物の怪なんでも相談所

由奈(YUNA)

文字の大きさ
上 下
85 / 105
◇招かれざる客

1

しおりを挟む
“物の怪なんでも相談所”は変わらず依頼が絶えない日々だった。


夢喰いに食べられた夢を取り戻す依頼とか

北風小僧が連れ去った南風を連れ戻すとか

鬼と一緒に鬼ごっことか


僕的には面倒な依頼が多くなった気がするけど、相談所に一人増えたら楽になった気がするんだ。



そんなある日の夕方


相談所に現れたのは人型をしている女の物の怪。


「すみません、息子を、探してくれませんか?」


笑った顔が胡散臭いけど、依頼者には変わりない。


「どうぞ、そちらにお掛けください。
えーっと、亮介。茶を用意してくれないな?」

「分かりました。お待ち下さい」


ちょうど僕と健治さんしか相談所にいなかったから、僕がお茶出し。


それは別にいいんだけど………なんか気になるんだよ、あの女。


すっごい嫌な感じで………僕の全身が拒否反応を示すような感じ。


なぜかは分からないけど、僕はひと目見ただけで苦手って思ったんだ。


「それで、依頼内容は“息子さんを探す”ですよね?」


「えぇ。そうです。
あ、こちら書き終わりました」


依頼表を書いて渡したのか健治さんがしばらく無言。

気になってチラッと健治さんを見たら、妙に険しい顔をしていた。



「九州からわざわざココまで……」


“九州”って単語に思わず手を止めて健治さんの方を見た。

だって、九州って……九州の物の怪って……



嫌な予感……しかない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

カフェひなたぼっこ

松田 詩依
キャラ文芸
 関東圏にある小さな町「日和町」  駅を降りると皆、大河川に架かる橋を渡り我が家へと帰ってゆく。そしてそんな彼らが必ず通るのが「ひより商店街」である。   日和町にデパートなくとも、ひより商店街で揃わぬ物はなし。とまで言わしめる程、多種多様な店舗が立ち並び、昼夜問わず人々で賑わっている昔ながらの商店街。  その中に、ひっそりと佇む十坪にも満たない小さな小さなカフェ「ひなたぼっこ」  店内は六つのカウンター席のみ。狭い店内には日中その名を表すように、ぽかぽかとした心地よい陽気が差し込む。  店先に置かれた小さな座布団の近くには「看板猫 虎次郎」と書かれた手作り感溢れる看板が置かれている。だが、その者が仕事を勤めているかはその日の気分次第。  「おまかせランチ」と「おまかせスイーツ」のたった二つのメニューを下げたその店を一人で営むのは--泣く子も黙る、般若のような強面を下げた男、瀬野弘太郎である。 ※2020.4.12 新装開店致しました 不定期更新※

実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは

竹井ゴールド
ライト文芸
 日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。  その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。  青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。  その後がよろしくない。  青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。  妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。  長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。  次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。  三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。  四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。  この5人とも青夜は家族となり、  ・・・何これ? 少し想定外なんだけど。  【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】 【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】 【2023/6/5、お気に入り数2130突破】 【アルファポリスのみの投稿です】 【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】 【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】 【未完】

スーサイドアップガール

釧路太郎
キャラ文芸
僕は大学生の時にイギリスから来た小学生のソフィアとアリスと知り合い、いつの間にか僕はアリスと仲良くなっていた。 大学卒業後に母校の教師になった僕。 その数年後にはソフィアの担任になり、ソフィアの立ち上げた部活の顧問にもなっていた。 僕とソフィアは部室でもある視聴覚準備室を舞台に、生徒達の悩みを聞いていくこととなる。 思春期特有の悩みの奥にある何かを探す事で、ソフィアは徐々に成長していく。 この作品は「小説家になろう」「アルファポリス」「ノベルアッププラス」にも掲載しています。

和菓子屋たぬきつね

ゆきかさね
キャラ文芸
1期 少女と白狐の悪魔が和菓子屋で働く話です。 2018年4月に完結しました。 2期 死んだ女と禿鷲の悪魔の話です。 2018年10月に完結しました。 3期 妻を亡くした男性と二匹の猫の話です。 2022年6月に完結しました。 4期 魔女と口の悪い悪魔の話です。 連載中です。

春から一緒に暮らすことになったいとこたちは露出癖があるせいで僕に色々と見せてくる

釧路太郎
キャラ文芸
僕には露出狂のいとこが三人いる。 他の人にはわからないように僕だけに下着をチラ見せしてくるのだが、他の人はその秘密を誰も知らない。 そんな三人のいとこたちとの共同生活が始まるのだが、僕は何事もなく生活していくことが出来るのか。 三姉妹の長女前田沙緒莉は大学一年生。次女の前田陽香は高校一年生。三女の前田真弓は中学一年生。 新生活に向けたスタートは始まったばかりなのだ。   この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」にも投稿しています。

隣の家に住むイクメンの正体は龍神様でした~社無しの神とちびっ子神使候補たち

鳴澤うた
キャラ文芸
失恋にストーカー。 心身ともにボロボロになった姉崎菜緒は、とうとう道端で倒れるように寝てしまって……。 悪夢にうなされる菜緒を夢の中で救ってくれたのはなんとお隣のイクメン、藤村辰巳だった。 辰巳と辰巳が世話する子供たちとなんだかんだと交流を深めていくけれど、子供たちはどこか不可思議だ。 それもそのはず、人の姿をとっているけれど辰巳も子供たちも人じゃない。 社を持たない龍神様とこれから神使となるため勉強中の動物たちだったのだ! 食に対し、こだわりの強い辰巳に神使候補の子供たちや見守っている神様たちはご不満で、今の現状を打破しようと菜緒を仲間に入れようと画策していて…… 神様と作る二十四節気ごはんを召し上がれ!

引きこもりアラフォーはポツンと一軒家でイモつくりをはじめます

ジャン・幸田
キャラ文芸
 アラフォー世代で引きこもりの村瀬は住まいを奪われホームレスになるところを救われた! それは山奥のポツンと一軒家で生活するという依頼だった。条件はヘンテコなイモの栽培!  そのイモ自体はなんの変哲もないものだったが、なぜか村瀬の一軒家には物の怪たちが集まるようになった! 一体全体なんなんだ?

友人ミナヅキの難解方程式

一花カナウ
キャラ文芸
理工学部生の日常をそこで学ぶ用語と交えて綴る、 ちょっぴり哲学的なお話。 友情あり、恋愛あり、理系知識ありでお送りする 理工学部の日常を描いた物語。

処理中です...