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CASE2 同調-シンクロ-

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取り囲むようにいた蟲は、間近で見ると人間の三倍くらいの大きさだった。

不思議な事にただ取り囲むだけ。



「なんで……?」


ルーラも不思議がっていて、何人か外にいた人が一匹の蟲を見上げていた。

人影がふたつ、逆光で顔が見えないけど蟲の上に立っている。




「救済者の……“花将軍”……」


ルーラの顔は絶望の表情だった。

前にニャンさんに聞いた救済者の中でも実力者たちって言うのかな?

要はボスクラスの人。

それがあそこにある人影?


「すげーやべー話じゃん」


素人の私たちでも今が危機的状況って事は分かった。


「みんなっ!気を付けろ!花将軍と新人類だ!!新人類が俺たちと居住地を襲った!!」


頭から血を流したシドさんがみんなに向かって叫んだ。


そのシドさんのすぐ傍には……倒れて動かないリアさん。


もしかして……死んでるの?



「嘘でしょ?……こんなの、嘘でしょ?」


私にしがみつく桃華が震えた声でつぶやいて、私も震えが止まらなかった。


だって、死が、目の前にあるんだもん。




その時、蟲の上から一人の人影がこちらに向かって飛び降りてきた。


かなりの高さから飛び降りたはずなのに、フワリと着地したのは青色の髪の綺麗な大人な女の人。この人が花将軍。

モデルみたいにスラッとしててとにかく美人で……だけど、怖いなって感じる顔だった。


「やぁっぱり隠れてた。私の支配地区において隠れて暮らすなんて……おバカな人たち」


フフって笑ってこっちに向かって歩いてきた。

怖くて後ずさったけど、花将軍はまっすぐに一人を見ていた。


「ニャン、お前が奴隷を差し出すと言えば今日は見逃してやってもいいわ」

「……お前さんの言葉は信用ならん」

「コハルを寄越しなさい。そうすれば解決する話よ」

「こんな幼子をお前さんには渡さんよ。戦ってでも拒否をする」

ニャンさんは毅然とした態度で言い切って、みんなもニャンさんと同じ意見だと声をあげていた。

………いや、待って。

そもそもなんでコハルちゃん?


「アハハッ!本当にバカな人たち!お前たち弱者がこの私と蟲たちに勝てると思ったの?」

「負けたとしても!あんたらの支配よりはマシだ!」


シドさんが叫んだら、花将軍の表情がスッと変わった。

手をあげて何かを合図した瞬間、蟲の上にいた人影が降りてきた。



そして、、、それは一瞬だった。


一瞬のうちに、シドさんの身体は半分に分かれた。


シドさんを殺したのは、大きな鎌を持った男の人で……



「コイツだ!!!コイツが私の両親を殺した新人類だっ!!!!」


今まで聞いたこともないような、殺意をこめた声でルーラが叫んだ。




ルーラの両親を殺した新人類?


そんな訳ないよ。


だって、あの人は……



「アゲハ!!!」



あの人は、アゲハだもん。



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