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CASE9 救済者 vs レジスタンス

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痛い………背中、痛すぎ。


思い出すなぁ……肩に鉄の棒が刺さった時。

あの時より、痛いかも……。



「ソラ!!大丈夫かっ!!?なんで飛び出してきた!!!」


目を開けるとエドガーの焦った顔。

こんなエドガーの顔、はじめて見たって感じ。



「だって……これ以上戦ったら、、アゲハがアゲハじゃなくなっちゃう……」


「だからって!!こんな無茶して!!」


「エドガーはバッチリ止まってくれたね」


「当たり前だっ!!!」


若干、怒られたけど……それよりもアゲハは?

いま攻撃、、されていない。


痛いけど動ける程だったから上体を起こして振り返ると

アゲハは武器を持ったまま、呆然としていた。


大鎌からポタポタ落ちているの……私の血だな。

って思ったら貧血を起こしそうな気分になった。



「アゲハ……私は大丈夫だよ」


私の声に目を見開いて、手から武器が消えた。


そしてそのまま膝をついて頭を抱えて、苦しそうに呻いていた。


さっきまでとは全然違う……。

私を斬った事によって、きっと混乱しているんだね。



すぐにアゲハは口につけていたマスクを取って投げ捨てた。

頭を抱えながら苦しそうに息をしているアゲハをそのままになんてできなくて

背中が痛いからゆっくりと近づいて目の前に座った。


今のこのアゲハは大丈夫。って、なんとなく分かったから。


「アゲハ……もう大丈夫だよ。私もエドガーも、一緒にいるよ」


そう言って抱き締めたら、身体がすごく熱かった。

かなりの熱が、あると思う。


だけど、ガクガク震えているのは熱のせいじゃないよね。



「………そ、ら」



小さく、私の名前を呼ばれた。

これは……アゲハだ。


ここにいるのは、私が知っているアゲハだ。



「いるよ、私は、ここに」


「そら……」


もう一度、名前を呼ばれたと思ったら

そのままアゲハは私に向かって倒れこんできた。


「えっ!?アゲハ!??」


驚く私の隣でエドガーがアゲハを見て一言。


「気を失っただけだな」


その言葉に、私も緊張が解けて


背中、めちゃめちゃ痛くなってきた。



「エドガー……背中、痛い……」


「当たり前だ!!ソラ、君はねぇ、アゲハのためとはいえ無理しすぎだ!!」


エドガーに怒られたけど、でもエドガーは少し嬉しそう。

気を失っているアゲハの頭を撫でてから、私を見た。


「一旦外へ出よう。ここに残るのは危険だ。ソラは一人で歩けるかな?」


「…なんとか………頑張ります」



私の言葉にエドガーが頷いて

それからエドガーはアゲハが投げ捨てたマスクを拾った。



「これは……花将軍はずいぶんな事をしたようだな」

エドガーは顔をしかめてから、再びマスクを投げ捨てた。


その時にふわっと花の香りがしたけど……甘すぎて気持ち悪くなりそうな香り。



「あの香りは思考力を奪う。そんな香りをずっと嗅がされていたアゲハは、たとえ自我が戻ってもすぐに何も考えられないようにされていたんだろう……可哀想に」


「でも、それを自ら捨てたよ?」


「ソラを傷つけた事が、それを上回るほどの衝撃だったんだろうね」


もしそうなら

怪我をした甲斐があったってヤツだよ。



でもね、私はあの時に気づいたんだよ。


アゲハはエドガーと戦うのを、躊躇っていた。

武器を持つ手が、震えていた。


アゲハはエドガーに怪我を負わせた事ですでに動揺していたのを、私は気づいたから。


だから、二人が戦ったら駄目だって、、そう思って飛び出したんだよ。

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