立花家へようこそ！

11.立花家の秘密

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「…母親のところ」

一瞬躊躇ったようだったけど、はっきりと答えた唯斗くんから美香さんは視線をそらした。

たぶん、美香さんにとっては聞きたくない言葉だったんだと思う。

唇が震えながらまた口を開いた。


「いつ、帰ってくるの？……ずっと、そっちに、は……いないわよね？」


絞り出すように言うから、美香さんが痛々しくて見ていられなかった。


「それは……」

ガンッ―――――！！


唯斗くんが口を開いたタイミングで、大和くんがテーブルを叩いた。

みんながどうした！？って思ったと思う。

唯斗くんが続きを言うのをやめたから。


「母さんは聞き方が悪い。唯斗に逃げ道を作らないでよ。

いつ帰ってくるか？今、帰ってきてるでしょ？だから聞く必要はない。

そう聞けば唯斗は逃げ出したくて『まだ帰らない』とか平気で言い出すから」

「ご、ごめん、大和……」


美香さんはシュンとしたけど気にしないで大和くんが続けた。


「唯斗も唯斗だからね？

親に負担をかけたくないから大学に行きたくないって話、なんで俺には言えて母さんたちに言えないの？
母さんたちには大学に行きたくないしか言わないから揉めるんじゃん。

本当の親元に行けば大学は行かない、立花の家の負担が減る。

どーせそんなくだらない考えなんでしょ？唯斗って馬鹿だよね」


「は？なんでお前にそこまで言われなきゃいけねーの？」


「唯斗が馬鹿だからでしょ？自分ひとりで全部考えて完結して……。

少しは親と俺の気持ち、考えろって！」


「別に考えないで行動してない」


「考えた結果、唯斗がこの家にいない方がいいって意味？」


「違う？俺とお前が兄弟でも腹違いだろ？体裁だってかなり悪い」


「そんな風に考えていたら、そもそもこの場所で7人で住む決断をするはずないだろ！だから唯斗は馬鹿なんだよ！
もし俺が、唯斗が腹違いだから嫌だと思ったなら、俺は高校すらもっと離れた全寮制とか選んだよ！」

大和くんがきつく言う姿はこの前に見たけど

その時とは違う。


大和くんの言葉には、唯斗くんへの気持ちが込められているから。


唯斗くんもそれが分からない訳ないから、ここまで大和くんに言われたら黙ってしまった。