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CASE9 救済者 vs レジスタンス

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私も、みんなも、走ったはず。


なのに、瞬きをした後に見えた景色は


みんなが走り出す前の状況。


え……?


私も、最初に降り立った場所に戻っている?



それに、私のずっと前の方で

救済者たちと距離を置いてしゃかんでいるギルバートさん


の、隣にはアゲハが倒れている……。



「なんで……?」



「キミがなんで?だよ、ソラ。なんで来てしまうんだ……アゲハも」



エドガーには呆れられたけど、私の前に来て武器を構えた。


結局、私が来ても守ってもらう立場で……申し訳ない。


「ギルバート……本当にさっきから鬱陶しいわ。だけどまぁ……今日はこちらが引いた方がいいみたいねぇ」


傷だらけのレジスタンスの面々とは違って、余裕そうな花将軍。

その花将軍の隣には皇帝と、もう一人の初見の男の人。


「糞が!!アイツを殺さなきゃ納得できねーよッ!!」


腕を失った皇帝は叫んでこちら側に来ようとしているけど、花将軍は服を掴んで止めていた。


「やめなさいよ、みっともない。それでも貴方皇帝なの?ライトも状況くらいは分かるでしょ?」

花将軍の隣にいた人は、ライトって名前らしい。


「あぁ……誰かのせいでこちらは戦力が足りない上にギルバートの魔法が解放されたなら……状況は我らが不利」


ギルバートさん……何の魔法使いなんだよ。

誰か説明してよ。



花将軍は急に方向転換して、私たちに背を向けた。

そして、振り向いて、、笑った。


「今日は引くわ。この城は壊しても構わないけど……造り直すのが面倒だからできれば残してね。
それと、アゲハも連れて帰りたいけど、、皇帝がご乱心だからしばらく預けるわ。また必ず迎えに行く。アゲハは私の所有物よ?忘れないでね?」


預けるとか所有物とか……

ホント、口の減らない女。

私はあの女は嫌い。マジで。



「私は貴方が生きている限り、諦めないからね。また会いましょう……愛しているわ、アゲハ」


花将軍は最後にニタァって笑って、アゲハに呪いの言葉を吐いて、、消えた。

皇帝も、ライトと呼ばれた人も。

光の魔法使いに連れていかれたのか、この場に隠れていたのかな?


ってか花将軍ってただのストーカーかなんかじゃん。

マジで頭ヤバくない!?

発言がヤバすぎ。

笑顔まで怖かったし。



「レオン……ちょっと来い」


ギルバートさんはアゲハの服を捲りながらレオンを呼んだ。

呼ばれなくても私を含めた全員が、ギルバートさんのところに集まろうとしていたけど。

………私は、背中が痛くて走れないけどね。


「これは、何だと思う?あの女の魔法か?」


ギルバートさんの視線の先は、アゲハが刺された背中の傷口。


なぜか少しだけ、盛り上がっているように見える。



レオンは一瞬躊躇いながらも傷口に触って、感触を確かめているみたい。

アゲハは気を失っているけど、苦しそうに口呼吸している……。


レオンは何か分かったのか、苦い顔をしてアゲハを見たまま口を開いた。


「……植物使いの中でヤバイ奴らが使う拷問のひとつ。切り口から身体の中に種を埋めた」


は……?

植物の、種??


花将軍だから、花の種を、身体に埋めた??


あ、だからあの時背中を押したんじゃなくて、種を埋めたなのか……。


私だけじゃなくて全員が事の重大さに気づいていなかったけど、次の言葉で事態を理解した。


「拷問に使うだけあって、人の身体から養分を奪って成長する。養分を奪われている間は立つのもままならねぇくらい激痛だ。そして、成長した種は身体を突き破って花を咲かせる。だから、早く取り出さねぇとマズい」


レオンがそう言った時、アゲハが「うぅ…」って苦しそうに唸って身体を丸めた。


拷問……。

花将軍から見たら裏切ったアゲハへの、、これが罰なの?

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