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第1章 冒険者生活を始める。
再会した二人とモフモフ
しおりを挟む「おい、無茶しすぎだ!」
空中でしっかりと受け止め着地はしたが、流石に幼なじみとは言え、騎竜から飛び降りてくるとは想定していなかったので慌てて、思わず本気の動きをしてしまった。
「何も問題ないでしょ? 私はアヴラムを信じてるから!」
「それはそうかもしれないけど……」
この無茶が過ぎるイヴリースが本当にお嬢様なのか疑問に思う。
(見た目は確かに美人だが、中身がな……)
しかしそんなことを聞くとイヴリースの機嫌が悪くなりそうなので聞くことはできない。
「そんなことより聞いたけど、一体どうなってるの!? アヴラムが悪いわけ無いじゃない!!」
「俺を信頼してくれてるのは嬉しいけど、まずは落ち着いてくれ、その話をするにはとりあえずここは場所が悪い。それに、まずは上の騎竜をどうにかしてくれないか?」
逃げ惑う人々で閑散とした大通りだが、未だに上空を旋回している飛竜に人の目が集まっている。
そのお陰で、アヴラムがイヴを受け止めたところに注目を受けていないのだが、これ以上放置していれば、冒険者ギルドや聖騎士団が動きかねない。
「……そうね、わかったわ。でも後でちゃんと説明してよ」
そう言うとイヴリースは笛を取り出し、決められた回数を吹いて合図を送ると、騎竜はこの場から飛び去った。
「とりあえずギルドに行こう。あそこなら人払いを頼めば、秘密の話でも出来る」
クリフォートのギルドには大きな貸しがあるので、それぐらいは快くやってくれるはずだ。
■■■
ギルドに移動しているとビートがアヴラムに助けて欲しそうに目線を送っている。
それでも声に出さないのは逆らってはいけない相手だと本能で悟っているからだろう。
それは正しい判断で、アヴラムも一回、本気でキレたイヴリースを見たことがあるが、修羅と間違えるほどだった……
■■■
何があったのか説明すると、それはアヴラムがギルドに向かおうと言った時だった。
その時に、ようやくイヴリースがアヴラムの後ろにいるビートの存在に気付いたのだ。
そしてそれがアヴラムの奴隷だと分かると怒りはしたのだが、事情を説明すると納得してくれて、それ以上の欲求が上回ったようだ。
ビートは獣人であり、見た目は小さい。言ってしまえば、触っても文句を言われない、モフモフで小型の動物だ。
それも貴族の間で人気の愛玩シリーズの中でも人気の上位と言われる[兎]だ。
イヴリースもお嬢様なので、そういうものにも興味があったのだろう。
聖騎士団の中にいた時にはそんなものは無かったので、見ることが出来なかったが、目の前に触ってもいい、モフモフなビートがいるから押さえられなかったという具合だろう……
ということでビートは今、目をキラキラさせたイヴリースに抱っこされる格好でモフモフを存分に楽しまれている。
流石にアヴラムは男で、ビートも男だから、そこまではしたくないが、たまにモフモフを触りたいのに触らせてくれないから不公平だとも思うので、ビートには悪いが助けることはしない。
(決して、ビートを取り上げたらイヴリースが怒りそうだからとかではないからな……)
そんなイヴリースの意外な一面を見ながら、アヴラム達はギルド[クリフォート]に帰って行った。
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