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CASE7 急転

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「ごめん……。私、だいぶ混乱してて………」


そこまで言って

色々と、限界になった。



だってさ、私、涼くんに殺されそうになったんだよ?

それをアゲハが庇って大怪我をおって、まだ目を覚ましていない。


私でもアゲハでも、

涼くんの意思は、変わらなかった。


ちょっと前まではただのクラスメイトでさ

殺人とかありえない世界だったのに。


涼くんには、殺意があった。




アゲハは、どうなるの?

傷を塞いだから安心なんてワケないでしょ?



………なんかもう、

本当に、無理だ。



パタパタと目から涙が落ちるから

左腕で拭いているんだけど止まらない。

右腕全然使えないし。

痛いし。


なんか、辛いし。



「話せるようになるまで待つさ。ただひとつだけ教えてほしい……ソラは何か知っているのか?」


「知ってる………アゲハの怪我は、私を庇ったせい……だからっ、」



それ以上は言えなかった。


もう、それ以上は、、、


いまは考えたくない。




「無理させてすまないね。落ち着いたらみんなのところにおいで?」


エドガーの言葉に頷くのが精一杯。



桃華と二人でワァワァ泣いて


そうしたら一気に頭がスッキリした。




そうだよ、泣いてる場合じゃない。


「アゲハはどこ?」

「へ……?」


私が目を覚ましてからいまだにずっと泣いてくれる桃華には申し訳ないけど、、

私、もっとしっかりしないと。



「アゲハの様子、見に行かないと…」

「あっ、うん、隣の部屋……」


桃華の返事を聞いてすぐにベッドから降りて

桃華を置いて隣の部屋に入った。




「…………ソラ、起きたんだ」


部屋にはベッドで寝ているアゲハと

アゲハの傍にミレイがいた。



そのミレイの目が怖くて、入るのを躊躇った。


けど、

一歩踏み込んで、それから小走りでアゲハの傍に行った。


真っ青な顔で寝ている……。


傷を塞いだって……ただ塞いだだけで、失った血や痛みが、なかったことにはならない。



「……ごめんね。私のせいだね、、」


私を、庇ったりしたから……。

アゲハがいないと今私はここにいないかもしれないけど……。



「そうね。本当にあんたのせいよ」


ミレイの言葉があまりにも冷たくて、怖くて

顔を上げることができなかった。



「リョウが裏切ったんでしょ?そうアゲハが言ったって聞いた。しかもさっき聞こえたけど、アゲハのこの怪我はソラを庇ったせいだって……アゲハにもしもがあったら全部あんたのせいよっ!!」


………うん、そうだね。

否定できないよ。


ここで、涼くんがアゲハを斬ったって知ったら、、、

きっと、もっと、怒られるよね。


「ミレイも……ごめんね。ミレイの言う通りだと思う」


これ以上、ここにいてはいけない気がして

部屋を出たら外で桃華が待っていた。



「ミレイね、私にもめーーーっちゃ怒ってた。アゲハくんのこと相当好きなんだろうね」


怒られたって……桃華は一番無関係なのになぁ。


桃華にも「ごめんね」って謝ってからみんながいる部屋に向かった。


部屋にはアゲハとミレイを除くみんなが揃っていた。

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