120 / 342
CASE7 急転
3
しおりを挟む
アゲハのしている話をミドさんたちに聞かせているのは
アゲハなりの誠意なのかな?
レジスタンスに協力してくれている人には秘密にするつもりはない的な?
「と、いう訳だから俺は今日からここじゃなくて支援のために昨日行った町に行ったり、エナメで生活したり、ギルたちとの合流場所のサティの町にも行く。行きたくても俺一人じゃ無理だからゼロと一緒にね。そういう事で別行動増えるけどよろしくね?」
「よろしくって……私もできる事は手伝うよ?」
私の言葉を待っていたかのようにアゲハがニッコリと笑った。
………ちょっと、嫌な予感。
「空とジェスとスーで仲良く魔法を極めてよ。それが一番の助けになる」
やっぱり、そうなりますか……。
「俺はもうしばらくはここに戻らないけど、スーは全快するまでここにいてね?」
「りょうかーい!アゲくんサティの町で会おうねーっ!!」
「うん、会おうね。って言っても今はまだ行かないけどね?ニャン様にも話しなきゃだし」
スーが場を和ませてくれたからホッとした。
ミドさんとレオナさんは話が終わったのを察して部屋を出ていって
部屋を出ていくまで笑顔で見送ったアゲハは、部屋のドアが閉まった瞬間に両手で頭を抱えた。
「きっつい……なぁ………」
小さな声でそう呟いて、深いため息を吐いていた。
「大丈夫……大丈夫だよ、」
自然と、私の手はアゲハの頭を撫でていた。
「アゲハの気持ちは、分かっているよ」
「……うん」
「次は私も言い返そうか?」
「……いい。問題が大きくなる」
「なにそれ?喧嘩するとか思った訳?」
「俺が悪く言われるとすぐに喧嘩腰になる人が、これ以上増えたら困る」
そう言って笑ったから、大丈夫かな?
頭を思いっきりわしゃわしゃと撫でてからゼロさんを見た。
「ゼロさんってアゲハの事、大好きなんだって再確認しました」
「はぁ!?なんだよソレ!!俺がいつ、コイツを好きだと言った!!?」
ゼロさんはちょっとキレ気味に言ったけど、スーが「アゲくんとゼロくんの関係に妬けちゃうーっ!」って言うから怒りの矛先がスーに向いた。
二人が言い合っているのを、ジェスさんは呆れた様子で見守っていて、アゲハも楽しそうに見ていた。
「元気でた。ありがとう」
「いえいえ」
アゲハの手は、もう震えてはいなかった。
**********
それから、3日後
スーが全快したからサティの町へ移動した。
レジスタンスが使っている家はエドガーの家より小さくて、町中に普通にある家だった。
村じゃないだけあって、建物も人も多いけど、日本みたいなビルとかアスファルトの地面はなかった。
家の中は普通だったけど、ベッドがとにかく多くて、いかにも隠れ家ですって雰囲気。
そして、やっぱり地下に広がる空間があって、そこで日々鍛練しろって言われちゃった。
ここでの日々は穏やかに過ぎていって、楽しかった。
アゲハもよくここに帰ってきたけど、、、たまに酔って帰ってきては人のベッドに入り込んで寝ている事が多々あった。
私だけ?って最初は思ったけど、翌日にはゼロさんと一緒に寝ていたから誰でも良かったみたい。
「ちょっと酔ってただけだよ、ごめんって」
「いやいや、自分のベッドが分からなくなるなんて飲み過ぎでしょ?」
人のベッドで寝た翌日は必ず二日酔い。
二日酔いの薬は自分で作れるから平気だとか言うけど、、、それだけお酒を飲む理由は話してくれなかった。
「昨日ね、バーでマスターに聞いたんだけど……前にゼロが言ってた“鳥みたいな生き物”がエナメ近郊に出たって。近いからアイリーンさんにも気を付けるように伝えておいたけど、ここもエナメに近いと言えば近いから気を付けてね?」
二日酔いの薬を飲みながらアゲハがそう言った。
エナメとサティの町の距離感、全然分かんないや。
「エナメは近いの?」
「うーん、歩いてだと3日かな?」
「遠いよ、ソレ」
だけど、この世界では近い方なんだとか……。
車とか電車のない世界なのが、本当に不便だと実感した。
「鳥みたいなヤツ見た人がいたのか?」
「みたいだよ。人が足に捕まれてさらわれたって……蟲以下獣以上の大きさかな?予想だけど。で、確実に新人類の失敗作だね」
鳥の足に人が捕まれた!?
それ、鳥ってより飛べる恐竜とか……そっちのが近くない!?
冷静に会話をしているアゲハとゼロさんに、ついていけないよ。
「鳥……かな?呼び方は」
「鳥だよ鳥!」
アゲハとスーはすっかり呼び方の話になっているけどさ
そんな怪しい鳥なら、呼び方はこれでしょ?
「怪しい鳥、略して怪鳥」
私の命名で、勝手に見たこともない生き物の呼び方を決めた。
そんな感じで、日々を過ごして
サティの町に来て20日目
ギルバートさんたちがサティの町に到着した。
アゲハなりの誠意なのかな?
レジスタンスに協力してくれている人には秘密にするつもりはない的な?
「と、いう訳だから俺は今日からここじゃなくて支援のために昨日行った町に行ったり、エナメで生活したり、ギルたちとの合流場所のサティの町にも行く。行きたくても俺一人じゃ無理だからゼロと一緒にね。そういう事で別行動増えるけどよろしくね?」
「よろしくって……私もできる事は手伝うよ?」
私の言葉を待っていたかのようにアゲハがニッコリと笑った。
………ちょっと、嫌な予感。
「空とジェスとスーで仲良く魔法を極めてよ。それが一番の助けになる」
やっぱり、そうなりますか……。
「俺はもうしばらくはここに戻らないけど、スーは全快するまでここにいてね?」
「りょうかーい!アゲくんサティの町で会おうねーっ!!」
「うん、会おうね。って言っても今はまだ行かないけどね?ニャン様にも話しなきゃだし」
スーが場を和ませてくれたからホッとした。
ミドさんとレオナさんは話が終わったのを察して部屋を出ていって
部屋を出ていくまで笑顔で見送ったアゲハは、部屋のドアが閉まった瞬間に両手で頭を抱えた。
「きっつい……なぁ………」
小さな声でそう呟いて、深いため息を吐いていた。
「大丈夫……大丈夫だよ、」
自然と、私の手はアゲハの頭を撫でていた。
「アゲハの気持ちは、分かっているよ」
「……うん」
「次は私も言い返そうか?」
「……いい。問題が大きくなる」
「なにそれ?喧嘩するとか思った訳?」
「俺が悪く言われるとすぐに喧嘩腰になる人が、これ以上増えたら困る」
そう言って笑ったから、大丈夫かな?
頭を思いっきりわしゃわしゃと撫でてからゼロさんを見た。
「ゼロさんってアゲハの事、大好きなんだって再確認しました」
「はぁ!?なんだよソレ!!俺がいつ、コイツを好きだと言った!!?」
ゼロさんはちょっとキレ気味に言ったけど、スーが「アゲくんとゼロくんの関係に妬けちゃうーっ!」って言うから怒りの矛先がスーに向いた。
二人が言い合っているのを、ジェスさんは呆れた様子で見守っていて、アゲハも楽しそうに見ていた。
「元気でた。ありがとう」
「いえいえ」
アゲハの手は、もう震えてはいなかった。
**********
それから、3日後
スーが全快したからサティの町へ移動した。
レジスタンスが使っている家はエドガーの家より小さくて、町中に普通にある家だった。
村じゃないだけあって、建物も人も多いけど、日本みたいなビルとかアスファルトの地面はなかった。
家の中は普通だったけど、ベッドがとにかく多くて、いかにも隠れ家ですって雰囲気。
そして、やっぱり地下に広がる空間があって、そこで日々鍛練しろって言われちゃった。
ここでの日々は穏やかに過ぎていって、楽しかった。
アゲハもよくここに帰ってきたけど、、、たまに酔って帰ってきては人のベッドに入り込んで寝ている事が多々あった。
私だけ?って最初は思ったけど、翌日にはゼロさんと一緒に寝ていたから誰でも良かったみたい。
「ちょっと酔ってただけだよ、ごめんって」
「いやいや、自分のベッドが分からなくなるなんて飲み過ぎでしょ?」
人のベッドで寝た翌日は必ず二日酔い。
二日酔いの薬は自分で作れるから平気だとか言うけど、、、それだけお酒を飲む理由は話してくれなかった。
「昨日ね、バーでマスターに聞いたんだけど……前にゼロが言ってた“鳥みたいな生き物”がエナメ近郊に出たって。近いからアイリーンさんにも気を付けるように伝えておいたけど、ここもエナメに近いと言えば近いから気を付けてね?」
二日酔いの薬を飲みながらアゲハがそう言った。
エナメとサティの町の距離感、全然分かんないや。
「エナメは近いの?」
「うーん、歩いてだと3日かな?」
「遠いよ、ソレ」
だけど、この世界では近い方なんだとか……。
車とか電車のない世界なのが、本当に不便だと実感した。
「鳥みたいなヤツ見た人がいたのか?」
「みたいだよ。人が足に捕まれてさらわれたって……蟲以下獣以上の大きさかな?予想だけど。で、確実に新人類の失敗作だね」
鳥の足に人が捕まれた!?
それ、鳥ってより飛べる恐竜とか……そっちのが近くない!?
冷静に会話をしているアゲハとゼロさんに、ついていけないよ。
「鳥……かな?呼び方は」
「鳥だよ鳥!」
アゲハとスーはすっかり呼び方の話になっているけどさ
そんな怪しい鳥なら、呼び方はこれでしょ?
「怪しい鳥、略して怪鳥」
私の命名で、勝手に見たこともない生き物の呼び方を決めた。
そんな感じで、日々を過ごして
サティの町に来て20日目
ギルバートさんたちがサティの町に到着した。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
社畜探索者〜紅蓮の王と異界迷宮と配信者〜
代永 並木
ファンタジー
井坂蓮二、23歳 日々サービス残業を繰り返し連続出勤更新し続け精神が疲弊しても働き続ける社畜
ふと残業帰りにダンジョンと呼ばれる物を見つけた
ダンジョンとは10年ほど前に突如現れた謎の迷宮、魔物と呼ばれる存在が闊歩する危険なダンジョンの内部には科学では再現不可能とされるアイテムが眠っている
ダンジョンが現れた影響で人々の中に異能と呼ばれる力を得た者が現れた
夢か金か、探索者と呼ばれる人々が日々ダンジョンに挑んでいる
社畜の蓮二には関係の無い話であったが疲れ果てた蓮二は何をとち狂ったのか市販の剣(10万)を持ってダンジョンに潜り己の異能を解放する
それも3等級と呼ばれる探索者の最高峰が挑む高難易度のダンジョンに
偶然危機に瀕していた探索系配信者竜胆天音を助け社畜の傍ら配信の手伝いをする事に
配信者や異能者に出会いながら探索者として活躍していく
現2章
【第1章完】異世界スカウトマン~お望みのパーティーメンバー見つけます~
阿弥陀乃トンマージ
ファンタジー
とある異世界……時は『大勇者時代』を迎え、右も左も、石を投げれば勇者に当たるのではないかというような社会状況であった。
その時代に乗り遅れた者、タイミングや仲間に恵まれなかった者、ただ単純に勇者に向いていない者……など様々な者たちがそこかしこでひしめき合い、有象無象から抜け出す機会を伺っていた。そういった者たちが活用するのは、『スカウト』。優秀なパーティーメンバーを広い異世界のどこからか集めてきてくれる頼れる存在である。
今宵も、生きる伝説と呼ばれた凄腕のスカウトマン、『リュート』の下に依頼者がやってくる。
新感覚異世界ファンタジー、ここに開幕!
『Nightm@re』という異世界に召喚された学生達が学校間大戦とLevel上げで学校を発展させていく冒険譚。
なすか地上絵
ファンタジー
■概要
突然、『Nightm@re』という地球にそっくりな異世界に連れてこられた高校生たち。自分達の学校を自由に創り変えながら、生き残りをかけて戦う『学校間大戦』。友情あり恋愛ありのちょっぴり切ないダークファンタジー小説。※物語三章から一気にファンタジー要素が増えます。
*過去にエブリスタで書いた物語です。
*カテゴリーランキング最高3位
*HOT男性向け最高26位
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
終焉の謳い手~破壊の騎士と旋律の戦姫~
柚月 ひなた
ファンタジー
理想郷≪アルカディア≫と名付けられた世界。
世界は紛争や魔獣の出現など、多くの問題を抱え混沌としていた。
そんな世界で、破壊の力を宿す騎士ルーカスは、旋律の戦姫イリアと出会う。
彼女は歌で魔術の奇跡を体現する詠唱士≪コラール≫。過去にルーカスを絶望から救った恩人だ。
だが、再会したイリアは記憶喪失でルーカスを覚えていなかった。
原因は呪詛。記憶がない不安と呪詛に苦しむ彼女にルーカスは「この名に懸けて誓おう。君を助け、君の力になると——」と、騎士の誓いを贈り奮い立つ。
かくして、ルーカスとイリアは仲間達と共に様々な問題と陰謀に立ち向かって行くが、やがて逃れ得ぬ宿命を知り、選択を迫られる。
何を救う為、何を犠牲にするのか——。
これは剣と魔法、歌と愛で紡ぐ、終焉と救済の物語。
ダークでスイートなバトルロマンスファンタジー、開幕。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる