物の怪なんでも相談所

■水に棲む

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季節は流れて、夏


雪男や雪女にとって、一番苦手な季節。



人間の学生には“夏休み”という長期休暇が夏にあるとの事で

今まさに、夏休み。



しかし、夏に苦手な俺と雪乃は

相談所のエアコンの設定温度を下げすぎだと毎日のように皆に怒られ

暑さに………殺されそうになっていた。



「“故郷が恋しい”とは、こういう時に思うのかもしれないね………。
今なら分かる。この言葉の意味が」


雪乃が変なことを言い出しているし

今年は本当に……異常な暑さのようだ。


「今年の夏は異常だな。
働く気がおきねーよ」


犬や狐や猿にもこたえる暑さのようで皆ダラダラしている。

が、やはり冷房はあまり下げてもらえず、代わりに仕事の休みが増えそうだった。


「もー暑いの無理！健治さん！長めの休みくださいっ！！」


「長め……の、休み？」


俺が聞き直したら雪乃がウンウン頷いて


「山行こうよ、山！！
人間があまり行かないような険しい山！！
山にいるほうが涼しそうだし川で遊んだり魚採ったりしてしばらく過ごそうよ！！」


雪乃の計画はたぶん、数日は山に籠もる計画。


都会に染まった今時の人間のような生活を好む雪乃だけど

故郷にいた頃は二人で野山を駆け回っわていたからこそ

数日くらいなら山に籠もるのも悪くないって思ったんだろう………。


「俺は……母ちゃんたち置いていけないし、、」

「僕はアウトドアに興味ないのでいいです」


トビと亮介には拒否されて

健治さんは仕事があるという理由もあって


俺と雪乃だけで山に行くことになった。