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雑多な未分類掌編共(単発完結シリーズ)
お題「武器」
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この世の武器は大きく二種類の武器に分けられる。
呪われた武器か、呪われていない武器か──。
「その武器を手放せ。ブレイブ」
長いひげを蓄えた老人が年若い男に向かって杖を向け警告する。
「いくら師匠の命令とはいえ、それは聞けませぬ」
「その武器は呪われておる。人の手にあるべきモノではない」
「そんなはずはない!」
ブレイブと呼ばれたその男は激高し、手に持った大鎌を掲げる。
「この武器は私が拵えたもの。呪われてなど……」
呪いの種類は2種類ある。
その武器に魅入られ、多大な力を秘めていると勘違いし手放せなくなる呪い。
もう一つは、あまりにも強大な力が故、その武器に振り回されてしまう呪い。
「まさか……いや、でも。我らが魔導師の迫害を打破するためには、強力な武具は必要なのです」
その一言に、老人は深い、深いため息をついた。
「その武器がどれほどの力を有しているか、おぬしならわかろう。それでも、その力を振るうというのならば、師匠として止めねばならぬ」
「何故」
「一方的な虐殺兵器は禍根を残し、破滅への道にしかつながらん」
「それでも──。それでも、今の迫害される時代より、ましです」
ブレイブの大鎌を握る手に力が入る。
老人は悲しそうな、そして諦めたような目でブレイブを一瞥して呟く。
「そうか、既に取り込まれておったか。ならば仕方があるまい。力尽くでも」
ぽうっと、老人の杖の先が青い光を発する。
その光をみて、ブレイブは絶望の顔をし、震える声で老人に告げる。
「本気なのですね」
「弟子の命までは取ろうとは思わぬ。しかし、その武器は封印させてもらう」
「残念です」
そういって、ブレイブは大鎌を水平に構える。
老人の足下には幾重もの魔方陣が展開され、四方に紫の防壁を形作る。老人の最大の防御魔法である。
ブレイブは目をつぶり、大鎌を横薙ぎに虚空を切り裂く。
その刃は衝撃となって、老人を襲い……そしてあっけなく胴を切り裂いた。
「本当に残念です。師匠」
老人の亡骸を見て、手に持った大鎌を掲げる。
* * *
数年後、世界は老人の言うとおり、破滅への道と進んでいく。
そこに、ゴーストサイズと呼ばれる災厄の大鎌と、それを持つ人の心を無くした一人の男が中心となっている事を、この時のブレイブは知る由もない。
呪われた武器か、呪われていない武器か──。
「その武器を手放せ。ブレイブ」
長いひげを蓄えた老人が年若い男に向かって杖を向け警告する。
「いくら師匠の命令とはいえ、それは聞けませぬ」
「その武器は呪われておる。人の手にあるべきモノではない」
「そんなはずはない!」
ブレイブと呼ばれたその男は激高し、手に持った大鎌を掲げる。
「この武器は私が拵えたもの。呪われてなど……」
呪いの種類は2種類ある。
その武器に魅入られ、多大な力を秘めていると勘違いし手放せなくなる呪い。
もう一つは、あまりにも強大な力が故、その武器に振り回されてしまう呪い。
「まさか……いや、でも。我らが魔導師の迫害を打破するためには、強力な武具は必要なのです」
その一言に、老人は深い、深いため息をついた。
「その武器がどれほどの力を有しているか、おぬしならわかろう。それでも、その力を振るうというのならば、師匠として止めねばならぬ」
「何故」
「一方的な虐殺兵器は禍根を残し、破滅への道にしかつながらん」
「それでも──。それでも、今の迫害される時代より、ましです」
ブレイブの大鎌を握る手に力が入る。
老人は悲しそうな、そして諦めたような目でブレイブを一瞥して呟く。
「そうか、既に取り込まれておったか。ならば仕方があるまい。力尽くでも」
ぽうっと、老人の杖の先が青い光を発する。
その光をみて、ブレイブは絶望の顔をし、震える声で老人に告げる。
「本気なのですね」
「弟子の命までは取ろうとは思わぬ。しかし、その武器は封印させてもらう」
「残念です」
そういって、ブレイブは大鎌を水平に構える。
老人の足下には幾重もの魔方陣が展開され、四方に紫の防壁を形作る。老人の最大の防御魔法である。
ブレイブは目をつぶり、大鎌を横薙ぎに虚空を切り裂く。
その刃は衝撃となって、老人を襲い……そしてあっけなく胴を切り裂いた。
「本当に残念です。師匠」
老人の亡骸を見て、手に持った大鎌を掲げる。
* * *
数年後、世界は老人の言うとおり、破滅への道と進んでいく。
そこに、ゴーストサイズと呼ばれる災厄の大鎌と、それを持つ人の心を無くした一人の男が中心となっている事を、この時のブレイブは知る由もない。
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