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CASE10 傷痕

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結局、アゲハを除く三人でご飯を食べたんだけど、みんなが心配しているのはアゲハの事。


「あの子は頑固な面もあるからねぇ……出会った頃も私たちと距離を保ったまま、自ら近づこうとはしなかった」


「あー……確かに。まぁあの時は俺以外全員がアゲハと距離を置いてたって。結局あの時はエドガーから近づいたんだっけ?」


「そうそう。夜中に目が覚めたらアゲハが一人で起きててね。だから話し相手になってもらったんだが……話してみたらいい子なんだってすぐに分かって……それから長い時間を共有したつもりだけど、今みたいな姿は見たことがない」


「元気よく『もう大丈夫!』なんてノリでもヤバいヤツだ…って思うけど、今みたいな状態だとアイツの地雷踏むのがこえぇよ!」


二人の会話を聞いているとさ

これ、本人に聞かせたら喜ぶんじゃない?って思うよ。


内容はアレだけど、さっきから二人はようは心配してますって話なんだもん。


「ソラもちょっとやらかしたよな?」


「え?どういう意味?」


「だから、アゲハの地雷踏んだって意味。隣の部屋までよく話し声が聞こえてたぜ?」


………盗聴してたのか?レオンは。

アゲハの部屋の隣、私の部屋だよ?


レオンの部屋じゃ、ないよ??



「ちょっと引くわ。盗聴??」


「あっ!!いやっ、違うんだ!!ホラッ!アイツの様子が心配でさぁっ、」


慌ててるレオンが面白かったし、まぁ別に怒ってるわけじゃないよ?

レオンがこんなに心配してるのにね。

アゲハに伝わるといいねって、思ったよ。



「よしっ!じゃあ私はそろそろ寝るよ!また明日ねぇ!!」


元気よく二人に挨拶をして

寝る支度をして、アゲハの部屋に戻ろうとして……思い出した。



バタバタと一階に戻ると二人がちょっと暗い顔をしながらお酒を飲んでて

私が来たことに驚いていた。




「二人にね、お願いがあるんだ」





**********





重いの持てないし、みんなもアゲハの様子は気にしていたし。


って事でたくさんの水とコップ、それから身体を拭く用のタオルと水桶を持って三人でアゲハの部屋の前まで来た。

二人はちょっと顔が引きつってる。



「………入ってキレるか、シカトされるかの二択だな」


レオンがそう言ってから私に合図して、部屋をノックした。


「空だよ、入るよ?」


部屋のドアを開けたら、さっきと変わらず膝を抱えて丸くなっていたけど、ゆっくり顔をあげてくれた。


「……また、来てくれたの?」


「そういう約束でしょ?って事でテーブルの上に置いてくれるかな?」


私がドアの先にいるレオンたちに声をかけたら二人は恐る恐る入ってきて

アゲハを見たら慌てて顔を背けていた。


「ここでいいか?」


「うん、ありがとう。持ちきれなかったから助かったよ」


二人は持ってきた物をテーブルに置いてからアゲハの方をしばらく見て

それから、落ちたままだった点滴を回収してくれた。



「じゃあ二人共、また明日」


「おやすみ~、ソラ、アゲハ!」



「おやすみ、起きなかったら起こしに来てね」



二人が出ていってからようやくアゲハがこっちを向いてくれた。

どんだけ二人と顔を合わせるのが気まずいんだよ……。

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