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◇招かれざる客
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“物の怪なんでも相談所”は変わらず依頼が絶えない日々だった。
夢喰いに食べられた夢を取り戻す依頼とか
北風小僧が連れ去った南風を連れ戻すとか
鬼と一緒に鬼ごっことか
僕的には面倒な依頼が多くなった気がするけど、相談所に一人増えたら楽になった気がするんだ。
そんなある日の夕方
相談所に現れたのは人型をしている女の物の怪。
「すみません、息子を、探してくれませんか?」
笑った顔が胡散臭いけど、依頼者には変わりない。
「どうぞ、そちらにお掛けください。
えーっと、亮介。茶を用意してくれないな?」
「分かりました。お待ち下さい」
ちょうど僕と健治さんしか相談所にいなかったから、僕がお茶出し。
それは別にいいんだけど………なんか気になるんだよ、あの女。
すっごい嫌な感じで………僕の全身が拒否反応を示すような感じ。
なぜかは分からないけど、僕はひと目見ただけで苦手って思ったんだ。
「それで、依頼内容は“息子さんを探す”ですよね?」
「えぇ。そうです。
あ、こちら書き終わりました」
依頼表を書いて渡したのか健治さんがしばらく無言。
気になってチラッと健治さんを見たら、妙に険しい顔をしていた。
「九州からわざわざココまで……」
“九州”って単語に思わず手を止めて健治さんの方を見た。
だって、九州って……九州の物の怪って……
嫌な予感……しかない。
夢喰いに食べられた夢を取り戻す依頼とか
北風小僧が連れ去った南風を連れ戻すとか
鬼と一緒に鬼ごっことか
僕的には面倒な依頼が多くなった気がするけど、相談所に一人増えたら楽になった気がするんだ。
そんなある日の夕方
相談所に現れたのは人型をしている女の物の怪。
「すみません、息子を、探してくれませんか?」
笑った顔が胡散臭いけど、依頼者には変わりない。
「どうぞ、そちらにお掛けください。
えーっと、亮介。茶を用意してくれないな?」
「分かりました。お待ち下さい」
ちょうど僕と健治さんしか相談所にいなかったから、僕がお茶出し。
それは別にいいんだけど………なんか気になるんだよ、あの女。
すっごい嫌な感じで………僕の全身が拒否反応を示すような感じ。
なぜかは分からないけど、僕はひと目見ただけで苦手って思ったんだ。
「それで、依頼内容は“息子さんを探す”ですよね?」
「えぇ。そうです。
あ、こちら書き終わりました」
依頼表を書いて渡したのか健治さんがしばらく無言。
気になってチラッと健治さんを見たら、妙に険しい顔をしていた。
「九州からわざわざココまで……」
“九州”って単語に思わず手を止めて健治さんの方を見た。
だって、九州って……九州の物の怪って……
嫌な予感……しかない。
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