186 / 342
CASE10 傷痕
15
しおりを挟む
「よし、寝よう?あんまり寝てないから辛いでしょ?」
私がベッドの中にもぞもぞ入り込んだけど、アゲハは動こうとしなかった。
「電気消すね?」
当たり前みたいにリモコン持って部屋の明かりを消そうとしてるけどさ
布団被りなさいよ、アゲハもさぁ。
「消すの待って。アゲハは寝ないの?」
横になって見上げると、泣きそうな顔をしていて
「寝たくても、寝れないよ………夢見るから、、怖くて、、」
「だから一緒に寝るんでしょ?怖い夢を見たら私を起こしたらいいよ。そうしたら、こっちが現実だよってずっと言うから。
熱も下がってないし怪我もしててボロボロなんだから。ちゃんと横になって安静にしなさい」
私の言葉に小さく「分かった」って言って、明かりを消してからちゃんとベッドの中に入ってきた。
暗闇に目が慣れてくるとアゲハも横向きでジッと私を見ていたからなんか変な感じで。
手を伸ばして頭をポンポン撫でて、そのまま背中に腕を回した。
「怖い夢を見たら私を起こして。約束だよ?」
「………うん、ありがとう」
アゲハの胸の辺りに私の顔があって
心臓の鼓動が聞こえる。
変に早くないし、一定のリズムで聞こえるから、、きっと今は落ち着いてるね。
「今日みたいに一人で我慢したらダメだからね?」
「………たぶんね、前より酷いよ?」
アゲハの言う前って……エドガーの隠れ家にいた時の事を指しているのかな?
「いいんじゃない?辛い、苦しい、悲しいって感情は、一人で溜め込んだら駄目なヤツだよ」
「………そういう感情が一気に溢れ出ても許してね」
「私、それくらいじゃ怒らないって……」
だけど……大丈夫かな?私。
結局疲れはとれないし寝不足だし微熱だし……。
再び寝不足だと明日、平気かな?
フラフラになってそう……。
「おやすみ」って私が言うより先にアゲハの方が寝たみたい。
心配だし、狭いし、なんか頭痛いしで
私の方が寝付けなくてしばらく起きてた。
しばらくするとアゲハの心臓の鼓動が妙に早くなって、息も荒くなって
私の背中に手を回して自分の方へ引き寄せた。
「大丈夫……?」
「おこして……ごめんね、」
力のない声で謝られたけど、そもそも寝てないからね?
「起きてたから気にしないで?それに、怖い夢を見たら起こしてって言ったでしょ?」
「うん……ごめん、、」
「ごめんよりありがとうにしてよ。落ち着いたら、また寝よう?」
それからも何度も起きたけど、騒いだり暴れたりはなかった。
だけど、何かに怯えながら何度も今いる場所や私の存在を確認していた。
「あの女が迎えに来る」「逃げられない」「戻りたくない」……って、うわ言のように言って泣いていた。
朝日が昇って部屋が明るくなりはじめた頃。
アゲハが何度目かの眠りについて、私も寝ようとしたら部屋をノックする小さな音がして、そっと扉を開ける音が聞こえた。
なんとなく……静かにドアを開けたりできるのはエドガーな気がしたけど体勢的に振り向くのは無理。
覗きこむのは分かっていたから目を開けて視線だけ天井の方を向けたら
覗きこむのはやっぱりエドガー。
「うわっ……!」
私を見て言われた言葉、この一言って……。
「……起きていたのか、ソラは」
「おはよう、エドガー………体勢的に動けないんだよ」
私は抱き枕か!?ってくらいガッチリ掴まれているからね。
スッと伸びてきたエドガーの手はアゲハのおでこを触って、それから目元を拭いていた。
「まだ熱が高いみたいだ……それに、二人共あまり眠れていないのかな?」
「そんなところ。アゲハは今さっきまた寝たよ」
「そうか……起きたら伝えないといけないね。今日は医者に診せる話」
「うん……まだ言えてない」
昨日みたいに「嫌だ」って言うだろうな……。
でも、ちゃんと治療しないと……つけたままの包帯とか衛生的にもやばそうだし。
ってかやっぱ私が伝えるんだよね?医者に診せるよって……。
駄目だ、眠くて頭、回らない……。
いい言い方が、思い付かないよ。
「ソラも少し眠りなさい。私もしばらくここにいる……。アゲハがうなされるようなら私が対処するから」
エドガーにどうこうできるのかな?って思いながら
私も何度目かの眠りについた。
私がベッドの中にもぞもぞ入り込んだけど、アゲハは動こうとしなかった。
「電気消すね?」
当たり前みたいにリモコン持って部屋の明かりを消そうとしてるけどさ
布団被りなさいよ、アゲハもさぁ。
「消すの待って。アゲハは寝ないの?」
横になって見上げると、泣きそうな顔をしていて
「寝たくても、寝れないよ………夢見るから、、怖くて、、」
「だから一緒に寝るんでしょ?怖い夢を見たら私を起こしたらいいよ。そうしたら、こっちが現実だよってずっと言うから。
熱も下がってないし怪我もしててボロボロなんだから。ちゃんと横になって安静にしなさい」
私の言葉に小さく「分かった」って言って、明かりを消してからちゃんとベッドの中に入ってきた。
暗闇に目が慣れてくるとアゲハも横向きでジッと私を見ていたからなんか変な感じで。
手を伸ばして頭をポンポン撫でて、そのまま背中に腕を回した。
「怖い夢を見たら私を起こして。約束だよ?」
「………うん、ありがとう」
アゲハの胸の辺りに私の顔があって
心臓の鼓動が聞こえる。
変に早くないし、一定のリズムで聞こえるから、、きっと今は落ち着いてるね。
「今日みたいに一人で我慢したらダメだからね?」
「………たぶんね、前より酷いよ?」
アゲハの言う前って……エドガーの隠れ家にいた時の事を指しているのかな?
「いいんじゃない?辛い、苦しい、悲しいって感情は、一人で溜め込んだら駄目なヤツだよ」
「………そういう感情が一気に溢れ出ても許してね」
「私、それくらいじゃ怒らないって……」
だけど……大丈夫かな?私。
結局疲れはとれないし寝不足だし微熱だし……。
再び寝不足だと明日、平気かな?
フラフラになってそう……。
「おやすみ」って私が言うより先にアゲハの方が寝たみたい。
心配だし、狭いし、なんか頭痛いしで
私の方が寝付けなくてしばらく起きてた。
しばらくするとアゲハの心臓の鼓動が妙に早くなって、息も荒くなって
私の背中に手を回して自分の方へ引き寄せた。
「大丈夫……?」
「おこして……ごめんね、」
力のない声で謝られたけど、そもそも寝てないからね?
「起きてたから気にしないで?それに、怖い夢を見たら起こしてって言ったでしょ?」
「うん……ごめん、、」
「ごめんよりありがとうにしてよ。落ち着いたら、また寝よう?」
それからも何度も起きたけど、騒いだり暴れたりはなかった。
だけど、何かに怯えながら何度も今いる場所や私の存在を確認していた。
「あの女が迎えに来る」「逃げられない」「戻りたくない」……って、うわ言のように言って泣いていた。
朝日が昇って部屋が明るくなりはじめた頃。
アゲハが何度目かの眠りについて、私も寝ようとしたら部屋をノックする小さな音がして、そっと扉を開ける音が聞こえた。
なんとなく……静かにドアを開けたりできるのはエドガーな気がしたけど体勢的に振り向くのは無理。
覗きこむのは分かっていたから目を開けて視線だけ天井の方を向けたら
覗きこむのはやっぱりエドガー。
「うわっ……!」
私を見て言われた言葉、この一言って……。
「……起きていたのか、ソラは」
「おはよう、エドガー………体勢的に動けないんだよ」
私は抱き枕か!?ってくらいガッチリ掴まれているからね。
スッと伸びてきたエドガーの手はアゲハのおでこを触って、それから目元を拭いていた。
「まだ熱が高いみたいだ……それに、二人共あまり眠れていないのかな?」
「そんなところ。アゲハは今さっきまた寝たよ」
「そうか……起きたら伝えないといけないね。今日は医者に診せる話」
「うん……まだ言えてない」
昨日みたいに「嫌だ」って言うだろうな……。
でも、ちゃんと治療しないと……つけたままの包帯とか衛生的にもやばそうだし。
ってかやっぱ私が伝えるんだよね?医者に診せるよって……。
駄目だ、眠くて頭、回らない……。
いい言い方が、思い付かないよ。
「ソラも少し眠りなさい。私もしばらくここにいる……。アゲハがうなされるようなら私が対処するから」
エドガーにどうこうできるのかな?って思いながら
私も何度目かの眠りについた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
虐げられた令嬢、ペネロペの場合
キムラましゅろう
ファンタジー
ペネロペは世に言う虐げられた令嬢だ。
幼い頃に母を亡くし、突然やってきた継母とその後生まれた異母妹にこき使われる毎日。
父は無関心。洋服は使用人と同じくお仕着せしか持っていない。
まぁ元々婚約者はいないから異母妹に横取りされる事はないけれど。
可哀想なペネロペ。でもきっといつか、彼女にもここから救い出してくれる運命の王子様が……なんて現れるわけないし、現れなくてもいいとペネロペは思っていた。何故なら彼女はちっとも困っていなかったから。
1話完結のショートショートです。
虐げられた令嬢達も裏でちゃっかり仕返しをしていて欲しい……
という願望から生まれたお話です。
ゆるゆる設定なのでゆるゆるとお読みいただければ幸いです。
R15は念のため。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
大好きだったあなたはもう、嫌悪と恐怖の対象でしかありません。
ふまさ
恋愛
「──お前のこと、本当はずっと嫌いだったよ」
「……ジャスパー?」
「いっつもいっつも。金魚の糞みたいにおれの後をついてきてさ。鬱陶しいったらなかった。お前が公爵令嬢じゃなかったら、おれが嫡男だったら、絶対に相手になんかしなかった」
マリーの目が絶望に見開かれる。ジャスパーとは小さな頃からの付き合いだったが、いつだってジャスパーは優しかった。なのに。
「楽な暮らしができるから、仕方なく優しくしてやってただけなのに。余計なことしやがって。おれの不貞行為をお前が親に言い付けでもしたら、どうなるか。ったく」
続けて吐かれた科白に、マリーは愕然とした。
「こうなった以上、殺すしかないじゃないか。面倒かけさせやがって」
義妹がピンク色の髪をしています
ゆーぞー
ファンタジー
彼女を見て思い出した。私には前世の記憶がある。そしてピンク色の髪の少女が妹としてやって来た。ヤバい、うちは男爵。でも貧乏だから王族も通うような学校には行けないよね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる