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コウ
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ふぅっと息を吐いてからユウジさんの方を向いた
「これからも母さんをよろしくお願いします
俺はもう、帰ります」
そう言って立ち上がった
言った
言えたんだけど、
だけど、、、
「………っ、コウ、!」
俺を呼び止める声に振り向いた
“俺”と認識して
こうやって名前を呼ばれたのは
思い出せないくらい久しぶり
「ごめん、、ねっ……
辛いのは、、私だけじゃ……なかったのに、、、」
泣きながら嗚咽混じりに紡ぐ言葉
それは、今まで言わなかった言葉で
母さんは
「謝らないでよ
あと、分かっているから……」
母さんは、辛かったっていう事
分からないほど、子供じゃない
「母さんがまた俺に会いたいって思ったら……いつでも連絡してよ
俺は、必ず会いに行くよ」
母さんは涙を流しながら頷いて、何度も俺に「ごめんね」と「ありがとう」を言い続けた
そんな母さんを見て、言葉では言い表せない感情が胸に溢れた
これは喜びなのか怒りなのか悲しみなのか
たぶん、全部の感情が一気に溢れた
母さんとようやく話せた
母さんは俺を許すとは言わなかった
だけど、きっと許されたんだと思う
母さんはまっすぐに俺を見た
「今度はゆっくり……コウの、話を、、聞きたい、、、」
少し気まずそうに
だけどハッキリと、言った
「……うん、分かった
何が聞きたいかとか色々考えててね?
俺も話したいことが、たくさんあるから」
母さんは頷いて、それからまた大泣きした
不安定な様子でもあったから、俺はいない方がいいと思って部屋を出た
「コウ、また来いよ?
あと、送れなくて悪いな?」
ユウジさんの『また来い』が
嬉しく感じたのは今日がはじめて
「これからも母さんをよろしくお願いします
俺はもう、帰ります」
そう言って立ち上がった
言った
言えたんだけど、
だけど、、、
「………っ、コウ、!」
俺を呼び止める声に振り向いた
“俺”と認識して
こうやって名前を呼ばれたのは
思い出せないくらい久しぶり
「ごめん、、ねっ……
辛いのは、、私だけじゃ……なかったのに、、、」
泣きながら嗚咽混じりに紡ぐ言葉
それは、今まで言わなかった言葉で
母さんは
「謝らないでよ
あと、分かっているから……」
母さんは、辛かったっていう事
分からないほど、子供じゃない
「母さんがまた俺に会いたいって思ったら……いつでも連絡してよ
俺は、必ず会いに行くよ」
母さんは涙を流しながら頷いて、何度も俺に「ごめんね」と「ありがとう」を言い続けた
そんな母さんを見て、言葉では言い表せない感情が胸に溢れた
これは喜びなのか怒りなのか悲しみなのか
たぶん、全部の感情が一気に溢れた
母さんとようやく話せた
母さんは俺を許すとは言わなかった
だけど、きっと許されたんだと思う
母さんはまっすぐに俺を見た
「今度はゆっくり……コウの、話を、、聞きたい、、、」
少し気まずそうに
だけどハッキリと、言った
「……うん、分かった
何が聞きたいかとか色々考えててね?
俺も話したいことが、たくさんあるから」
母さんは頷いて、それからまた大泣きした
不安定な様子でもあったから、俺はいない方がいいと思って部屋を出た
「コウ、また来いよ?
あと、送れなくて悪いな?」
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嬉しく感じたのは今日がはじめて
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