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番外編
大人の夢、子供の夢【後編】
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「ほらティティ、口の端に付いてる」
小さな口でサンドイッチを頬張っていたティアは、私に指摘されてパン屑が付いた場所を探して手を動かした。
「ふふ……、ここ。ほら」
手を伸ばしてパン屑を摘んであげると、ティアは赤く頬を染めて嬉しそうに笑った。
「ありがと、あーしゅ」
「どういたしまして」
にっこり笑って、摘んでいたパン屑をパクリと食べる。その様子に、ティアはびっくりした様子で瞬いた。
「どうしたの?」
「てぃてぃ、『はんぱもの』なの。神様にきらわれてるから、みんなてぃてぃに触らないよ?あーしゅ、かわってるね?」
コテリと首を傾げるその姿。哀しみや苦しみなどはその表情には存在せず、ただ当たり前の事を口にしているだけ、といった様子。この人は一体どれ程寂しい時を、たった一人で過ごしてきたというのか。
アデルが『しっかり甘やかせ』と言った意味が分かる気がした。
「おかしな事を言うね、ティティ。貴方は私の番なのだから、私が触れることになんの問題もないんだよ。言っただろう?貴方を抱き上げていたいし、手を繋いでいたいって」
きょとんとした顔に指の背を当て、柔らかな感触を堪能しながら頬を撫でる。
「大事な番に触れていられることは何よりも喜びで、」
するりと指を滑らせ耳朶を掠めつつ、汗で少し湿った髪を搔き上げてやる。
「何よりも私を幸せにする事なんだ。ティティは違うの?」
じっと、コバルトブルーの瞳が私を見つめる。そして自分の小さな手を見下ろしたティアは、その手を髪を梳く私の手に重ねて「ふふ……」っと笑い声を洩らした。
「………ほんと。しあわせ、だね」
ふわふわと笑う姿に、私も緩みっぱなしの眦を更に緩めて微笑んでみせた。
「分かってくれて嬉しいよ」
「うん。あーしゅ、あのね………」
喜びの光を瞳に宿して、可愛らしい口調で言葉を紡ごうとした、その時。
「ーーーーおや。よく知った気配がすると出てきてみれば、随分愛らしい姿になっておるな」
「………っ!?」
少し掠れているものの、凛とした声が突然響く。全く何の気配も察知出来なかった自分に愕然としながらも、咄嗟にティアを背後隠し身構える。ギッ!と睨むように声のした方に視線を向けると、そこに一人の老人が立っていた。
「ほ。空竜よ、相も変わらず余裕がないの」
「……………。バーロルス様」
見覚えのある姿に思わずその名を呼ぶ。
「何故、ここに………」
「あれ、し、しょー?」
私の声に被さるように、背後からひょっこりと顔を出したティアがびっくりしたような声を洩らした。
「……………は?」
「おぉティア、久しぶりじゃの。何じゃ、随分懐かしい姿になりおって、可愛いではないか」
ついっと伸ばされた皺だらけの手がティアの頬を撫でる。嬉しそうにきゅっと瞳を閉じて撫でられるがままになっているティアを、思わず抱き寄せ腕の中に閉じ込めてしまった。
「何じゃ、空竜。可愛いティアを独り占めにするのは許さんぞ」
「ティアは私の番ですので、気安く触らないでください。それより私の番と一体どのような関係ですか?」
「む?ティアから聞いとらんのか?ほほ、まだまだ信用されとらんようだの、空竜」
「先程のティアの言葉で予想はついてます。ティアに師匠は誰か言うなと仰ったのでしょう?彼はそれを守っているだけです」
バチバチと睨み合う私達に何かを感じ取ったのか、腕の中に収まっていたティアは少し身じろぎ、心配そうに視線を上げた。
「し、しょー。あーしゅは、てぃてぃのつがい、です。イジめちゃ、イヤです」
「…………む」
困ったようなハの字眉になったティアは、バーロルス様に懸命に訴える。幼いながらも番を守ろうとする姿は、『大事に囲ってあげる』と私を口説いたティアを彷彿させて擽ったいような甘酸っぱいような、何とも表現できない気持ちが湧き上がってきた。…………が、しかし。
ついっと視線を私に向けると、ティアは困り顔のまま上目遣いで唇を尖らせた。
「あーしゅも、ししょーとケンカしちゃ、ダメ。」
「あ、すみません………」
謝る以外の選択肢はない。
「何じゃ、さっそく番の尻に敷かれとるの、空竜」
ニヤニヤと底意地が悪く笑うバーロルス様を冷たく見やり、心配そうなティアを抱き上げた。
「心配させてしまったね、ティティ。久々にお会いした方だから、少しびっくりしたんだよ」
「し、しょーを、しってる、の?」
「そう。バーロルス様は先々代の土竜だから、面識があるんだ」
「?ししょー、竜なの?」
「ティティ、知らなかったの?」
「まぁ、教えておらんからの。知らんで当然じゃ」
フム、と顎を撫でるバーロルス様に視線を向ける。
「そもそも何故バーロルス様が薬師としての師匠になったんですか」
「それはな…………」
ゆったりと首を傾げたバーロルス様は、孫を愛しむように目を細めた。
「理由なぞただ1つ。可愛いから、だの」
「……………」
思わず胡乱な眼差しとなってバーロルス様を見る。竜族は元々年長者を敬う性質があるが、今現在バーロルス様を敬える気がしない。
「し、しょーとはね、さんさい取りにいった山で、ケガした時にあったの。助けてくれたんだよ」
ツンと襟元を引き、ティアが詳細を教えてくれた。
孤児院時代、山菜を取りにひとり山へと行かされた時に、うっかり崖から滑り落ちて怪我をしたところを助けてくれたのがバーロルス様だったそうだ。
辺りに生息する薬草で手早く処置をしてくれたのを見て、『カッコいい』と呟いたティアを気に入って弟子にしてくれたのだという。
「お主が不幸にも番を失って暴れていたのは知っておったが。何せ竜にとっての番は『神聖不可侵』な存在。如何なる理由があっても、番は己自身で探すべしと決められている以上、儂に出来ることは番の方を守ってやることくらいだったしの」
そっと手を伸ばして、ティアの頭を優しく撫でる。
「あの頃のティアは後天性獣人として蔑まれて、あのままでは生き残れるかどうかも危ぶまれたのでな」
目尻の皺を更に深めて笑みを深めると、徐ろに私に向き直った。
「ティアはその育ち故に自己肯定感が低い。愛でるだけではなく、きちんと話をしてやりなさい」
太陽の光を受けて輝く土竜の証たる黄金色の髪、森の木々を思わせる深緑の瞳。矍鑠としつつ、その瞳には長い時を生きた者が持つ慈愛の光を灯していた。
「自己肯定は、己の根底を知らねば叶わぬ。ティアが『ティア』である理由をちゃんと教えてやるのだな」
「………………」
意外にも穏やかに諭されてしまい、返す言葉もなく沈黙する。ふと、腕の中のティアが身じろいだため視線を落とすと、じっと直向きに私を見つめるコバルトブルーの瞳とかち合った。
「ティア…………」
呟く様に名を呼ぶと、細い首を傾ける。私達2人の様子を眺めていたバーロルス様は、「ふ…っ」と笑いを洩らし鷹揚に頷いた。
「一度失い、そして漸く出会えたのだ。今はそのぎこちない関係を、敢えて楽しむのも一興かの。ま、2人仲良くな」
「し、しょー、帰るの?」
バーロルス様の言葉に、別れの雰囲気を感じてティアが残念そうな声を出す。その姿に、目に入れても痛くないといった相貌で、バーロルス様は目を細めた。
「どんな神の気まぐれかは知らんが、懐かしい姿のティアに会えたのは重畳。元気で過ごすのだぞ、ティア」
「うん。ししょー、またお薬つくるの、おしえてね?」
「ほほ……、お主はもう全てを学んでおるわ。小さい故に覚えておらぬだけ。だが、そうだな……」
ポンポンと頭部を柔らかく撫で、そしてバーロルス様はその足元に転移の魔法陣を展開させた。
「忘れたのならば、いくらでも教えよう。まぁ、空竜の許可があれば、だがの」
ほほ……、と笑いを一つ残して、バーロルス様はその姿を消した。嵐のような突然の来訪と突然の帰還に、ティアと2人顔を見合わせ、どちらともなく笑いだしてしまっていた。
「ふ……、バーロルス様も相変わらず自由な方だ」
「し、しょー、びっくり」
クスクスと笑うティアを抱き上げたまま軽く揺する。
「折角バーロルス様から助言を頂いたし、少し昔話をしようか、ティティ」
「うん」
さっきまでランチを楽しんでいたピクニックシートの上に座ると、腕の中のティアを膝に乗せた。保温性のある水筒からココアをカップに移すと、マシュマロを数個浮かべて大人しく膝に座る彼に手渡す。
「熱いから気を付けて」
「ありがと」
カップを受け取って、ふぅふぅと息を吹き掛け冷ましている。その様を愛おしく思いながら、眼下にある旋毛に唇を落とした。
「ティティは、私がどれだけ貴方を望んでいるのか分からないと思う」
「?」
カップを持ったまま、顔を仰のかせ私を見つめるティア。
「空竜はね、番を探さなくていい唯一の竜だ。空の一族に生まれると分かっているし、誕生したら直ぐに知らせが来る。でもだからといって直ぐに会えるわけじゃないんだ」
「つがいって分かってるのに、あえないの?何で?」
「竜にとっての番は、心身の安寧を齎す大事な存在でね。酷く執着してしまうんだよ。それこそ、番の実の両親からも引き離してしまうほどに、ね」
ティアがこの世に誕生した知らせを受けて湧き上がった歓喜の気持ちは、父に1年の接近禁止期間を言い渡された瞬間、酷い焦燥感に支配された。
分かっている。この執着はティアのためにも、自分のためにもならない。
父に諭され頷きはしたものの、それでもまだまだ未成熟な心は納得できずに、生まれたばかりの番を求め強い苛立ちを募らせてしまっていた。
強い力を持つ竜は、その力に比例して番に対して強い執着を持つと言う。歴代最高峰とされる力を持つ私は、当然の様に強い執着を以て番を求めた。
「我慢しなければ……と思っても、なかなか気持ちが付いていかなくてね。随分と情緒不安定になっていたんだ」
「あーしゅが?」
「そう。私が」
信じられない、と目を見開くティア。語る私に気を取られて、手に持つカップが傾いている事に気付かない。そっと手を添えて傾きを直すと、はっとココアで満たされたカップを持ち直し、思い出したように小さな口で一口啜った。
「そんな私を父は危ぶんだみたいでね。貴方の両親にも相談して、世界に唯一つのギフトを私にくれた」
「ぎふと……?」
「そうだよ。何よりも嬉しいギフトだった」
「それは、なぁに?」
可愛らしく首を傾げる。私を見つめる瞳には、純粋な好奇心に溢れている。
可愛い、可愛い、ティア。私の唯一の貴方。
「貴方の名前を、私がつけて良いと、そう言われたんだよ」
大切な宝物に、私だけのモノだという所有の証を………。
「あの時の私は本当に未熟だったと、今ならよく分かる。でも当然ながら、あの頃の私にはそんな事は分からない。貴方は私の為だけに存在するのだと、周りを牽制したくてね。貴方の名前から私を連想できるように、私の名前の一部を貴方の名前としたんだ」
「なまえ…………」
「そうだよ。アスティアとティア。似ているとは思わなかった?」
「あ………」
「随分と傲慢な気持ちで付けてしまった名前だけど。でも貴方を一度失って、狂いそうになりながら探し求めた長い期間、その名前だけが私を正気に繋ぎ止める唯一となった」
苦しかったあの時を思い返す苦い表情を見られたくなくて、ティアの頭に自分の顎を乗せて見上げられなくする。
「誰かが私の名を呼ぶ。そうすれば、名前の中に存在する貴方を感じることができた。あの日、あの時、貴方を見付けたあの瞬間まで、貴方の名前と存在は私を救い続けたんだ」
するりと小さな身体に腕を回す。腹の前でクロスした腕に、僅かに力を籠めた。
「小さな貴方も大きな貴方も、変わらず愛してる。でも、どうしてだろう…………」
頭に乗せていた顎を引き、柔らかな髪に顔を埋めた。
「今、どうしても貴方に会いたいんだ。………ティア」
祈るように、懇願するように、その名前を呼ぶ。小さなティアはとても可愛く、食べてしまいたいくらいに愛しく思うけど、それだけでは満たされない何かがある。
髪に顔を埋めたままそっと瞼を閉じていると、ふと頬に触れる指を感じた。
さざ波立つ心を宥めるように、指の腹で頬のラインを辿ってくる。思わずその指を掴み、腕の中に居る存在に目を向けると、彼は穏やかに微笑んでくれていた。
「………………おかえり。大きな貴方」
その微笑みに誘われるように口付け、腕に力を籠めてギュッと抱き締める。戯れるように触れる唇、混じりあう吐息と籠もる熱。何ものにも代え難い、その唯一の存在を感じて、私は漸く安堵のため息をついた。
「小さな貴方をドロドロに甘やかしたいと思っていたはずなのに、意外に私は堪え性がないらしい」
元の姿に戻っても、サラサラと心地良い感触の髪に唇を触れさせる。分かってはいたけど、あの番が不在だった長い期間は、私に予想よりも大きなトラウマを残していたらしい。
『ティティ』も彼自身ではあるけど、幼い故に彼は守るべきモノ、愛しむべきモノ。でも空竜が求めるのは私という存在を認め、そのままを受け入れてくれる番に他ならない、と気付かされた。
成る程。こんな私にティアはとっくに気付いていたのか。だからこそ、「囲ってあげる」と口説いてきたのか。
ふ、と腕の力を抜き、抱き締めたままだったティアの瞳を覗き込むと、彼は柔らかく笑みを深めた。
「アスティア。出会った頃に、貴方が僕に言ってくれた言葉を、今度は僕が貴方に言ってあげる」
「ーーーーどの言葉だろうか」
「『貴方は色々と考えすぎるようだ』」
ぴくりと肩が揺れる。
「『大事なのは番である貴方と私が出会えたこと』。アスティア、出会えたのだから、もう何も心配しなくていいよ。大事に囲ってあげると言ったでしょう?いつ如何なる時も、どんな姿なっても。貴方の唯一が僕であるように、僕の唯一も貴方なんだから、大切に愛くしんであげる」
するりと腕の中から抜け出すと、膝立ちとなって変わらず座っている私の頭を大事そうに抱き締めてきた。
「小さな僕も大きな僕も、変わらず貴方を愛してる」
「ーーーーー」
視界はティアの華奢な肩に覆われて、僅かに向こうに広がる森が見えるだけ。私は無意識に両腕を持ち上げて、ティアの肩越しに自分の手を眺めた。
長く番を求めて彷徨い足掻いていた。だけど、今、この腕の中に…………。
「ーーーー貴方がいる………」
背中に腕を回してぎゅっと抱き締めて、瞳を閉じる。
「うん。ここにいる」
耳に心地良い囁きは、私の心を満たして癒やしてくれる。
「そうか。どうやら私はまだ神の恩恵を受けるだけの器ではなかったらしい」
「アスティア?」
きょとんと見下ろすティアの頬を、今度は私が指で辿った。
「もう少し、気持ちが強く保てるようになったら、もう一度神に願ってみよう。『小さなティティ』に会いたいって」
「そうしたら、今度はドロドロに甘やかす?」
「そう。もう大人になりたくないって、思うくらいに溺愛してみせよう」
私の発言に、ティアは悪戯っぽい笑みを浮べた。
「ずっと子供のままじゃ、もうアスティアと枕を交わす事はできないね?」
「え………?」
不意をつく発言に、つい真顔になる。
「ちょ………、え?」
パッと立ち上がり、ティアは満面の笑みで私を見つめた。
「アスティアが強い気持ちを保てるようになる日、楽しみにしてるね!」
「いや、待ってティア!」
慌てる私を可笑しそうに見守っている。
ーーーーああ、やっぱり私は何時までもティアに勝てる気がしない………。
焦って追いかけ掴んだ腕を引き寄せながら、私はその事実を諦めと微かな喜びを感じつつ受け入れるのだった。
□■□■□■□■
遅くなりました。番外編の後編です。
多分、アスティアとティアの名前、似てるなぁと思われた方も多いかと。
今回は名前の由来と、ティアの薬師の師匠の正体が明らかになるお話です。
アスティアが名前をつけたシーンは、本編35話:鏡に映っている小さなアスティアが紙に『ティア』と書いた場面です。
小さな伏線でしたけど、無事に回収できて良かった~!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
小さな口でサンドイッチを頬張っていたティアは、私に指摘されてパン屑が付いた場所を探して手を動かした。
「ふふ……、ここ。ほら」
手を伸ばしてパン屑を摘んであげると、ティアは赤く頬を染めて嬉しそうに笑った。
「ありがと、あーしゅ」
「どういたしまして」
にっこり笑って、摘んでいたパン屑をパクリと食べる。その様子に、ティアはびっくりした様子で瞬いた。
「どうしたの?」
「てぃてぃ、『はんぱもの』なの。神様にきらわれてるから、みんなてぃてぃに触らないよ?あーしゅ、かわってるね?」
コテリと首を傾げるその姿。哀しみや苦しみなどはその表情には存在せず、ただ当たり前の事を口にしているだけ、といった様子。この人は一体どれ程寂しい時を、たった一人で過ごしてきたというのか。
アデルが『しっかり甘やかせ』と言った意味が分かる気がした。
「おかしな事を言うね、ティティ。貴方は私の番なのだから、私が触れることになんの問題もないんだよ。言っただろう?貴方を抱き上げていたいし、手を繋いでいたいって」
きょとんとした顔に指の背を当て、柔らかな感触を堪能しながら頬を撫でる。
「大事な番に触れていられることは何よりも喜びで、」
するりと指を滑らせ耳朶を掠めつつ、汗で少し湿った髪を搔き上げてやる。
「何よりも私を幸せにする事なんだ。ティティは違うの?」
じっと、コバルトブルーの瞳が私を見つめる。そして自分の小さな手を見下ろしたティアは、その手を髪を梳く私の手に重ねて「ふふ……」っと笑い声を洩らした。
「………ほんと。しあわせ、だね」
ふわふわと笑う姿に、私も緩みっぱなしの眦を更に緩めて微笑んでみせた。
「分かってくれて嬉しいよ」
「うん。あーしゅ、あのね………」
喜びの光を瞳に宿して、可愛らしい口調で言葉を紡ごうとした、その時。
「ーーーーおや。よく知った気配がすると出てきてみれば、随分愛らしい姿になっておるな」
「………っ!?」
少し掠れているものの、凛とした声が突然響く。全く何の気配も察知出来なかった自分に愕然としながらも、咄嗟にティアを背後隠し身構える。ギッ!と睨むように声のした方に視線を向けると、そこに一人の老人が立っていた。
「ほ。空竜よ、相も変わらず余裕がないの」
「……………。バーロルス様」
見覚えのある姿に思わずその名を呼ぶ。
「何故、ここに………」
「あれ、し、しょー?」
私の声に被さるように、背後からひょっこりと顔を出したティアがびっくりしたような声を洩らした。
「……………は?」
「おぉティア、久しぶりじゃの。何じゃ、随分懐かしい姿になりおって、可愛いではないか」
ついっと伸ばされた皺だらけの手がティアの頬を撫でる。嬉しそうにきゅっと瞳を閉じて撫でられるがままになっているティアを、思わず抱き寄せ腕の中に閉じ込めてしまった。
「何じゃ、空竜。可愛いティアを独り占めにするのは許さんぞ」
「ティアは私の番ですので、気安く触らないでください。それより私の番と一体どのような関係ですか?」
「む?ティアから聞いとらんのか?ほほ、まだまだ信用されとらんようだの、空竜」
「先程のティアの言葉で予想はついてます。ティアに師匠は誰か言うなと仰ったのでしょう?彼はそれを守っているだけです」
バチバチと睨み合う私達に何かを感じ取ったのか、腕の中に収まっていたティアは少し身じろぎ、心配そうに視線を上げた。
「し、しょー。あーしゅは、てぃてぃのつがい、です。イジめちゃ、イヤです」
「…………む」
困ったようなハの字眉になったティアは、バーロルス様に懸命に訴える。幼いながらも番を守ろうとする姿は、『大事に囲ってあげる』と私を口説いたティアを彷彿させて擽ったいような甘酸っぱいような、何とも表現できない気持ちが湧き上がってきた。…………が、しかし。
ついっと視線を私に向けると、ティアは困り顔のまま上目遣いで唇を尖らせた。
「あーしゅも、ししょーとケンカしちゃ、ダメ。」
「あ、すみません………」
謝る以外の選択肢はない。
「何じゃ、さっそく番の尻に敷かれとるの、空竜」
ニヤニヤと底意地が悪く笑うバーロルス様を冷たく見やり、心配そうなティアを抱き上げた。
「心配させてしまったね、ティティ。久々にお会いした方だから、少しびっくりしたんだよ」
「し、しょーを、しってる、の?」
「そう。バーロルス様は先々代の土竜だから、面識があるんだ」
「?ししょー、竜なの?」
「ティティ、知らなかったの?」
「まぁ、教えておらんからの。知らんで当然じゃ」
フム、と顎を撫でるバーロルス様に視線を向ける。
「そもそも何故バーロルス様が薬師としての師匠になったんですか」
「それはな…………」
ゆったりと首を傾げたバーロルス様は、孫を愛しむように目を細めた。
「理由なぞただ1つ。可愛いから、だの」
「……………」
思わず胡乱な眼差しとなってバーロルス様を見る。竜族は元々年長者を敬う性質があるが、今現在バーロルス様を敬える気がしない。
「し、しょーとはね、さんさい取りにいった山で、ケガした時にあったの。助けてくれたんだよ」
ツンと襟元を引き、ティアが詳細を教えてくれた。
孤児院時代、山菜を取りにひとり山へと行かされた時に、うっかり崖から滑り落ちて怪我をしたところを助けてくれたのがバーロルス様だったそうだ。
辺りに生息する薬草で手早く処置をしてくれたのを見て、『カッコいい』と呟いたティアを気に入って弟子にしてくれたのだという。
「お主が不幸にも番を失って暴れていたのは知っておったが。何せ竜にとっての番は『神聖不可侵』な存在。如何なる理由があっても、番は己自身で探すべしと決められている以上、儂に出来ることは番の方を守ってやることくらいだったしの」
そっと手を伸ばして、ティアの頭を優しく撫でる。
「あの頃のティアは後天性獣人として蔑まれて、あのままでは生き残れるかどうかも危ぶまれたのでな」
目尻の皺を更に深めて笑みを深めると、徐ろに私に向き直った。
「ティアはその育ち故に自己肯定感が低い。愛でるだけではなく、きちんと話をしてやりなさい」
太陽の光を受けて輝く土竜の証たる黄金色の髪、森の木々を思わせる深緑の瞳。矍鑠としつつ、その瞳には長い時を生きた者が持つ慈愛の光を灯していた。
「自己肯定は、己の根底を知らねば叶わぬ。ティアが『ティア』である理由をちゃんと教えてやるのだな」
「………………」
意外にも穏やかに諭されてしまい、返す言葉もなく沈黙する。ふと、腕の中のティアが身じろいだため視線を落とすと、じっと直向きに私を見つめるコバルトブルーの瞳とかち合った。
「ティア…………」
呟く様に名を呼ぶと、細い首を傾ける。私達2人の様子を眺めていたバーロルス様は、「ふ…っ」と笑いを洩らし鷹揚に頷いた。
「一度失い、そして漸く出会えたのだ。今はそのぎこちない関係を、敢えて楽しむのも一興かの。ま、2人仲良くな」
「し、しょー、帰るの?」
バーロルス様の言葉に、別れの雰囲気を感じてティアが残念そうな声を出す。その姿に、目に入れても痛くないといった相貌で、バーロルス様は目を細めた。
「どんな神の気まぐれかは知らんが、懐かしい姿のティアに会えたのは重畳。元気で過ごすのだぞ、ティア」
「うん。ししょー、またお薬つくるの、おしえてね?」
「ほほ……、お主はもう全てを学んでおるわ。小さい故に覚えておらぬだけ。だが、そうだな……」
ポンポンと頭部を柔らかく撫で、そしてバーロルス様はその足元に転移の魔法陣を展開させた。
「忘れたのならば、いくらでも教えよう。まぁ、空竜の許可があれば、だがの」
ほほ……、と笑いを一つ残して、バーロルス様はその姿を消した。嵐のような突然の来訪と突然の帰還に、ティアと2人顔を見合わせ、どちらともなく笑いだしてしまっていた。
「ふ……、バーロルス様も相変わらず自由な方だ」
「し、しょー、びっくり」
クスクスと笑うティアを抱き上げたまま軽く揺する。
「折角バーロルス様から助言を頂いたし、少し昔話をしようか、ティティ」
「うん」
さっきまでランチを楽しんでいたピクニックシートの上に座ると、腕の中のティアを膝に乗せた。保温性のある水筒からココアをカップに移すと、マシュマロを数個浮かべて大人しく膝に座る彼に手渡す。
「熱いから気を付けて」
「ありがと」
カップを受け取って、ふぅふぅと息を吹き掛け冷ましている。その様を愛おしく思いながら、眼下にある旋毛に唇を落とした。
「ティティは、私がどれだけ貴方を望んでいるのか分からないと思う」
「?」
カップを持ったまま、顔を仰のかせ私を見つめるティア。
「空竜はね、番を探さなくていい唯一の竜だ。空の一族に生まれると分かっているし、誕生したら直ぐに知らせが来る。でもだからといって直ぐに会えるわけじゃないんだ」
「つがいって分かってるのに、あえないの?何で?」
「竜にとっての番は、心身の安寧を齎す大事な存在でね。酷く執着してしまうんだよ。それこそ、番の実の両親からも引き離してしまうほどに、ね」
ティアがこの世に誕生した知らせを受けて湧き上がった歓喜の気持ちは、父に1年の接近禁止期間を言い渡された瞬間、酷い焦燥感に支配された。
分かっている。この執着はティアのためにも、自分のためにもならない。
父に諭され頷きはしたものの、それでもまだまだ未成熟な心は納得できずに、生まれたばかりの番を求め強い苛立ちを募らせてしまっていた。
強い力を持つ竜は、その力に比例して番に対して強い執着を持つと言う。歴代最高峰とされる力を持つ私は、当然の様に強い執着を以て番を求めた。
「我慢しなければ……と思っても、なかなか気持ちが付いていかなくてね。随分と情緒不安定になっていたんだ」
「あーしゅが?」
「そう。私が」
信じられない、と目を見開くティア。語る私に気を取られて、手に持つカップが傾いている事に気付かない。そっと手を添えて傾きを直すと、はっとココアで満たされたカップを持ち直し、思い出したように小さな口で一口啜った。
「そんな私を父は危ぶんだみたいでね。貴方の両親にも相談して、世界に唯一つのギフトを私にくれた」
「ぎふと……?」
「そうだよ。何よりも嬉しいギフトだった」
「それは、なぁに?」
可愛らしく首を傾げる。私を見つめる瞳には、純粋な好奇心に溢れている。
可愛い、可愛い、ティア。私の唯一の貴方。
「貴方の名前を、私がつけて良いと、そう言われたんだよ」
大切な宝物に、私だけのモノだという所有の証を………。
「あの時の私は本当に未熟だったと、今ならよく分かる。でも当然ながら、あの頃の私にはそんな事は分からない。貴方は私の為だけに存在するのだと、周りを牽制したくてね。貴方の名前から私を連想できるように、私の名前の一部を貴方の名前としたんだ」
「なまえ…………」
「そうだよ。アスティアとティア。似ているとは思わなかった?」
「あ………」
「随分と傲慢な気持ちで付けてしまった名前だけど。でも貴方を一度失って、狂いそうになりながら探し求めた長い期間、その名前だけが私を正気に繋ぎ止める唯一となった」
苦しかったあの時を思い返す苦い表情を見られたくなくて、ティアの頭に自分の顎を乗せて見上げられなくする。
「誰かが私の名を呼ぶ。そうすれば、名前の中に存在する貴方を感じることができた。あの日、あの時、貴方を見付けたあの瞬間まで、貴方の名前と存在は私を救い続けたんだ」
するりと小さな身体に腕を回す。腹の前でクロスした腕に、僅かに力を籠めた。
「小さな貴方も大きな貴方も、変わらず愛してる。でも、どうしてだろう…………」
頭に乗せていた顎を引き、柔らかな髪に顔を埋めた。
「今、どうしても貴方に会いたいんだ。………ティア」
祈るように、懇願するように、その名前を呼ぶ。小さなティアはとても可愛く、食べてしまいたいくらいに愛しく思うけど、それだけでは満たされない何かがある。
髪に顔を埋めたままそっと瞼を閉じていると、ふと頬に触れる指を感じた。
さざ波立つ心を宥めるように、指の腹で頬のラインを辿ってくる。思わずその指を掴み、腕の中に居る存在に目を向けると、彼は穏やかに微笑んでくれていた。
「………………おかえり。大きな貴方」
その微笑みに誘われるように口付け、腕に力を籠めてギュッと抱き締める。戯れるように触れる唇、混じりあう吐息と籠もる熱。何ものにも代え難い、その唯一の存在を感じて、私は漸く安堵のため息をついた。
「小さな貴方をドロドロに甘やかしたいと思っていたはずなのに、意外に私は堪え性がないらしい」
元の姿に戻っても、サラサラと心地良い感触の髪に唇を触れさせる。分かってはいたけど、あの番が不在だった長い期間は、私に予想よりも大きなトラウマを残していたらしい。
『ティティ』も彼自身ではあるけど、幼い故に彼は守るべきモノ、愛しむべきモノ。でも空竜が求めるのは私という存在を認め、そのままを受け入れてくれる番に他ならない、と気付かされた。
成る程。こんな私にティアはとっくに気付いていたのか。だからこそ、「囲ってあげる」と口説いてきたのか。
ふ、と腕の力を抜き、抱き締めたままだったティアの瞳を覗き込むと、彼は柔らかく笑みを深めた。
「アスティア。出会った頃に、貴方が僕に言ってくれた言葉を、今度は僕が貴方に言ってあげる」
「ーーーーどの言葉だろうか」
「『貴方は色々と考えすぎるようだ』」
ぴくりと肩が揺れる。
「『大事なのは番である貴方と私が出会えたこと』。アスティア、出会えたのだから、もう何も心配しなくていいよ。大事に囲ってあげると言ったでしょう?いつ如何なる時も、どんな姿なっても。貴方の唯一が僕であるように、僕の唯一も貴方なんだから、大切に愛くしんであげる」
するりと腕の中から抜け出すと、膝立ちとなって変わらず座っている私の頭を大事そうに抱き締めてきた。
「小さな僕も大きな僕も、変わらず貴方を愛してる」
「ーーーーー」
視界はティアの華奢な肩に覆われて、僅かに向こうに広がる森が見えるだけ。私は無意識に両腕を持ち上げて、ティアの肩越しに自分の手を眺めた。
長く番を求めて彷徨い足掻いていた。だけど、今、この腕の中に…………。
「ーーーー貴方がいる………」
背中に腕を回してぎゅっと抱き締めて、瞳を閉じる。
「うん。ここにいる」
耳に心地良い囁きは、私の心を満たして癒やしてくれる。
「そうか。どうやら私はまだ神の恩恵を受けるだけの器ではなかったらしい」
「アスティア?」
きょとんと見下ろすティアの頬を、今度は私が指で辿った。
「もう少し、気持ちが強く保てるようになったら、もう一度神に願ってみよう。『小さなティティ』に会いたいって」
「そうしたら、今度はドロドロに甘やかす?」
「そう。もう大人になりたくないって、思うくらいに溺愛してみせよう」
私の発言に、ティアは悪戯っぽい笑みを浮べた。
「ずっと子供のままじゃ、もうアスティアと枕を交わす事はできないね?」
「え………?」
不意をつく発言に、つい真顔になる。
「ちょ………、え?」
パッと立ち上がり、ティアは満面の笑みで私を見つめた。
「アスティアが強い気持ちを保てるようになる日、楽しみにしてるね!」
「いや、待ってティア!」
慌てる私を可笑しそうに見守っている。
ーーーーああ、やっぱり私は何時までもティアに勝てる気がしない………。
焦って追いかけ掴んだ腕を引き寄せながら、私はその事実を諦めと微かな喜びを感じつつ受け入れるのだった。
□■□■□■□■
遅くなりました。番外編の後編です。
多分、アスティアとティアの名前、似てるなぁと思われた方も多いかと。
今回は名前の由来と、ティアの薬師の師匠の正体が明らかになるお話です。
アスティアが名前をつけたシーンは、本編35話:鏡に映っている小さなアスティアが紙に『ティア』と書いた場面です。
小さな伏線でしたけど、無事に回収できて良かった~!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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コメント…初めまして(o^∀^o)
飛鷹さんのお話はどれも好きです。こちらは本を購入させていただいたので改めまして、とても良かったです!
後天性獣人とか空竜とか!もうワクワク要素たんまりで。しかも相手を思って別れを決めるところからのスタートというの、私大好物なんです。
番だというのに、アデルを想うティティを尊重しつつも緩やかに愛に包んでいくアスティア。そしてテイティが本来の姿を取り戻した時は、もう!もう!
素敵な物語に幸せな気分になれました( ¨̮ )
これからも物語楽しみにしてます。
riiko様!
うわ〜!感想ありがとうございます!!
というか、お返事が遅くなってすみません💦💦
私も別れから始まる溺愛系は大好物です🩷
好きと言ってもらえて、本当に嬉しい!
ありがとうございました😊
こちらを知らずにお勧めから購入しました😃
購入して良かった‼️
素晴らしい作品に出会えて良かったです。
アデル!これからも頑張れ〜
小さい時から頑張ったね😢
自分も庇護される年の小さいアデルが
ティティの為に頑張ったこと
痛々しくて涙しました。
馬鹿親と屑国王のせいで
そりゃ色々ありましたが
守護者として頑張ったよ。
アデルなら国民を思いやり立派な国王に
なれるに違いない!
作者様
素晴らしい作品を有難うございます。
るりまま様
感想をありがとうございます!
どうにもならない状況で、でも一生懸命に頑張ったアデルのを応援して頂けて、凄く嬉しいです✨
あの優しさのまま、素晴らしい国をおさめてくれるはず!
読んで頂けて、とても嬉しかったです!
最終話まで読ませて頂きました!素敵な作品をどうもありがとうございました!
1点、名前がアスティア・ティアだったり、先頭にアが付いているのが共通していたりと、名前を覚えるのが不得意すぎる私には少し混乱してしまったのが残念です( т т )
また面白い作品を期待しています!
お身体にはお気をつけくださいませ♡
にゃお様
感想ありがとうございます!
すみません、感想の承認をしたことに気付いてなくて、返信できていませんでした!
名前、確かに混乱しますよねぇ………。
それを考慮して、私の書くお話の登場人物は大体カタカナ3文字の名前が多くなってます。
アデルとアスティアの、『ア』は偶然ですが、ティアとアスティアの名前は実は理由があります。
番外編でそれを書くことができたらなぁ…と、考えていますが………。
最後まで読んで頂きまして、ありがとうございました♬