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第 四 話
しおりを挟む「 ……つ…さん… 」
「 さ…ん!お…い! 」
〈 誰かが…私を呼んでいる? 〉
「 …さん!私もおつさ…んと…まだ、冒険が…たいよ! 」
「 おっさん!目…を開け…ろ! 」
私の体を激しく揺さぶっている…
〈 私は一体何をしていた? 〉
「 おつさん!起きてください! 」
「 おい!おっさん! 」
近くで大きな声と連続的に鳴るアラームのような音がはっきりと聞こえるようになった。
「 ん?ここ…は? 」
私の意識は再びVRMMOの世界に戻って来た。ノアさんとリドさんが必死に叫んでいるのが見えた。
視界の画面左端には2人の名前が並んで見えた。ギルド副隊長の権限で強制パーティを組んだようだ。私の体力ゲージを彼等がモニタリングしながら、生命を繋ぎとめてくれていたのだ。
「 おっさん!起きたか?俺等が分かるか?ヒールが追い付かないんだ! 」
「 おつさん、何か状態異常回復アイテムか、高品位の解毒アイテムありませんか?モンスターのレベルが高過ぎたので、毒の持続ダメージの効果時間が異常に長いし、普通の解毒アイテムじゃ効果が無いの! 」
私は急いでメニュー画面から、アイテムボックスを開くと上級者の方にいただいたレアアイテムまで隅々と、毒の効果に対処し得るアイテムが無いか探し始めた。体力ゲージはお二人の回復魔法で6ミリ程回復しては、毒の連続ダメージで5ミリ又は6ミリほど削られるのを何度も繰り返していた。しかし、肝心な解毒のアイテムは無かった。
「 ノアさん、アイテムに高品位な解毒の類は無いようです 」
「 そんな!嫌です。おつさん!諦めないで! 」
「 ノアさんだって、先程はゲームだからと言っていたじゃないですか 」
「 そうは言いましたが、でも、なんだか嫌な予感がするんです。だから、諦めないでください 」
「 ノアさん…〈 私もあの時、感じてた嫌な予感は今も感じている 〉 」
「 そうだ、おっさん!スキルポイント使ってないよな? 」
「 はい、リドさん。ボタンが沢山あるので、怖くて触ってもいません 」
「 なら、毒に対するスキルが習得出来るはずだ。まず、毒耐性スキルを探して、アクティベートのボタンを押してみてくれ 」
「 了解です 」
私はメニュー画面からスキル一覧を開いた。ついこの間始めた頃に比べて、随分スキルが増えていた。一画面のうち三分の一程だったスキルが、今や60ページにも及ぶ量になっているのに驚いた。スキルポイントの残高に目をやると、なんと750万ポイント近くになっていた。兎に角、私は解毒のスキルを隈なく探した。
「 あった! 」
私は見つけた毒耐性のスキルに言われた通りにボタンを押し、ポイントを急いで振り分けていく。スキルのレベルが上がっていく。次第にスキルの名称が『 解毒弱 』から『 毒半減 』、更に『 解毒強 』から『 毒無効化 』そして『 劇毒無効 』と毒耐性スキルがカンストした。
効果の程は直ぐ現れた。
じっとさえしていれば、体力は少しずつ自然回復するこの世界での仕様は、毒の連続ダメージが消えた今、次第に体力ゲージが増えていくのが見て取れた。
私はステータスを確認した。状態異常『 猛毒 』の文字はどこにも見当たらなかった。
「 おつさん? 」
「 ノアさん、もう大丈夫。ありがとう 」
「 おっさん!成功か? 」
「 はい、リドさん。『 劇毒無効 』になりました 」
「 すげぇ!毒耐性カンストかよ! 」
「 おつさん、よかった… 」
ノアさんの瞳には溢れそうな涙を溜め、今にも泣きそうな震えた声に罪の意識を強く感じていた。
「 リドさん、ノアさん。ありがとうございます 」
「 おっさん!何を言う。初心者救済アイテムを使ったとは言え、ひとりであのモンスターを一掃したんだ。礼を言うのはこっちだよ。ありがとう 」
「 そうですよ。おつさん、助けてもらったのはこちらです。ありがとうございます 」
私は仲間の役に立てた事が本当に嬉しかった。しかし、この優越感に浸るも意識が戻ってから以降、頭の中でアラームのような連続する音が鳴り響いていたのが気になっていた。
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