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CASE8 君がいない日々

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文字の勉強は、思ったよりも楽しかった。


日本語と違ってひらがな・カタカナ・漢字と三種類ある訳じゃないし、英語に似たようで似ていない記号って感じだった。


最初に読む事を覚えたら、レオンのお店の看板が読めた。

名前が“メディカル”だったのは、失笑だった。

レオンが一人でやっている頃から、その名前でお店をやっているらしい。。。




お店が暇な日は、みんなから書き方を教えてもらって

文字を勉強しはじめて一週間


レオンとルーラが薬草を買いに出掛けている時に

一週間前に会ったマスターがお店を訪ねてきた。


キチンとジャケットを来てハットを被っていて、相変わずお洒落なおじさん。


「久しぶりです、ソラさん。レオンさんはおりますか?」


「お久しぶりです。すみません、外出中です」


「そうですか……」


少し残念そうな表情をして、近くにあった椅子に座った。



「めっちゃお洒落な人だねぇ、あの人」

隣にいたミオがこそっと言った言葉もマスターには聞こえていたみたいで

ニコッと笑って応えていた。


スマートな対応だなぁ、、、



「レオンさんに伝えてほしいんですが……」


そう言ったマスターは、静かに告げた。






「新しいこの地の支配者は、花将軍です」



「はな……しょう、ぐん、、」


その名前を聞いて身体がカッと熱くなった。


あの女……が?

あの女がこの地の支配者なの? 


「雪将軍の居城の跡地に新しい城を建造する予定もあるようです」


「わざわざ雪将軍の居城の跡地に?瓦礫だらけじゃないんですか?」


「あの地でレジスタンスが破壊者と戦い惨敗し、散り散りになったという噂がありますから…。救済者は雪将軍を倒したレジスタンスにも、そのレジスタンスを倒した破壊者にも負けない事を示したいのでしょう」



……聞くんじゃなかった。


マスターが悪いんじゃないけど、胸くそ悪い話なんだもん。


レジスタンスはあの戦いが原因で散り散りになんて、なってないし。

破壊者も救済者も倒すって目的は変わってない。


………って、マスターには言えないけど。



「救済者も大変っすね。まぁこの地が破壊者のモンにならなかっただけマシですね。引っ越す手間、なくなったし」


うまく話を続けられない私に変わって、ミオが話をしてくれた。

私たちがレジスタンスって気づかれないよう、うまいことを言ってくれたね。


「そうですねぇ。しかし……花将軍の要求は雪将軍と同じなのが不安ですね」


「要求……って、この町を守るための対価?」


「えぇ…。花将軍はさっそく奴隷を要求してきたようです。この町は、北側に頼る他ないですね。しばらくは外出にも気を付けてください」


マスターは立ち上がってお店を出て行こうとした。


「……マスターもっ!マスターは、北側の近くに住んでいるんですから、、、気を付けてください」


少し驚いた顔をして、それから私に笑いかけてくれた。


「ご心配に及びません。私は北側ともいい関係を築いていますから」


マスターから情報を得ようとしたレオンの気持ちが、わかった気がした。


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