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CASE5 武器と魔法
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「私はアゲハは人だって、言い続けるよ」
そんな言葉しか、言えなくてごめんね?
たぶん、私じゃない。
ギルバートさんたちから言われたいんだろうけど……。
「空がね、そうやって欲しい言葉を言ってくれるから……だから空はやっぱり俺の弱点かもね」
「いないと寂しくなるから的な?」
「まぁそんな感じ……かな?」
「それはお互い様だから……だから私、強くなるよ。アゲハの弱点扱いされないように!」
私が笑えばアゲハも少し表情が緩んだ。
「弱いから弱点って言ったんじゃないよ?」
「それは分かるけど…だから、アゲハを守れるくらい強くなるよ!シンクロもだけど中身的な意味で」
本当は魔法、怖いけど。
闇とか嫌な感じだし、怖いし自信ないし……。
だけど、アゲハのためになるなら
頑張る意味、あると思う。
「シンクロと言えば空は今日、本当は何を想ったの?魔法を使った時」
話題が今日の私の魔法になっちゃった。
あの時、想った事は―――――
「アゲハを苦しめている奴等が憎いって……そう想った」
こんな気持ちを、みんなには知られたくなくって。
だから、アゲハに聞かれた時に嘘をついた。
「あぁ……だから制御が効かなかったのかもね。でもありがとう」
ん?
ありがとう?
顔を覗きこむとちょっと嬉しそうな顔だった。
「俺のためにそう想ったんでしょ?それは素直に嬉しいよ」
カップに手を伸ばして一口飲んで
カップを再び元の位置に戻した時には、顔から笑顔が消えていた。
「ちょっと長い話をしていい?この二日間、夜に俺がうなされていた理由」
本題、この話だもんね。
だけどいいのかな?
今のアゲハはボロボロの状態なのに……。
「アゲハが、話せるなら……私は無理には話してほしくない」
「俺が無理だとしても、空には話したい……でも、涼とか桃華さんには秘密。あんまり人に、知られたくない」
「分かってるよ」
私を見てそれから視線を下に落とした。
しばらく無言だったけど、たぶんそんなに長い時間じゃなくて
「俺がユートピアに来てすぐに花将軍に助けられて、それから新人類になった……って簡単には話したよね?」
それは、前にニャンさんたちのところで聞いたね。
奴隷にするためだって。
異界人の力が目的だって。
「どうやって、この核を、埋めたと思う?」
これが、トラウマなんだって
瞬時に悟った。
分かりやすく、声が変わったから。
絞り出すように言って、左胸の服を思いっきり握ったから。
「よく夢で見るのは、、、この核を埋め込まれた瞬間」
手術台のようなベッドに手足と首、お腹を金属製の拘束具で固定されて
麻酔もなしに、左胸を切り裂かれた。
痛みと恐怖で気を失いかけた時に見えたのは、花将軍と医者たちの気持ち悪い笑顔。
そして、切り裂かれた左胸に、押し込むように入れられたのが核で
普通なら意識を失って当然の状況なのに、なぜか意識は保ったまま。
核が自分の身体の一部になる感覚が分かったって。
言葉で言い表せない痛みと、核が自分の意識を乗っ取ろうとする感覚があって
痛みと恐怖から逃げたくて暴れても動けるわけなくて
苦しくなく息ができるって感じた瞬間、自分の意識はなくなったって。
それが、アゲハの体験。
「意識がなくなる前、、、もう自分が自分じゃなくなるって、自我を失う事も人間じゃなくなった事も漠然と分かった。いつも、夢から醒めても今の自分が本当に自分なのかって、この身体は操られているままじゃないかって、ひどく不安になるんだ」
長く
本当に長く、話してくれた。
話すのも嫌だったと思う。
だけど、しっかりと、話してくれた。
手を伸ばしてアゲハの頭を撫でたけど、何も言われなかった。
「アゲハはアゲハだよ。大丈夫、昔から何も変わってないよ」
「空にそう言ってもらえると……大丈夫だって、安心するよ……」
服を掴んでいる右手を触ったら力が抜けて放してくれた。
服は左胸の辺りだけ、ぐしゃぐしゃになっていた。
そんな言葉しか、言えなくてごめんね?
たぶん、私じゃない。
ギルバートさんたちから言われたいんだろうけど……。
「空がね、そうやって欲しい言葉を言ってくれるから……だから空はやっぱり俺の弱点かもね」
「いないと寂しくなるから的な?」
「まぁそんな感じ……かな?」
「それはお互い様だから……だから私、強くなるよ。アゲハの弱点扱いされないように!」
私が笑えばアゲハも少し表情が緩んだ。
「弱いから弱点って言ったんじゃないよ?」
「それは分かるけど…だから、アゲハを守れるくらい強くなるよ!シンクロもだけど中身的な意味で」
本当は魔法、怖いけど。
闇とか嫌な感じだし、怖いし自信ないし……。
だけど、アゲハのためになるなら
頑張る意味、あると思う。
「シンクロと言えば空は今日、本当は何を想ったの?魔法を使った時」
話題が今日の私の魔法になっちゃった。
あの時、想った事は―――――
「アゲハを苦しめている奴等が憎いって……そう想った」
こんな気持ちを、みんなには知られたくなくって。
だから、アゲハに聞かれた時に嘘をついた。
「あぁ……だから制御が効かなかったのかもね。でもありがとう」
ん?
ありがとう?
顔を覗きこむとちょっと嬉しそうな顔だった。
「俺のためにそう想ったんでしょ?それは素直に嬉しいよ」
カップに手を伸ばして一口飲んで
カップを再び元の位置に戻した時には、顔から笑顔が消えていた。
「ちょっと長い話をしていい?この二日間、夜に俺がうなされていた理由」
本題、この話だもんね。
だけどいいのかな?
今のアゲハはボロボロの状態なのに……。
「アゲハが、話せるなら……私は無理には話してほしくない」
「俺が無理だとしても、空には話したい……でも、涼とか桃華さんには秘密。あんまり人に、知られたくない」
「分かってるよ」
私を見てそれから視線を下に落とした。
しばらく無言だったけど、たぶんそんなに長い時間じゃなくて
「俺がユートピアに来てすぐに花将軍に助けられて、それから新人類になった……って簡単には話したよね?」
それは、前にニャンさんたちのところで聞いたね。
奴隷にするためだって。
異界人の力が目的だって。
「どうやって、この核を、埋めたと思う?」
これが、トラウマなんだって
瞬時に悟った。
分かりやすく、声が変わったから。
絞り出すように言って、左胸の服を思いっきり握ったから。
「よく夢で見るのは、、、この核を埋め込まれた瞬間」
手術台のようなベッドに手足と首、お腹を金属製の拘束具で固定されて
麻酔もなしに、左胸を切り裂かれた。
痛みと恐怖で気を失いかけた時に見えたのは、花将軍と医者たちの気持ち悪い笑顔。
そして、切り裂かれた左胸に、押し込むように入れられたのが核で
普通なら意識を失って当然の状況なのに、なぜか意識は保ったまま。
核が自分の身体の一部になる感覚が分かったって。
言葉で言い表せない痛みと、核が自分の意識を乗っ取ろうとする感覚があって
痛みと恐怖から逃げたくて暴れても動けるわけなくて
苦しくなく息ができるって感じた瞬間、自分の意識はなくなったって。
それが、アゲハの体験。
「意識がなくなる前、、、もう自分が自分じゃなくなるって、自我を失う事も人間じゃなくなった事も漠然と分かった。いつも、夢から醒めても今の自分が本当に自分なのかって、この身体は操られているままじゃないかって、ひどく不安になるんだ」
長く
本当に長く、話してくれた。
話すのも嫌だったと思う。
だけど、しっかりと、話してくれた。
手を伸ばしてアゲハの頭を撫でたけど、何も言われなかった。
「アゲハはアゲハだよ。大丈夫、昔から何も変わってないよ」
「空にそう言ってもらえると……大丈夫だって、安心するよ……」
服を掴んでいる右手を触ったら力が抜けて放してくれた。
服は左胸の辺りだけ、ぐしゃぐしゃになっていた。
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