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CASE1 アゲハの失踪
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翌日、事情を知ったお母さんは私に無理するなって言ったけど無視して学校に行った。
アゲハが最後に目撃された場所はここだから。
いつか、なにか、見つかるかもしれない。
教室に入るとみんな昨日のおばさんとタイヨウさんの話で噂は持ちきりだった。
「井黒死んだって事?」
「もう遺品整理?コワッ!」
「余命宣告されてるほど悪かったの?」
「もうダメでしょ」
「海とかに沈んでるんじゃない?」
なんで誰も、生きてるって言わないのかな?
私ももう、生きてるとは思えないけどさ。
だけど、希望は捨てたくない。
「空、あんまり気にしちゃダメだよ?」
桃華も私のせいか笑顔が少なくなってしまった。
**********
その日の帰り
なんとなく行った裏門の自転車置き場。
別に深い意味はなかった。
ただ、アゲハが最後にいた形跡があった場所に来たかっただけ。
自転車に乗れないアゲハがいるはずのない自転車置き場。
ここで、アゲハは何か用があったって事?
一人でノロノロ歩いていくと、アゲハのスクバが落ちていた場所に見慣れた人影があった。
桃華と……辛島くん?
桃華は自転車通学じゃない。辛島くんは知らないけど。
桃華は怒った様子だったし、なんか「やっほー」ってテンションで現れていい空気感じゃなかったからそっと近づいて会話を盗み聞きしようっと思っちゃって。
だけど、まぁまぁ桃華の声が大きくて、あんまり近づかなくても会話が聞こえてきた。
「私が空に言うから!!辛島くんのせいだって!!!」
「だってよ!本当に消えるなんて思わねぇだろ普通!!」
「自分が楽になりたいからって私に話すのはズルい!知った私はもう空の顔も見れなくなったのに!!」
「虹野には言うな!言ったって誰も信じないだろ!都市伝説が本当の話だったなんて!」
「実際に井黒くんいなくなっちゃったんだから信じるよ!!」
どういう事?
二人はアゲハの失踪理由を知っているの??
消えた?
都市伝説?
辛島くんのせい?
桃華は何をいつから知っていた?
アゲハがいなくなって、私の世界は色を失った。
小さい頃から当たり前にいたアゲハ。
病気で苦しくてもいつも笑顔で、辛いとか苦しいとか絶対に言わなかったアゲハ。
最近は遊んだりすることもなかったけど、だけどいることが当たり前だった。
その当たり前を失った理由が今、ここにある。
「二人とも、何話してるの?アゲハが消えたってどういう事?」
私から出たとは思えないほど、冷たい声で言い放った。
思いがけない私の登場に、二人は固まって、それから気まずそうに顔を見合わせていた。
それすらも、私にとっては苛つく行動だった。
アゲハが最後に目撃された場所はここだから。
いつか、なにか、見つかるかもしれない。
教室に入るとみんな昨日のおばさんとタイヨウさんの話で噂は持ちきりだった。
「井黒死んだって事?」
「もう遺品整理?コワッ!」
「余命宣告されてるほど悪かったの?」
「もうダメでしょ」
「海とかに沈んでるんじゃない?」
なんで誰も、生きてるって言わないのかな?
私ももう、生きてるとは思えないけどさ。
だけど、希望は捨てたくない。
「空、あんまり気にしちゃダメだよ?」
桃華も私のせいか笑顔が少なくなってしまった。
**********
その日の帰り
なんとなく行った裏門の自転車置き場。
別に深い意味はなかった。
ただ、アゲハが最後にいた形跡があった場所に来たかっただけ。
自転車に乗れないアゲハがいるはずのない自転車置き場。
ここで、アゲハは何か用があったって事?
一人でノロノロ歩いていくと、アゲハのスクバが落ちていた場所に見慣れた人影があった。
桃華と……辛島くん?
桃華は自転車通学じゃない。辛島くんは知らないけど。
桃華は怒った様子だったし、なんか「やっほー」ってテンションで現れていい空気感じゃなかったからそっと近づいて会話を盗み聞きしようっと思っちゃって。
だけど、まぁまぁ桃華の声が大きくて、あんまり近づかなくても会話が聞こえてきた。
「私が空に言うから!!辛島くんのせいだって!!!」
「だってよ!本当に消えるなんて思わねぇだろ普通!!」
「自分が楽になりたいからって私に話すのはズルい!知った私はもう空の顔も見れなくなったのに!!」
「虹野には言うな!言ったって誰も信じないだろ!都市伝説が本当の話だったなんて!」
「実際に井黒くんいなくなっちゃったんだから信じるよ!!」
どういう事?
二人はアゲハの失踪理由を知っているの??
消えた?
都市伝説?
辛島くんのせい?
桃華は何をいつから知っていた?
アゲハがいなくなって、私の世界は色を失った。
小さい頃から当たり前にいたアゲハ。
病気で苦しくてもいつも笑顔で、辛いとか苦しいとか絶対に言わなかったアゲハ。
最近は遊んだりすることもなかったけど、だけどいることが当たり前だった。
その当たり前を失った理由が今、ここにある。
「二人とも、何話してるの?アゲハが消えたってどういう事?」
私から出たとは思えないほど、冷たい声で言い放った。
思いがけない私の登場に、二人は固まって、それから気まずそうに顔を見合わせていた。
それすらも、私にとっては苛つく行動だった。
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