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陥落するまでの話
1.序
しおりを挟む「あっ……う、んぁあ……あっ」
「ははっ どれだけ出すの?」
「っや、め……っ!」
もう無理だと言っているのに、いつまでも硬度を保っている怒張が奥を穿つ。後孔へ吐き出された精液を捏ねられ、ぬちゃぬちゃ淫猥な音が鼓膜を嬲った。
「あっ、ぁっ、ァ──」
これは一方的な行為だ。了承なんかしていない。名を呼ばれ振り返った──はずが、気づいたらこの部屋にいた。しかも寝台の上に。
無理やり身体を暴かれているのだから抵抗すればよいことはわかっている。それなのに力はまったく入らなかった。
「ん、っあ……っ」
朦朧としていく意識の中、意味をなさない声とぬちぬちいやらしい水音が室内に放たれていた。自分の意思に反して身体は快感を拾い、相手の望むように反応してしまう。
何度目になるかわからない吐精でぐちゃぐちゃになった身体は酷い有様だ。もう吐き出せるものはないはずなのに奥を突かれるとひくひく腰が震え、先端からとろりと体液が溢れた。
「まだ達けるみたいだ」
「あ……ぁ……もぅ、むりっ」
息が上手く吸えない。溺れたようにはくはく口を開けて求める。みっともない。喘ぐことしかできなくて苦しむ俺の痴態を、目の前の男は面白そうに見ていた。ギラギラした瞳は楽しげだ。
おかしい。
なんでこんなことになってしまったのだろう。
この人が俺に手を出すわけがない。ただの部下で、歳だって十も離れている。それだけじゃないのだ。騎士として名の知られた存在だ。逞しく精悍な顔つきと、侯爵家の品位を持ち合わせている。秋波を送られるどころか同性からも好意を寄せられる人だ。
『稀代の最強騎士・金の王剣』
輝く金色の髪からそう称されるような、この強国の騎士団を統括している人物。どこにでもいる一介の騎士、凡庸な俺とは違う。
「アル……」
とろりと熱を含んだ低い声で愛称を口にされた。そんなふうに呼ばないでほしい。いつの間にか当たり前になって、そばにいることに慣らされて。勘違いしそうになる。俺に気持ちがあるなんて思わせないでほしいのに。
低音に鼓膜を刺激されれば反射的に力が入り、まだ抜かれていない怒張を締めつけてしまった。信じたくない組み敷かれている現状を、事実として認識させられた。
「うっ……く、アッ、ぁっ……」
「そんなに、っ喰いつかれると……また出しちゃうよ?」
「ああぁ、っ……!」
ズズッと引き抜く動きで腸壁を擦られた。たまらず声を上げてしまう。好き勝手なことをしているのはレオンだというのに、俺が悪いような言い方をしてくる。抗議したいがそんなことできる余裕など微塵もなく、俺は髪を振り乱し、自分のものとは思えない甘い嬌声を発し続けた。
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