アイアム悪役令嬢,バット世界を救う聖女になります

alunam

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チュートリアル(入学前)

『ストーリーを開始する前に、チュートリアルを実行しますか?』……いいえ、スキップします。だって私……

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 ――――お嬢様は5日間、意識不明の重体でした。
そうリズから告げられた私は、自分の意識程には身体の方が動かない事に気付いた。
 寝たきりのままだったので気にならなかったが、起きようとしても中々思い通りに動いてくれない。

 それでも起き上がろうとする私を見かねてか、リズが「失礼します」と一声かけた後、私を抱き起してくれた。

 「ありがとう、リズ。貴女のお蔭で助かったわ」

 再び感謝の言葉を私の口から聞いたリズが、さっきの言葉は幻でなかった事を確認したようだ。

 「そんな!お嬢様にお仕えするのはメイドとして当然です!」

 病み上がり故の気の迷いか、ともすれば嵐の前触れか……私の言葉が、彼女の小さな身体を精一杯くの字に曲げて頭を下げさせてしまった。

 「謙遜しないで、貴女はよくやってくれたわ。それより5日間もね……まずは湯浴みの手配をして貰えるかしら?」

 「っ!?畏まりました、直ちに!」
 
 膝におでこがくっ付いてしまうのではないかといった勢いで更に頭を下げたリズが、顔を上げた反動で放たれた矢の様に部屋を飛び出していった。大丈夫かしら?慌てなくてもいいのに……それも無理な話だろう。
 今までだったら命令……それも「何でそれ位も気付かないのかしら?」の嫌味+理不尽がヒステリックな声で飛んで来ていたはずだから。
 それがマリアルイゼ・クリシュナーダ。それこそが悪役令嬢たる、最もらしい振る舞いであったろう。

 だが今の私は、過去の私と現在のマリアルイゼ。どちらの記憶も、同じように私だ。二人で一人のマリアルイゼになった。理不尽な事はやりたくない……

 今言ってすぐ準備が整う程、幾ら魔法のあるこの世界でも万能ではない。お風呂の準備が出来る迄時間が必要だ、それ迄は現状を確認しよう――――





 今いるマリアルイゼ・クリシュナーダの世界は、乙女ゲーム「ヘレスティア」の中の世界。
太古の昔、魔王ラウザーと女神ヘレスティアが争った大陸「レースアリア」―――
 世界を滅ぼす魔王と、平和の女神ヘレスティアの戦いは熾烈を極めたが女神ヘレスティアの勝利に終わる。

 現在では、幾つかの国と都市国家が存在する中世ヨーロッパ時代の文明。その中でもレースアリア最大の王国「リーンガルド」が物語の舞台。

 そんな太古の戦争があったとは無縁の平和な世界に、女神と同じ名前を持った孤児「ヘレスティア」は、リーンガルドが誇る名門校「テスタメント」に転校する事になる……これから始まる、彼女を翻弄する数奇な運命に導かれる様に……

 


 ―――これが裏パッケージに記載されてる内容。
ゲーム自体は3まで製作されている、それなりに昔のゲームだ。続編が作られる程度には人気だったが、初代は出来るゲーム機体も限られていて知る人ぞ知る作品である。

 それを何で裏パッケージの事まで知ってるんだ?って聞かれたら……所謂、私もオタクと呼ばれる層の人間で、それなりに昔のゲームを遊んでた位の年齢だったからだ。
 ぶっちゃけ、公式設定資料集とか買う位にはドハマリしてました!
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