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CASE9 救済者 vs レジスタンス
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元雪将軍の居城があった場所には
前より高さは低いけど広さはありそうな城が建っていた。
「じゃあイブキたちはいい子で待つんだよ?」
「お父さん……いい子にって、、言われる年じゃないって」
みんながピリピリした雰囲気の中、エドガーはいつも通りだったのが救いだった。
エドガーを見ていればホッと息が抜ける気がしたから。
城の入口まで着くと、自然と入口が開いた。
「おー、俺たちをお招きくださったようだぜ?」
「それもそれでムカつくな」
レオンとゼロさんがそう言いながら入っていって
私とミオがその後に続いた。
城内はシンとしていて誰もいない。
前に見た城と同じで花柄の壁紙に、花の香りが充満している城内だった。
「この香りは毒じゃねーから安心しな」
レオンは樹木使いだから植物は色々分かるみたい。
そう聞いて少しだけ安心した。
しばらく歩くと目の前に両開きの扉。
先頭にいたレオンが扉に手を掛ける前に、扉が開いた。
さっきまで歩いていた城内とは違って白い壁に地面は土。
物が何一つない、変な空間。
だだっ広い空間は高さもあって、奥には二階へ続く階段……。
その階段に座ってジッとこちらを見ていたのは
「………アゲハだな」
間違いなく、アゲハ。
遠くから見ても分かるくらい大きなガスマスクみたいな洒落たマスクで顔半分は隠れているけど
あの雰囲気、あの顔は、間違いない。
真っ黒なマントを羽織っていて、手には大鎌を持ったまま、ただ座っている。
アゲハ……なんだけど
私も、みんなも、分かってる。
アゲハだけど、アゲハじゃない。
私はこのアゲハを見たのは2度目。
この世界に最初に来て、アゲハに会った時と同じ顔をしているもん。
ゆっくりと、アゲハに近づいたら
後ろから勢いよく扉が閉まった音がした。
振り返ると入ってきた扉が閉まっていて、ふわっと風を感じた。
エドガーが扉を押しても開かないみたいで……。
「閉じ込められた……?」
「みたいだね……やったのは、、アゲハだね」
エドガーの視線はジッとアゲハを見ていたけど
アゲハは一切動いていなくて反応もない。
ってか今のアゲハ
ノーモーションで、魔法を使った?
「おいおい、俺ら閉じ込めてどーする気だ?」
レオンの問いに、アゲハは一切答えなかった。
だけど言葉に反応したのかゆらっと立ち上がった。
「あら、来たのね。ようこそ、救済者の城へ」
アゲハが立ち上がったと同時に、階段を降りてきたのは花将軍。
私たちを見てニッコリ笑ったんだけど
笑顔が怖すぎてゾッとした。
「紹介するわ。私のアゲハ。可愛いでしょ?今ちょっと反抗期なのよ」
そう言いながら階段を降りてアゲハの隣に並んだ。
花将軍が隣に来たら手から武器を消した。
………やっぱり、花将軍に操られている。。。
「それにしても……レジスタンスって本当にアゲハが好きなのね。こんなところまで呼ばれたら来ちゃうんだもん。……それとも、新人類のつよーいアゲハが必要なの?ねぇ、どっち?」
戦うような格好じゃない、水色のドレスみたいな服を着て、腕を組んで首をかしげる姿は
ただの綺麗な女の人なのに、、、
誰も答えなかったら薄く笑って
それからアゲハの頬を触った。
「……まぁ、どっちでもいいわ。少しお話をしましょう?今のアゲハの状態、知りたいんでしょ?」
「……どういう意味だ?」
ギルバートさんの言葉に花将軍は嬉しそうに笑った。
「問題よ。人から新人類になった場合、何日で身体が普通に動くでしょうか?」
この問題とアゲハの今と、なんの繋がりがあるの?
アゲハの顔をベタベタ触る姿を見ているとイライラしてきた。
馴れ馴れしく触らないでほしい。
アゲハは絶対に、あの女は嫌いだから。
前より高さは低いけど広さはありそうな城が建っていた。
「じゃあイブキたちはいい子で待つんだよ?」
「お父さん……いい子にって、、言われる年じゃないって」
みんながピリピリした雰囲気の中、エドガーはいつも通りだったのが救いだった。
エドガーを見ていればホッと息が抜ける気がしたから。
城の入口まで着くと、自然と入口が開いた。
「おー、俺たちをお招きくださったようだぜ?」
「それもそれでムカつくな」
レオンとゼロさんがそう言いながら入っていって
私とミオがその後に続いた。
城内はシンとしていて誰もいない。
前に見た城と同じで花柄の壁紙に、花の香りが充満している城内だった。
「この香りは毒じゃねーから安心しな」
レオンは樹木使いだから植物は色々分かるみたい。
そう聞いて少しだけ安心した。
しばらく歩くと目の前に両開きの扉。
先頭にいたレオンが扉に手を掛ける前に、扉が開いた。
さっきまで歩いていた城内とは違って白い壁に地面は土。
物が何一つない、変な空間。
だだっ広い空間は高さもあって、奥には二階へ続く階段……。
その階段に座ってジッとこちらを見ていたのは
「………アゲハだな」
間違いなく、アゲハ。
遠くから見ても分かるくらい大きなガスマスクみたいな洒落たマスクで顔半分は隠れているけど
あの雰囲気、あの顔は、間違いない。
真っ黒なマントを羽織っていて、手には大鎌を持ったまま、ただ座っている。
アゲハ……なんだけど
私も、みんなも、分かってる。
アゲハだけど、アゲハじゃない。
私はこのアゲハを見たのは2度目。
この世界に最初に来て、アゲハに会った時と同じ顔をしているもん。
ゆっくりと、アゲハに近づいたら
後ろから勢いよく扉が閉まった音がした。
振り返ると入ってきた扉が閉まっていて、ふわっと風を感じた。
エドガーが扉を押しても開かないみたいで……。
「閉じ込められた……?」
「みたいだね……やったのは、、アゲハだね」
エドガーの視線はジッとアゲハを見ていたけど
アゲハは一切動いていなくて反応もない。
ってか今のアゲハ
ノーモーションで、魔法を使った?
「おいおい、俺ら閉じ込めてどーする気だ?」
レオンの問いに、アゲハは一切答えなかった。
だけど言葉に反応したのかゆらっと立ち上がった。
「あら、来たのね。ようこそ、救済者の城へ」
アゲハが立ち上がったと同時に、階段を降りてきたのは花将軍。
私たちを見てニッコリ笑ったんだけど
笑顔が怖すぎてゾッとした。
「紹介するわ。私のアゲハ。可愛いでしょ?今ちょっと反抗期なのよ」
そう言いながら階段を降りてアゲハの隣に並んだ。
花将軍が隣に来たら手から武器を消した。
………やっぱり、花将軍に操られている。。。
「それにしても……レジスタンスって本当にアゲハが好きなのね。こんなところまで呼ばれたら来ちゃうんだもん。……それとも、新人類のつよーいアゲハが必要なの?ねぇ、どっち?」
戦うような格好じゃない、水色のドレスみたいな服を着て、腕を組んで首をかしげる姿は
ただの綺麗な女の人なのに、、、
誰も答えなかったら薄く笑って
それからアゲハの頬を触った。
「……まぁ、どっちでもいいわ。少しお話をしましょう?今のアゲハの状態、知りたいんでしょ?」
「……どういう意味だ?」
ギルバートさんの言葉に花将軍は嬉しそうに笑った。
「問題よ。人から新人類になった場合、何日で身体が普通に動くでしょうか?」
この問題とアゲハの今と、なんの繋がりがあるの?
アゲハの顔をベタベタ触る姿を見ているとイライラしてきた。
馴れ馴れしく触らないでほしい。
アゲハは絶対に、あの女は嫌いだから。
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