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CASE7 急転

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「止めるか?」

「いや……アゲハが『何があっても止めるな』ってさ」

「そうか、、リョウは本気だろうがアゲハはまだテレパシー使えるほど余裕があるのか」


ギルバートさんとレオンの会話に、ゼロさんが舌打ちした。


「アイツの戦い方はスーと同じ。戦いをなめすぎだろ。……だからリョウが勝ってあの奴隷を幹部から引きずり落としてもらいたい」

「リョウが勝ってもアゲハの立場は変わらねぇよ?」


レオンの言葉に更に苛ついた様子のゼロさん。

幹部たちがそんな会話をしている中でも続く涼くんとアゲハの戦い。


打ち合いとか模擬戦とか、そんなレベルじゃない戦いを繰り広げていて

アゲハの表情から、次第に余裕の色は消えてきた。


そして、二人の攻防が激化するにつれて幹部たちは声を発しなくなったし

少し離れた場所にいる私たちのところにすら、魔法の余波が届いてきていた。

あまりに強い風や広範囲に放出された電撃の場合は私が結界を張った。


アゲハは魔法を使う時はだいたい武器を消す。

だけど、涼くんは武器を出したまま魔法を使う。


たぶん、涼くんの方が精神的に疲れると思う。

シンクロの精度も早くに落ちるだろうけど

だけど、いつ魔法を使うかが分からない。



そして、それは一瞬の出来事だった。


アゲハが斬りかかろうとした瞬間、電流がアゲハの左頬をかすめた。



電流を避けたアゲハが少し体勢を崩した瞬間、涼くんが剣を振り下ろした。

避けようとしたアゲハの左腕をザックリと斬って

その瞬間、アゲハの手から武器が消えた。


「ソラ!結界を解けっ!!」


レオンの大声で結界を解いたらすぐにギルバートさんとゼロさんとレオンが飛び出した。


私は行こうと思ったけど、何故か足が動かなくて


次の瞬間、涼くんの手がアゲハの左胸を触れて、眩しいくらいの電撃を見た。

人の、心臓に……

アゲハの心臓に………電気が流れた、、、



「あぁ゛ぁぁ゛あッ!!!!」



聞いたことがない、アゲハの叫び声と

周りを切り裂く風を出した。

咄嗟に出たような、力の加減を一切していないアゲハの魔法。


涼くんは飛び退いたけど傷だらけになって

ギルバートさんたちはレオンが自分達の前方に大量の樹木を出して防いでいた。


「……来るなッ!!まだっ、終わってないッ!!!」


アゲハが叫んで今までとは比べものにならない速度で涼くんに向かっていった。

風の魔法…風で背中を押したから動きが早いんだ。


アゲハの速度に涼くんは対応できなくて、アゲハと同じように左腕を斬られた。

そして、、投げた大鎌は涼くんの目の前に刺さった。


「終わり……俺の勝ちだね。………涼はもう、シンクロが使えない、、、」


「………そうだな。配分を間違えた」



涼くんが負けを認めた瞬間、アゲハが膝をついた。



………さっきの涼くんの攻撃。

さっき、心臓に、モロに食らった。




アゲハは新人類になって、身体の弱さはカバーできている。

だから、走ることも、戦うこともできる。

核はもうひとつの心臓。



だけど、元々の心臓が止まれば……核があったって死ぬ。

生きるためには心臓が動いているのが大前提なんだから。


でも、その心臓が、アゲハは生まれつき悪い。


アゲハの身体の中は、誰よりも、弱い。


涼くんはそれを理解して、、狙ったの?



どうしよう……どうしよう!!


私は、どうしたらいい?



みんなが慌ててアゲハたちがいる方に向かう中、私だけ動けなかった。

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