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CASE2 同調-シンクロ-
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服のボタンを外して、左胸を見えるようにしたアゲハ。
よく見ると左腕の付け根辺りに羽の模様の入れ墨みたいな跡もあった。
「何から話そうか……正直何にも考えてない」
「全部、教えてほしい」
「………分かった。長くなるけど、全部話すよ」
アゲハの視線は自分の左胸にある核に移って、そのまま黙ってしまった。
部屋を見渡すとほとんどの人が集まっていて、アゲハの一挙一動を逃さず見てるって感じなのがちょっと怖い。
「……この世界に来て目を覚ましたら砂漠に一人で。どうしたらいいか分からなくて。とにかく帰りたいって一心だったけど、数歩歩いただけで倒れたんだ……あの日、実は午後からかなり苦しかったから、砂漠の暑さとか知らない場所とか、自分が倒れる要素は揃ってた。日本にあのままいてもヤバかったかもしれない……黙ってたけどもう先は長くないって言われてたから」
そう言って左胸に手を当てたアゲハ。
タイヨウさんも長くないって言ってたけど、本人から聞くのは違った重さがあった。
「薬持ってないし死ぬかな?って思った時に現れたのが花将軍ミスリだった。俺が異界人で身体が悪いって分かった上で助けてくれた……あの時は感謝したよ。知らない場所で親切にされたからね。花将軍の城で手当てされて、そこで色々と聞いた。ユートピアについてとかシンクロとか破壊者について。救済者はみんなを救うから俺も救ったんだって言われて信じたよね。だけど違うって分かった」
拳をグッと握って表情が険しくなってきた。
だから、私も聞くのが少し怖い。
「俺に親切にした理由……異界人のシンクロの力が目的。奴隷にして、救済者の手足となって戦わせるためだった。核を埋め込んでうまく融合したら新人類になる。常にシンクロを使えて力も技も、常人の比じゃないらしい。元からシンクロが強力な異界人がベースの新人類なら、病弱な俺でも新人類の中でもトップクラスの力を得るんじゃないかって思ったんだって。だから、無理矢理核を埋め込まれた。そして俺は異形になる事もなく、どの新人類よりも強い力を得た。核があれば常にシンクロ状態で、ブーストがかかった状態だから身体の弱さはカバーできて……だから今は全く苦しくないんだけど、核を埋め込まれた事によって自我を失った。だから、核を埋め込まれてから今までの事は……あまり覚えていない」
そこまで話してから右手で羽の模様に触れた。
「たぶんね、かなりの数の人を殺した……特に最初のうちはよく自我を取り戻せたから……気づいたら返り血まみれなんて、よくあった……調整が必要って言われて色々された。気づいたら……空がいて、空を殺そうとしてる自分に気づいた。ダメだって思ったけど、止まらなかった……」
そのまま握りつぶすように羽の模様を掴んだ。
右手は震えていて、表情は見たこともないくらい怖い顔。
「アイツらの自由に扱われるくらいなら……死んだ方がマシだった……!」
「……でもっ!」
アゲハの右手を掴んで、アゲハの顔を見て。
ちゃんと言わないと。
私の気持ち。
このままじゃ、アゲハがダメになるって思ったから。
「アゲハと生きてまた会えたことが……私は一番嬉しいよ?だから、核があったって何をしてたって、今こうやって会えたならそれでいい。私は“生きて”アゲハと会いたかったんだから!死んだ方がマシなんて言わないで?」
アゲハの右手から力が抜けたのが分かった。
すごい驚いた顔をして、それから泣きそうな顔で笑った。
「……空は凄いなぁ。変わらないね。ずーっと昔から、ずっと……。俺も変わりたくなかったなぁ。人間で、ありたかった………」
俯いて小さな声で言ったのは、胸にある模様は消すことはできない“救済者の奴隷の証”だという事だった。
よく見ると左腕の付け根辺りに羽の模様の入れ墨みたいな跡もあった。
「何から話そうか……正直何にも考えてない」
「全部、教えてほしい」
「………分かった。長くなるけど、全部話すよ」
アゲハの視線は自分の左胸にある核に移って、そのまま黙ってしまった。
部屋を見渡すとほとんどの人が集まっていて、アゲハの一挙一動を逃さず見てるって感じなのがちょっと怖い。
「……この世界に来て目を覚ましたら砂漠に一人で。どうしたらいいか分からなくて。とにかく帰りたいって一心だったけど、数歩歩いただけで倒れたんだ……あの日、実は午後からかなり苦しかったから、砂漠の暑さとか知らない場所とか、自分が倒れる要素は揃ってた。日本にあのままいてもヤバかったかもしれない……黙ってたけどもう先は長くないって言われてたから」
そう言って左胸に手を当てたアゲハ。
タイヨウさんも長くないって言ってたけど、本人から聞くのは違った重さがあった。
「薬持ってないし死ぬかな?って思った時に現れたのが花将軍ミスリだった。俺が異界人で身体が悪いって分かった上で助けてくれた……あの時は感謝したよ。知らない場所で親切にされたからね。花将軍の城で手当てされて、そこで色々と聞いた。ユートピアについてとかシンクロとか破壊者について。救済者はみんなを救うから俺も救ったんだって言われて信じたよね。だけど違うって分かった」
拳をグッと握って表情が険しくなってきた。
だから、私も聞くのが少し怖い。
「俺に親切にした理由……異界人のシンクロの力が目的。奴隷にして、救済者の手足となって戦わせるためだった。核を埋め込んでうまく融合したら新人類になる。常にシンクロを使えて力も技も、常人の比じゃないらしい。元からシンクロが強力な異界人がベースの新人類なら、病弱な俺でも新人類の中でもトップクラスの力を得るんじゃないかって思ったんだって。だから、無理矢理核を埋め込まれた。そして俺は異形になる事もなく、どの新人類よりも強い力を得た。核があれば常にシンクロ状態で、ブーストがかかった状態だから身体の弱さはカバーできて……だから今は全く苦しくないんだけど、核を埋め込まれた事によって自我を失った。だから、核を埋め込まれてから今までの事は……あまり覚えていない」
そこまで話してから右手で羽の模様に触れた。
「たぶんね、かなりの数の人を殺した……特に最初のうちはよく自我を取り戻せたから……気づいたら返り血まみれなんて、よくあった……調整が必要って言われて色々された。気づいたら……空がいて、空を殺そうとしてる自分に気づいた。ダメだって思ったけど、止まらなかった……」
そのまま握りつぶすように羽の模様を掴んだ。
右手は震えていて、表情は見たこともないくらい怖い顔。
「アイツらの自由に扱われるくらいなら……死んだ方がマシだった……!」
「……でもっ!」
アゲハの右手を掴んで、アゲハの顔を見て。
ちゃんと言わないと。
私の気持ち。
このままじゃ、アゲハがダメになるって思ったから。
「アゲハと生きてまた会えたことが……私は一番嬉しいよ?だから、核があったって何をしてたって、今こうやって会えたならそれでいい。私は“生きて”アゲハと会いたかったんだから!死んだ方がマシなんて言わないで?」
アゲハの右手から力が抜けたのが分かった。
すごい驚いた顔をして、それから泣きそうな顔で笑った。
「……空は凄いなぁ。変わらないね。ずーっと昔から、ずっと……。俺も変わりたくなかったなぁ。人間で、ありたかった………」
俯いて小さな声で言ったのは、胸にある模様は消すことはできない“救済者の奴隷の証”だという事だった。
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