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ポルトガル女王イサベラ

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癇癪持ち。
まあ、癇癪持ちではあるわね。

高名なエンリケ航海王の姪で、ポルトガル女王イサベラ。

私を「ポルトガルの狂気」と呼ぶものもいるわ。腹が立つわね。

確かに癇癪持ちではあるけど、それって私を怒らせる者達が悪いのよ。

特に、侍女!

私は鈍い子は嫌いなの。灯を持ってきてと言ったらすぐに持ってくる。なんなら、気をきかせて私が何かを言う前に持ってきなさい。

刺繍をするのに灯りが必要だってくらいわかって欲しいわ。腹がたったから、鈍い侍女を箱に閉じ込めた。

そこで反省しなさい。

で、しばらくしたらすっかりその事を忘れてしまったのよ。私は王女だから忙しいの。だから、閉じ込めたのを忘れちゃっただけ。

私の部屋から声が漏れ聞こえて侍女の誰かが箱を確認したらしいわ。そしたら、餓死寸前の侍女が出てきたんですって。

びっくりだわ。
本当に忘れていたのよ。私はすぐに気を散らすから。散漫ではないのよ?でも、何かが気になると、何かを忘れるの。それだけよ。

そうだわ。

私の祖母は「狂女フアナ」と呼ばれてたの。まあ、祖母の奇行を思えば私なんて可愛いものよね?

そう思うでしょ?



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