ヴァミリオン・ブレイドワールド・オンライン【VbO】

ヴァミリオン・ブレイドワールド 転移編

１話 白銀のヴァラヴォルフ

　ほぼほぼ、24時間動き続ける黒の筐体のパソコンは、リアルな３Ｄキャラと背景がヌルヌル動くオンラインゲーム専用の特別ＰＲＯ仕様だ。

　ボサボサの髪と黒色の上下のジャージ姿が、いつもの俺のプレイスタイルだ。

ピンポーン

　それは、ゲーム中の俺の愉しみを妨げるかのようにチャイムが鳴った。

ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン！

　玄関前の奴は呼び鈴をしつこく鳴らし始めた。
　面倒臭いがゲームに集中出来ないから、仕方なく子機を手に取った。

「 はい？ 」
「 宅配便です 」

〈 ん？宅配？俺、何か頼んだっけ？ 〉

「 ご苦労様です。今、そっちに行きます 」

　
 俺は玄関のドアを開けると宅配のおっちゃんから大きな段ボール箱を受け取った。

「 おにーさん、ここにサインを 」
「 あ、はい 」

　普通に受け取ってしまったが、この段ボール箱大きさの割には異様に軽すぎる。
　宛名を見れば送り主が『 ゴーゴーヘブンズ 』と書いてあった。
　住所はここで合ってるし、宛名は俺だ。間違いは無い。
　
「 まぁ、いいか、俺の所に届いたんだ、開けちまえ！ 」

　俺は幅広のガムテープで封をしてある段ボール箱に、カッターの刃を数ミリ刺し入れ切り開いた。
　中には段ボール箱の7分の1サイズの小さな箱が、中央に貼り付けてっあっただけだった。

「 何？この無駄な梱包は？ 」

　若干、噴き出した俺はその中央に貼り付けてある、小さな箱をジックリと見た。
　そのパッケージデザインにふと、見覚えがある事に気がつく。

「 あ？これって！今やってるオンラインゲームから最近出た、数量限定の超激レアキャラ同梱パッケージじゃないか！ 」

　俺は周囲を見渡した。
　何故なら、こんな激レアパッケージが送られてくるんだ、絶対ドッキリの何かだろうと。
　小さなパッケージを段ボール箱の底からゆっくり剥がすと、パッケージの隙間に紙が差し込まれていた。
　折りたたまれた紙を広げてみると、そこに小さな文字が書かれていた。


おめでとうございます！
アナタはこの『 ＶｂＯ（ヴァミリオン・ブレイドワールド・オンライン） 』の
最優秀ＶｂＯゲームプレーヤーに選ばれました。
アナタの日頃のゲームプレイ時のログを解析し、
神聖なる審査の結果、ワールドプレーヤー数約１２０万人の中から、
最優秀ゲームプレーヤーとして認定致しました。
その優秀なゲームプレイスタイルの他、
日頃のご愛顧賜りまして誠に有難うございます。
その感謝の意を込め、同梱の超激レアキャラを進呈させていただきます。
より、ＶｂＯの世界をご堪能くださいますよう、
心より宜しくお願い申し上げます。

ゴーゴーヘブンズ


「 日頃のゲームプレイって、監視されてるのかよ。何だかこえーな。でもまぁ、超激レアキャラ貰ったから良しとするか 」

　俺はその白銀のヴァラヴォルフ（狼）のイラストが表面に描かれた、パッケージを見て笑みが溢れまくる。
　それはまだ、誰も持っていないキャラだからだ。

「 すげーカッコいい！ 」

　俺は早くＶｂＯにキャラコンバートして、ゲームプレイしたいと思った。


「 コイツは目立っちゃうな！またＰＶＰの的かな（笑 」


　俺は丁度腹が減っていたので、しっかり腹ごしらえをしてから、新キャラで冒険を満喫しようと決めた。
　いつも験担げんかつぎで特別に食す、激辛ラーメンを取りにキッチンへ向かった。