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CASE7 急転

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「あははっ!そうだよな、私の姿が変わらぬから驚くよな。だが、私は二人が知るイヴで間違いない」


スッと手を差し出したイヴ。


「二人共、私と共に来い。二人なら歓迎だ」


………え?

それって、、


二人に破壊者になれって意味?



「断る。お前ら側に興味ない」

「ギルくんやったの破壊者の誰かでしょ?許せないから行くわけがないよ」


即答で断った二人のずっと後ろで

ギルバートさんがゆらっと立ち上がったのが見えた。

刺さったはずの槍がないから……やっぱりシンクロで出した武器だったんだ。



「レジスタンスってこの世界をこのままにしたいんだろ?破壊してから再生を望む我等や、世界を滅ぼす要因である人を管理しようとする奴等とは違う……。
このままで世界は破滅しないと、本気で思っているのか?」


このままでは駄目だって

少なくともここにいる全員は、わかっている。



「お前たち破壊者の世界では俺たち全員は生きていけない」


「生きるべき人間の選別が必要なんだ。誰かがやってくれるなんて甘い考えしかない人間なんか不要。……残念だよ、ゼロとステファニーはこちら側に来てほしかった。このイヴを知る数少ない人だったからな」


イヴがチラリと視線を長身の人に移した。


「もう良いか?………“ノア”」


「あぁ。あの二人はもういらない。どうとでもして構わない」



……ノア?


あの女の子は、イヴじゃないの?



視線を再びこちらに戻したイヴは、ヒラヒラと手を振った。



「バイバイ、ゼロとステファニー。二人はいいイヴの兄姉だったよ」



手をヒラヒラ振っているうちに徐々に身体が大きくなって

手を下ろした時には、大人の女性に姿を変えた。


えっ?

え……!?



「あと、ゴミを排除しないとね?」


そう言って、何かをエドガーに向かって投げつけた。


エドガーは棍棒でソレを弾き落として……私たちの目の前に刺さった。


地面に刺さった小刀は、、、フッと消えた。



「アンタもレジスタンスでしょ?知ってるんだから、、」


「全く……ノア将軍は怖いお人だ」



エドガーは一言笑いながらそう言って



飛び降りた。



鳥?がいる位置は決して低い位置じゃない。


なのに、躊躇いなく飛び降りた。



瞬間


風と光を感じて目を瞑ったら


目の前にアゲハがいた。



「すまないね、アゲハ。助かったよ」


「全く……無茶しないでって言ったよね?」


エドガーは風に乗ってふわっと地上に降り立って

その姿を憎らしげに眺めていたイヴだかノアだかもう分からない人。



「あぁ…めんどくさい。ファントム、さっさとやってしまえ」


その声を合図に

屍兵が一斉に動き出した。



そして、屍将軍も……


地上に降り立って、剣を構えて走ってきた。



屍将軍の先にいたのは


………アゲハだ。


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