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決戦前
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ルイの家族のいる場所は拠点から少し離れた離島。
橋を作って離島と離島を繋げているから歩いて行ける。
無言でルイの家の前に行ったら啜り泣く声が聞こえた。
きっとルイのお母さん。
あたしも泣きたいのをこらえてノックしたら少ししてルイのお父さんが出てきた。
目が赤い……きっと泣いていたんだ。
「セシルちゃん……」
ルイのお父さんはそれ以外なにも言わず、あたしは頭を下げた。
「巻き込んでしまい……申し訳ありません」
「いいのよ」
優しい声に顔をあげたらそこにいたのはルイのお母さん。
「セシルちゃんたちが来る前にね、ルイの部隊だったって人がみんな謝ったの。でもね、誰も悪くないじゃない。ルイは国を変えたくて戦った。私の誇りよ」
「私は……ルイを守れなかった」
「そうやってセシルちゃんが泣くとルイも天国で心配するから……だからセシルちゃん泣かないで」
一切あたしを責めない家族にあたしは余計に涙が零れた。
「ルイは将になりたがっていた……東の戦いでルイを将にしてくれたセシルちゃんに対してルイは嬉しかったみたいだよ。
農家の家庭の息子が将だって喜んでいた。活躍したんだって大騒ぎでさ……だから逆にセシルちゃんに感謝してる……ルイに農業以外の生き方をさせてくれた事を。だ
からセシルちゃんやアベルさんやゼシカさんを責めたりはしないよ。感謝しているくらいだ」
ルイのお父さんの言葉にあたしは泣き崩れた。
この会話中もルイと親交があった兵士や他の住民が弔いに訪れた。
あたしの姿に驚きながらもあたしとルイが親友だったとみんな知ってるから何も言わなかった。
「まだまだこんなにルイの死を悼む人々がいて……皇都にいたらありえない話だった。ルイはここにいて幸せだったはず。
セシルちゃんはもう自分を責めないで……ルイのためにもルイが目指した世界をセシルちゃんも目指して」
ルイのお父さんの言葉にあたしはただ泣きながら頷いた。
ルイが目指した世界……あたしが目指している世界。
必ず、叶えてみせる。
そう強く思った。
橋を作って離島と離島を繋げているから歩いて行ける。
無言でルイの家の前に行ったら啜り泣く声が聞こえた。
きっとルイのお母さん。
あたしも泣きたいのをこらえてノックしたら少ししてルイのお父さんが出てきた。
目が赤い……きっと泣いていたんだ。
「セシルちゃん……」
ルイのお父さんはそれ以外なにも言わず、あたしは頭を下げた。
「巻き込んでしまい……申し訳ありません」
「いいのよ」
優しい声に顔をあげたらそこにいたのはルイのお母さん。
「セシルちゃんたちが来る前にね、ルイの部隊だったって人がみんな謝ったの。でもね、誰も悪くないじゃない。ルイは国を変えたくて戦った。私の誇りよ」
「私は……ルイを守れなかった」
「そうやってセシルちゃんが泣くとルイも天国で心配するから……だからセシルちゃん泣かないで」
一切あたしを責めない家族にあたしは余計に涙が零れた。
「ルイは将になりたがっていた……東の戦いでルイを将にしてくれたセシルちゃんに対してルイは嬉しかったみたいだよ。
農家の家庭の息子が将だって喜んでいた。活躍したんだって大騒ぎでさ……だから逆にセシルちゃんに感謝してる……ルイに農業以外の生き方をさせてくれた事を。だ
からセシルちゃんやアベルさんやゼシカさんを責めたりはしないよ。感謝しているくらいだ」
ルイのお父さんの言葉にあたしは泣き崩れた。
この会話中もルイと親交があった兵士や他の住民が弔いに訪れた。
あたしの姿に驚きながらもあたしとルイが親友だったとみんな知ってるから何も言わなかった。
「まだまだこんなにルイの死を悼む人々がいて……皇都にいたらありえない話だった。ルイはここにいて幸せだったはず。
セシルちゃんはもう自分を責めないで……ルイのためにもルイが目指した世界をセシルちゃんも目指して」
ルイのお父さんの言葉にあたしはただ泣きながら頷いた。
ルイが目指した世界……あたしが目指している世界。
必ず、叶えてみせる。
そう強く思った。
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