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CASE10 傷痕

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話していると落ち着いている感じだし、寝不足すぎて正直眠い。


でもここは狭いし、だからと言ってアゲハを一人にさせるのは心配だし……。


色々考えている間に隣を見たらアゲハも眠そうな顔をしていた。


「眠い?」


「うん、少し……寝ようかな?」


「一応聞くけど……私はいない方がいいかな?それとも、いた方がいい?」



ベッドは普通のシングルサイズだから二人でいるには狭いし

一応、男女だし……。


でも、アゲハを一人にしたらどこかに行っちゃいそうで怖い。



だから、本人に聞いたら「一人で大丈夫」だって。


その言葉を言ったときの表情は、相当無理した顔だった。


あんな顔を見ちゃったらさ、、私、部屋に戻れないよ。



「じゃあ、私はここにいてもいい?私はまだ一緒にいたいなって思ってるけど」


言い方を変えて聞き直したら、私の手を掴んだ。


「………本当は、、一緒にいて、ほしい…」


「何かあれば起こしてね?怖い夢を見たとか、誰か部屋にやってきたとか。起きなかったらゴメンだけど」


二人でベッドに潜り込んだけど、私は背中が痛くて横向きでしか寝れない。



「寝にくいよね?……ごめんね、せなか…」


「もう謝らないのっ!私は大丈夫だから」


しばらく、何かあれば毎回謝られそうだなぁって思いながら、目を瞑った。


「おやすみ」


「うん、、おやすみなさい」



眠くって、眠くって………


たぶん、私が先に寝落ちしただろうし、少々の事では起きないだろう自信もあった。





**********





目が覚めたのは物音がした気がしたからで、まぁまぁ寝ていた気がする。


覚醒しない頭のまま、ぼんやりと隣にいるアゲハの方を見たら、なんか震えてる。

手で口を押さえながら………泣いて、る?


………泣いてるの!!?



「どっ!どうしたの!!?」


慌てて起き上がって改めて見ても声を殺して泣いてて

口を押さえて、声を出さないようにしてるようにも見えた。


「おっ……おこして、、、ごめん…」


「それはいいからっ!どうしたの?怖い夢でも見たの?」


私の言葉に首をコクコク振って『そうだ』って教えてくれた。


「でもっ……ゆめじゃ、ないっ!あれは…げんじつで……っ!」


そう言って余計ボロボロと涙を流しながら、目を瞑って耐えていた。


本当に……アゲハはボロボロだよ。


身体だけじゃなくて心も。



「そういう時は一人で抱えないで?起こしていいって言ったでしょ?」


頭を撫でて、それから涙を拭いた。

こんな姿を見ちゃうとさ、平和に寝てた自分がムカつくよ。


もう一度布団に入って、左手を伸ばしてアゲハの腕を掴んだ。

「大丈夫、、絶対にアゲハを離さないから。もう一人じゃないんだから、、頼ってよ」


「そら…っ、、ありがとう……」


アゲハは体勢を変えて、私と向き合う状態になった。

真っ赤な目で私を見て

震えながら、手を背中に回した。


「せなか……いたく、ない?」


「余裕だよ?」


背中と言っても腰の近くに手があるから、そこら辺の傷、深くないんだよね。

自分が辛くても私への気遣いを忘れないのがアゲハらしいけど。



そのまま自分の方へ抱き寄せられてアゲハは静かに泣いていた。


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