番が欲しいアイツと、実らない恋をした俺の話。

sideノア

14.その後の２人。

コトが始まる前のキスが好きだ。

啄むように唇を擽り、甘噛をして。熱い舌先で、俺の閉じた唇を刺激してくる。
ちょっと意地悪して口を開けずにいると、仕返しとばかりにねっとりと唇を貪られる。

まるで喰い付くように大きく口を開き、べろりとゆっくり時間をかけて舐られる。
少しずつこじ開けて口腔に侵入してくる舌使いに、背筋がゾクゾクとして快感が這い上がってくる。そして根負けして降参してしまう。

でもそうなると、ルーカスの意地悪モードが発動するらしく、焦らすだけ焦らして決定的な刺激をくれない。

今日も、意地悪モード発動中だ。歯列や口蓋を刺激して腰がゾワゾワする快楽を与えてくるクセに、絶対に俺の舌に絡めようとはしない。

溢れる唾液を追いかけて、首筋までの感触を楽しんでは再び口へと戻ってきて意地悪を繰り返す。

「あ……お…ね、がい……」

苦しくなって縋り付く。

「何が？」

クスクス笑いながら、俺の唇を弄ぶ。
我慢できずにぺろりと舌を出して、ルーカスの唇を舐めてみた。

「……っ！」

一瞬息を飲み固まる。………かと思いきや、自分の昂りを俺の腰に擦り付け始めた。

「ヤバいな……。ノアの舌、ふわふわで滅茶苦茶気持ちいー…………」

うっとりと目を細める。

「ノア、刺激欲しいの？」

甘ったるい声が耳を擽る。必死にコクコクと頷くと、ルーカスの瞳がどろりとした甘さに溶けた。

「じゃあさ、べーって舌突き出して？」

言われるがまま舌を出す。

「そのまま……。引っ込めたら……お仕置きだから……」

ゾワリと全身が粟立つ。
いつの間にか俺も随分調教されてしまった気がする………。

突き出した舌に、ルーカスが自分の舌を重ねてくる。アイスを舐めるようにゆったりと嬲りあげ、その長い舌を絡めてくる。
再び重ねてきた舌がウネウネと動き、俺から快感を引き出そう引き出そうと蠢く。

俺は突き出した舌を引っ込める訳にもいかず、その甘い刺激に必死に耐えた。

ジワリと唾液が出てきて、舌先から滴り落ちる。
それを器用に舌でキャッチした後、漸く俺は許されて貪るようなキスを捧げられた。

小さな嵐のように口腔内を蹂躙してくる。
激しくて苦しいはずなのに、ソコには確かに快楽の種があり、俺のナカで芽吹き育ちつつあった。

唇が痺れるくらいに刺激され、もう抵抗なんて考えもつかないくらい迄トロトロに蕩けさせてくる。


ここまでどっぷり快楽漬けになってるのに、まだキスだけなんだぜ？


ルーカス、お前は俺を一体どうしたいんだよ…………涙