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CASE10 傷痕

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「空は、ちょっとは良くなった?」


レオンたちが部屋を出てから急に聞かれたんだけど

私より自分を心配して?って感じなんだけど……。


ベッドから出ようとしないで気まずそうに俯いたまま聞いてくるんだもん。


「だいぶ元気。ってか本当にごめんね?本当は痛み止めとか早くほしかったよね?」


「空が謝ることじゃない……。薬を一人で飲めない、俺が悪い」


そうかもしれないけど。

だけど、花将軍のところで医者に嫌な事をされたばかりのアゲハにとっては、医者が処方する薬すら怖いって感じるのは当然だよ。

もしかしたら水とか食べ物も……なにか入れられたりしてたのかもしれないし。

だから、警戒しているのかもしれない。


「アゲハは悪くないって。落ち着いたら一緒に行こう?」


「……うん、」


アゲハの返事……だいぶ嫌そうだった。



「エドガーと二人で何話したの?」


「特になにも、、俺が変な夢見て飛び起きたら背中さすってくれたくらい」


「全く会話なし?」


「俺が話できる状態じゃないもん、、」


「じゃあ今は話せるまで回復して良かったね」


薬が効いてきたのか、普通に会話できるようになってきたけど

ここまでくるのに30分はかかった。


私は急がないからいいけどさ、エドガーたちが夕飯待ってるよね?

ちょっと可哀想かもしれない。



「そろそろ夕飯にしよっか?」


「………うん、そうしよう」



返事はずいぶん悩んでからだったけど、ゆっくりとベッドから起き上がった。


お腹の傷が痛むのか、たまに顔を歪めながらゆっくり歩いて、途中で立ち止まった。


「顔洗ってから行きたいから、先に行ってて?」


そう言われたから先に一人でリビングに言ったら、エドガーとレオン……それにゼロさんも座って待っていた。


「ゼロさん、お疲れ様です」


三人の空気感が重すぎてヤバかったけど、私の登場に一斉に顔を向けて、エドガーは無理矢理笑顔を向けてくれた。


「アゲハは?」


「顔を洗ったら来るって」


私の一言にパッと空気が明るくなって、エドガーとレオンは立ち上がった。


「椅子足りねぇから持ってくる!」


「私は鍋を温めなおすよ!」


元気よく動き出した二人。

あまりに切り替えが早くてポカンとしていたら、ゼロさんに座れって合図された。


取り敢えず、ゼロさんの目の前に座ったけど………


「なんか、嬉しそうだね」


「は?別に嬉しくなんかねーよ」


そう言ってフイッと顔をそらしたけど、表情筋緩みまくり。


ゼロさんってそういう所が面白いよなぁって思う。

だからアゲハもたまにイジっていたんだと思う。


「アイツ……を、理解しきれないみたいだって、、エドガーが落ち込んでる」


「それって私がアゲハの薬とか気づいたから?」


「そう。エドガーも薬を勧めたり水飲ませようとしたけど嫌がれたんだってさ。でもソラがやればあっさり薬を飲んだって言ってたぜ?」


全く会話なしじゃないじゃん……。

アゲハがパニクってて覚えていないのか、隠しているだけなのか……。


「薬だって全部飲んだ訳じゃないよ。水も……エドガーだからダメじゃなくてちゃんと理由あるんだよ」


「ふーん……じゃあ説明してやってくれ。エドガーが落ち込みすぎて不憫だった」


どんだけ落ち込んでいたの、エドガーは。


「ほら!ソラもアゲハも万全じゃないからね。今夜はおかゆにしたよ!」


満面の笑みで大量のおかゆが入った鍋を持ってきたエドガーからは落ち込み具合が想像できないよ。

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