかったわ』


視線がドアの方に向けると花将軍と白衣を着た男の人が入ってきた。

さっきまでアゲハは部屋を色々調べていたけどドアは開かなかったから……やっぱりこうなるって予感がしていた。



『………ここはどこだ』


普段とは違う冷たい声で、明らかに敵意を剥き出しなアゲハ。

だけど、花将軍はそれすらも嬉しそうな顔でアゲハを見ていた。


『秘密の部屋よ。レジスタンスには絶対に見つからない場所……だから残念。誰も助けには来ないわよ?』



「俺たちには見つけられない場所……」


今の言葉を聞いてギルバートさんが呟いた。

色々考えているんだろうけど、アゲハの記憶はどんどん流れていく……。



『俺に何をした?なんで今こうして……』


『こうして普通に生きていられるか?って質問??それは簡単よ?光の魔法使いを使ってアゲハと私の奴隷を繋げたの……ちょっと細工はしたわ。だから、アゲハが死ぬ時は私の奴隷が全て死ぬ時。頭のいいアゲハなら…意味、分かるでしょ?』


【俺と奴隷を繋げた………って、身体の弱さをカバーしたのは核の力で………核と同じだけの力をただの人から得て俺は今生きている……?】


『つまり、奴隷が死ねば俺も死ぬ。俺が死ねば奴隷は生きられる』


『んー…惜しいっ!!アゲハは死ねないわよ?死にたくても死ねない……あなたと繋がっている命の中で最優先をあなたにしてあるの。ただね、あなたが受ける痛みや苦しみはあなたと奴隷が共有する……奴隷も順番に繋がっているわ。1が死ねば次に死ぬのは2……』


花将軍の説明、だいぶ難しいけど……

ようはアゲハとスーが前にシンクロを繋げて、スーがめっちゃ魔法を使えたあの時と同じなんだよね?

ただ、あれって同意がなきゃダメだったよね……?


光の線みたいなのも見えないし……?



『俺が寝てる間にやったんだな?誰かと繋がっている感覚がない』


『もちろん。私と私の可愛い新人類くんのおかげっ!!それより、、自分の立場、よぉーく分かったわね?』


目の前には花将軍のドアップの顔。

すっごく、嬉しそう。


『俺が逃げてもいずれ繋がった人たちの命が終わって俺も死ぬ。俺が逆らえばあんたは誰かを殺す。俺が死のうとすれば繋がった人が死んで、痛みは繋がった人と俺が共有する。で、あってるだろ?』


【………想像以上に、サイアクだよ。繋がっている人……本当にごめんなさい。なるべく静かに生きていれば……きっと、迷惑をかけないはず、、】



感情を感じない声の裏、心の中では心底申し訳なさそうに謝っていた。


『そう……アゲハはお利口さんね。そういうところが大好きよ。それにしても……』


急に表情を変えた花将軍は

アゲハに手を伸ばして服を掴んだ。


右手には……ナイフ。


ナイフで胸の辺りの服を裂いて、それから笑った。


『確か……エドガーだったかしら?火炎使いの魔法使い。彼がやったの?せっかくの私の印を消すなんて……』


ペタリと胸に手をあててて……見てる私からしたらただただ気持ち悪い。


【なんで……エドガーの名前を知ってる?エドガーは最近まで破壊者に潜入していたのに……】


考え事をしているアゲハは花将軍の言葉には返事はしなかったけど

気にした様子はなくて、両手をアゲハの顔に添えた。



『例え証を消してもアゲハは私の奴隷よ。逃げ出しても連れ戻す……今回のようにね。あなたは私の所有物』


『俺に触るな……気持ち悪い』


抑揚のない声で反論したけど、たぶん、花将軍はアゲハの強がりだって分かっているみたい。

アゲハの顔の前でクスクス笑ってから、、いきなりアゲハの顔に白い布を押し当てた。


【あまい……はな、の、、におい………】



アゲハが意識を失いかけているのか映像が波打って、、フッと消えた。



「こうやってアゲハは生きていられた訳か……」


まだ序の口にすぎない内容なんだけど、すでに私も他のみんなも重い気持ちになっている。


「続きは……こっち?」


だけど、何か分かるかもしれない。


レジスタンスにとって有益な情報

アゲハ自身の事


私は知りたいから、続きを見ることを選んだ。
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