物の怪なんでも相談所

由奈(YUNA)

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●いい香りのする依頼人

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「あー、どうぞ、座ってください。
えーっと?お名前と依頼内容を教えてくれますか?」


目の前に座る女はイマドキのOLって感じ。

めちゃめちゃタイトスカートが似合う……顔とスタイルは完璧な女。


依頼表を差し出すと名前と依頼内容に○をつけた。


齊藤さつき


依頼内容は……素行調査?



「他に、書かなくていいんですか?」


「あー、いいです。後は直接お話を伺うんで……」



依頼表を受け取ったけど……やっぱり人間……なんだよなぁ、齊藤サン。


さて、どうしたものか……?


「えっと、まずはなぜウチに依頼を?
ウチは看板もない店なんでね、皆さんに聞いてるんですよ」


正確には、ただの人間にはこの店は見つかる訳がない。

って事は、物の怪を知る人間………で、確定だよなぁ、、、


「あの……その前にお名前くらいは教えてくれないんですか?」


おっと……忘れてた!

物の怪相手だと店の名前ついでに自分の名前も知られているけど

人間じゃ、知るわけないか。


「おっちゃんは“神代健治”と言います。
こちら、名刺です」


名刺を渡すとじっと名前を見られたけど……別に名刺にはなにも細工はないからな?


「では、神代さん。ご質問の答えですが……
偶然です。ここに来たら解決してくれそうな気がしたからです」


偶然……ねぇ。。。


依頼表を片手に話に耳を傾けた。



「この人を調べてほしいんです」



差し出された写真を見て、吹き出しそうになった。


そこに映っていたのは、一人の男と三人の色っぽいネーチャン。

明らかにチャラ男な見た目の男と、頭の悪そうな女たち。



「この彼を、調べてください」


齊藤サン、めちゃめちゃ真剣に聞いてくるけどさ……

齊藤サンに釣り合わなそうな見た目の男だし………それに、俺には分かる。



この写真の男、たぶん俺の同族だって。
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