184 / 342
CASE10 傷痕
13
しおりを挟む
結局、アゲハを除く三人でご飯を食べたんだけど、みんなが心配しているのはアゲハの事。
「あの子は頑固な面もあるからねぇ……出会った頃も私たちと距離を保ったまま、自ら近づこうとはしなかった」
「あー……確かに。まぁあの時は俺以外全員がアゲハと距離を置いてたって。結局あの時はエドガーから近づいたんだっけ?」
「そうそう。夜中に目が覚めたらアゲハが一人で起きててね。だから話し相手になってもらったんだが……話してみたらいい子なんだってすぐに分かって……それから長い時間を共有したつもりだけど、今みたいな姿は見たことがない」
「元気よく『もう大丈夫!』なんてノリでもヤバいヤツだ…って思うけど、今みたいな状態だとアイツの地雷踏むのがこえぇよ!」
二人の会話を聞いているとさ
これ、本人に聞かせたら喜ぶんじゃない?って思うよ。
内容はアレだけど、さっきから二人はようは心配してますって話なんだもん。
「ソラもちょっとやらかしたよな?」
「え?どういう意味?」
「だから、アゲハの地雷踏んだって意味。隣の部屋までよく話し声が聞こえてたぜ?」
………盗聴してたのか?レオンは。
アゲハの部屋の隣、私の部屋だよ?
レオンの部屋じゃ、ないよ??
「ちょっと引くわ。盗聴??」
「あっ!!いやっ、違うんだ!!ホラッ!アイツの様子が心配でさぁっ、」
慌ててるレオンが面白かったし、まぁ別に怒ってるわけじゃないよ?
レオンがこんなに心配してるのにね。
アゲハに伝わるといいねって、思ったよ。
「よしっ!じゃあ私はそろそろ寝るよ!また明日ねぇ!!」
元気よく二人に挨拶をして
寝る支度をして、アゲハの部屋に戻ろうとして……思い出した。
バタバタと一階に戻ると二人がちょっと暗い顔をしながらお酒を飲んでて
私が来たことに驚いていた。
「二人にね、お願いがあるんだ」
**********
重いの持てないし、みんなもアゲハの様子は気にしていたし。
って事でたくさんの水とコップ、それから身体を拭く用のタオルと水桶を持って三人でアゲハの部屋の前まで来た。
二人はちょっと顔が引きつってる。
「………入ってキレるか、シカトされるかの二択だな」
レオンがそう言ってから私に合図して、部屋をノックした。
「空だよ、入るよ?」
部屋のドアを開けたら、さっきと変わらず膝を抱えて丸くなっていたけど、ゆっくり顔をあげてくれた。
「……また、来てくれたの?」
「そういう約束でしょ?って事でテーブルの上に置いてくれるかな?」
私がドアの先にいるレオンたちに声をかけたら二人は恐る恐る入ってきて
アゲハを見たら慌てて顔を背けていた。
「ここでいいか?」
「うん、ありがとう。持ちきれなかったから助かったよ」
二人は持ってきた物をテーブルに置いてからアゲハの方をしばらく見て
それから、落ちたままだった点滴を回収してくれた。
「じゃあ二人共、また明日」
「おやすみ~、ソラ、アゲハ!」
「おやすみ、起きなかったら起こしに来てね」
二人が出ていってからようやくアゲハがこっちを向いてくれた。
どんだけ二人と顔を合わせるのが気まずいんだよ……。
「あの子は頑固な面もあるからねぇ……出会った頃も私たちと距離を保ったまま、自ら近づこうとはしなかった」
「あー……確かに。まぁあの時は俺以外全員がアゲハと距離を置いてたって。結局あの時はエドガーから近づいたんだっけ?」
「そうそう。夜中に目が覚めたらアゲハが一人で起きててね。だから話し相手になってもらったんだが……話してみたらいい子なんだってすぐに分かって……それから長い時間を共有したつもりだけど、今みたいな姿は見たことがない」
「元気よく『もう大丈夫!』なんてノリでもヤバいヤツだ…って思うけど、今みたいな状態だとアイツの地雷踏むのがこえぇよ!」
二人の会話を聞いているとさ
これ、本人に聞かせたら喜ぶんじゃない?って思うよ。
内容はアレだけど、さっきから二人はようは心配してますって話なんだもん。
「ソラもちょっとやらかしたよな?」
「え?どういう意味?」
「だから、アゲハの地雷踏んだって意味。隣の部屋までよく話し声が聞こえてたぜ?」
………盗聴してたのか?レオンは。
アゲハの部屋の隣、私の部屋だよ?
レオンの部屋じゃ、ないよ??
「ちょっと引くわ。盗聴??」
「あっ!!いやっ、違うんだ!!ホラッ!アイツの様子が心配でさぁっ、」
慌ててるレオンが面白かったし、まぁ別に怒ってるわけじゃないよ?
レオンがこんなに心配してるのにね。
アゲハに伝わるといいねって、思ったよ。
「よしっ!じゃあ私はそろそろ寝るよ!また明日ねぇ!!」
元気よく二人に挨拶をして
寝る支度をして、アゲハの部屋に戻ろうとして……思い出した。
バタバタと一階に戻ると二人がちょっと暗い顔をしながらお酒を飲んでて
私が来たことに驚いていた。
「二人にね、お願いがあるんだ」
**********
重いの持てないし、みんなもアゲハの様子は気にしていたし。
って事でたくさんの水とコップ、それから身体を拭く用のタオルと水桶を持って三人でアゲハの部屋の前まで来た。
二人はちょっと顔が引きつってる。
「………入ってキレるか、シカトされるかの二択だな」
レオンがそう言ってから私に合図して、部屋をノックした。
「空だよ、入るよ?」
部屋のドアを開けたら、さっきと変わらず膝を抱えて丸くなっていたけど、ゆっくり顔をあげてくれた。
「……また、来てくれたの?」
「そういう約束でしょ?って事でテーブルの上に置いてくれるかな?」
私がドアの先にいるレオンたちに声をかけたら二人は恐る恐る入ってきて
アゲハを見たら慌てて顔を背けていた。
「ここでいいか?」
「うん、ありがとう。持ちきれなかったから助かったよ」
二人は持ってきた物をテーブルに置いてからアゲハの方をしばらく見て
それから、落ちたままだった点滴を回収してくれた。
「じゃあ二人共、また明日」
「おやすみ~、ソラ、アゲハ!」
「おやすみ、起きなかったら起こしに来てね」
二人が出ていってからようやくアゲハがこっちを向いてくれた。
どんだけ二人と顔を合わせるのが気まずいんだよ……。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
社畜探索者〜紅蓮の王と異界迷宮と配信者〜
代永 並木
ファンタジー
井坂蓮二、23歳 日々サービス残業を繰り返し連続出勤更新し続け精神が疲弊しても働き続ける社畜
ふと残業帰りにダンジョンと呼ばれる物を見つけた
ダンジョンとは10年ほど前に突如現れた謎の迷宮、魔物と呼ばれる存在が闊歩する危険なダンジョンの内部には科学では再現不可能とされるアイテムが眠っている
ダンジョンが現れた影響で人々の中に異能と呼ばれる力を得た者が現れた
夢か金か、探索者と呼ばれる人々が日々ダンジョンに挑んでいる
社畜の蓮二には関係の無い話であったが疲れ果てた蓮二は何をとち狂ったのか市販の剣(10万)を持ってダンジョンに潜り己の異能を解放する
それも3等級と呼ばれる探索者の最高峰が挑む高難易度のダンジョンに
偶然危機に瀕していた探索系配信者竜胆天音を助け社畜の傍ら配信の手伝いをする事に
配信者や異能者に出会いながら探索者として活躍していく
現2章
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
終焉の謳い手~破壊の騎士と旋律の戦姫~
柚月 ひなた
ファンタジー
理想郷≪アルカディア≫と名付けられた世界。
世界は紛争や魔獣の出現など、多くの問題を抱え混沌としていた。
そんな世界で、破壊の力を宿す騎士ルーカスは、旋律の戦姫イリアと出会う。
彼女は歌で魔術の奇跡を体現する詠唱士≪コラール≫。過去にルーカスを絶望から救った恩人だ。
だが、再会したイリアは記憶喪失でルーカスを覚えていなかった。
原因は呪詛。記憶がない不安と呪詛に苦しむ彼女にルーカスは「この名に懸けて誓おう。君を助け、君の力になると——」と、騎士の誓いを贈り奮い立つ。
かくして、ルーカスとイリアは仲間達と共に様々な問題と陰謀に立ち向かって行くが、やがて逃れ得ぬ宿命を知り、選択を迫られる。
何を救う為、何を犠牲にするのか——。
これは剣と魔法、歌と愛で紡ぐ、終焉と救済の物語。
ダークでスイートなバトルロマンスファンタジー、開幕。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
呪う一族の娘は呪われ壊れた家の元住人と共に
焼魚圭
ファンタジー
唐津 那雪、高校生、恋愛経験は特に無し。
メガネをかけたいかにもな非モテ少女。
そんな彼女はあるところで壊れた家を見つけ、魔力を感じた事で危機を感じて急いで家に帰って行った。
家に閉じこもるもそんな那雪を襲撃する人物、そしてその男を倒しに来た男、前原 一真と共に始める戦いの日々が幕を開ける!
※本作品はノベルアップ+にて掲載している紅魚 圭の作品の中の「魔導」のタグの付いた作品の設定や人物の名前などをある程度共有していますが、作品群としては全くの別物であります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる