65 / 342
CASE5 武器と魔法
7
しおりを挟む「え?外し忘れ?」
「うん。これあればどこでもミレイがやってくる。だけど俺は魔法でその効力を抑えちゃってね。抑えられない時=シンクロが乱れた時だから、そうなったらミレイが察知してやってくる………って言うのを利用して空たちを探してた時に使ったんだ」
アゲハの左手の薬指にあった指輪。
それを聞いてみたら外し忘れって……。
しかもサイズがちょうど良かった指にはめただけって……。
「俺も光の魔法は移動くらい使えるようになりたいなって思うけどなかなかうまくいかないんだよね」
「普通一人ひとつの魔法じゃないの?」
「俺は特別だから。そういう特権は生かさなきゃ」
「前向きだねぇ」
あれから、色々と話してる。
さっきみたいに暗い感じにならない話題ばかり。
アゲハも顔をあげて私の方をチラチラ見ながら話してて
指輪はあっさり外して私に渡してきた。
夜はだいぶ更けてきたけど、話題ってなかなか尽きないね。
だけど、眠たくて、眠気には勝てなくて……。
「ほら、そろそろ部屋に戻りな?」
「うーん……ここで寝る」
そのままベッドに潜り込んだけど、止められはしなかった。
「アゲハも早く寝よーよ」
「全く……危機感ないね」
「うん、だってアゲハだもん」
アゲハもベッドに潜り込んだから、また手を繋いだ。
「おやすみ、アゲハ」
「おやすみ」
手は、振り払われなかった。
たぶん、私のが先に寝ちゃったからアゲハがちゃんと寝れたかどうか分からない。
分からないけど、起きたらアゲハがいなかった。
しばらくボーッとしていたらアゲハが戻ってきたけど私を見てパッと笑顔になった。
だから、ちゃんと眠れたのかな?
「ゼロのところ行ってきたよ。空が起こされたら可哀想だし」
……私は起こされるより見られる方が気まずいよ?
って言う前にアゲハがベッドに来て、私を押した。
「まだ眠い。まだ5時だよ?7時まで寝る」
「えっ!?押さないでよ!元いた場所に戻りなさいって」
だけどグイグイ押されて、結局場所が変わった。
ベッドに潜り込んだアゲハが横を向いたから、私も体勢を変えて向かい合った。
なんか、変な感じ。
恋人か?って感じだし。
「あのさ、今日も夜、二人で話せるかな?」
「もちろんいいよ」
「一昨日とか昨日の事、ちゃんと話そうかな…とね。重い話になるけど……聞いてほしいなって思って、ね、、、」
歯切れが悪く言うから、言いにくいのか、気まずいのか。
そんな話をしてくれるのは、信頼している証なのかな?
「アゲハが話せるなら話してほしいから。ちゃんと聞くよ」
「……よかったぁ。すでに2日も醜態晒したから引かれてるかと思った」
そう言った顔はホッとしたような表情で、だから安心した。
「引かないし。聞くしかできないけど、、、」
「聞く以外もしてくれてるよ。空がいてくれると、安心できるもん」
そう言って、目を閉じた。
「おやすみ、空……」
すぐに寝息が聞こえてきた。
私も目を閉じて、またすぐに眠りに落ちた。
私も、、、アゲハの傍が、一番安心する場所だよ。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
選ばれたのは美人の親友
杉本凪咲
恋愛
侯爵令息ルドガーの妻となったエルは、良き妻になろうと奮闘していた。しかし突然にルドガーはエルに離婚を宣言し、あろうことかエルの親友であるレベッカと関係を持った。悔しさと怒りで泣き叫ぶエルだが、最後には離婚を決意して縁を切る。程なくして、そんな彼女に新しい縁談が舞い込んできたが、縁を切ったはずのレベッカが現れる。
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる