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CASE8 君がいない日々
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レオンのお店の近くには本当になんでも揃っていて
本屋さんも食材を扱う店も、たくさんあった。
ただ、マスターのお店からレオンのお店までは結構歩いたから、結構クタクタ。
お店を閉めてご飯の支度をして
夜が更けてきた頃に、ミオとルーラと四人でこの町について改めて話を聞いた。
富裕層が3割・中間層が5割・あと2割が貧困層と呼ばれていて、レオンのお店は富裕層に該当する。
この町は元々雪将軍の支配地域。
雪将軍の支配地域の中で唯一、”貢ぎ物“が定められていない町がこのエナメ。
ようは雪将軍が今欲しい物を差し出す町。
お金や水や食料、衣類や木材
町が大きいし比較的普通~裕福な人が集まっている町だからこそ基本的な要求は叶えたけど、唯一無理だったのが”奴隷“
町に住む人を差し出せないし、誰かを連れ去ってくるなどできない。
でも、雪将軍に逆らえば町はなくなるから、町の人が出した結論は“人身売買を行う組織を町に住まわせる”事だった。
その組織はお金に困る家族から人を買い、雪将軍に奴隷として差し出した。
そして、汚い仕事をする見返りに、町の一部を要求した。
それが、町の北側。
だから北側は、人身売買の組織が許す限りの浮浪者や行く宛がない人が集まる地となり、人々は貧困層と呼ぶようになった。
「でも、その人身売買をしている組織は貧困層じゃないよね?」
「金だけで言えばな。だが町のやつらは汚い仕事をしている人間も貧困層って呼んでいる。それと、富裕層や中間層が生活に困って自分らの家族を売ったりもしている」
え……?
家族に、売られる?
家族に売られた人は奴隷にされて
売った側はそのお金で生活するの?
「そして、救済者の真似事のように一般人が奴隷を買うってのもおきている。その被害者のひとりがミレイ」
………へ?
ミレイって、あの……?
「本人がエナメに行く奴らに話してもいいって言ってたんだよ。ミレイはこの町に生まれて家族に売られた。町の富豪に買われたけど光の魔法使いだと知られて金になるからってまた売られた。そして、次の主人が雪将軍だったってワケ」
淡々と語ってるけど、内容……かなりハード。
今までのミレイの会話。
ようやく辻褄が合ったけど……だけど、壮絶すぎるよ。
そして
そんな体験をしたミレイだからこそ
自分を助けてくれたアゲハのこと、好きになったんだろうね。
「町中でさ、こんな話したら非難囂々だからな。絶対に言うなよ?この町は平和だけど闇も深い。もちろん、この町に住む人全てが悪いヤツじゃない。仕方ない面もあるんだ……だから、人身売買なんてない人が普通に暮らせる世界にしたいんだよ、俺は」
人身売買をした組織は、北側が無法地帯なのをいい事に最近では誘拐も平気で行っているって。
だから、ペンダントを隠せって言った意味も
ペンダントを付けている=お金持ちであると勘違いされて狙われないようにするためだったとか。
この町は、平和に見えても違う面があって
もしかしたら花将軍や星将軍の支配地域も似たようなものかもしれないって思った。
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