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俺の身の上。

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◆◆◆◆◆


俺の名は、ハロルド・ブラグデン。

貧乏侯爵家の長子にうまれた。可愛い弟と自堕落な両親と共に、上位貴族とは思えない貧しい生活を送っていた。

だが、そんな貧乏侯爵家にも転機が訪れる。伯爵位のミネルヴァ・バルシュミーデが、養子縁組の話を持ち込んできたのだ。

彼の話は両親にとり魅力的なもので、弟のラルフがバルシュミーデの養子になれば恒久的に資金援助を約束するものだった。

俺はもちろん反対した。家族を売るような真似を許してはならないと思ったからだ。だが、俺の声は暴力により封じられた。

部屋に閉じ込められた俺は、屋敷を出てバルシュミーデ家の馬車に乗り込むラルフを見ていた。

今でも鮮明に覚えている。

ラルフは泣いて屋敷に戻ろうとした。だが、ミネルヴァ・バルシュミーデに抱き抱えられて弟は馬車の中に消えた。

伯爵家はラルフを養子にすると、すぐに侯爵家に資金援助を始めた。だが、それらの金は自堕落な両親により使い果たされ、ブラグデン家の家計も荒れ果てた領地も一向に良くはならなかった。

そして、事故が起こった。
両親を乗せた馬車が崖から墜ちて、二人とも亡くなった。

実にうまくいった。これは正しい行いだと俺は信じている。

それからの俺は必死だった。東洋の絹織物の人気に目をつけ、資金を全て投入した。これは大博打だった。だが、負ける訳にはいかない。弟を犠牲にして得ている資金で失敗は許されない。

そして、俺は大博打で勝ちを射止めた。ようやく、ラルフを迎えに行くことができる。

そう思った矢先に、ラルフの身にとんでもないことが起こってしまった。ラルフを養子にした伯爵は、とんでもない変態野郎だったのだ。領地の青年を誘拐しては、性奴隷に調教して怪しげな儀式を行っていたのだ。

当然、伯爵は処刑されると思っていた。だが、異端審問の場でラルフが涙ながらに養父を庇う発言をしたために、奴は処刑を免れた。

俺はあまりの事に気絶しそうになった。ラルフは明らかに変態伯爵に洗脳されている。そうとしか考えられない。

いや、もしかすると・・もっと酷い目に遭っていたのかもしれない。そう思うと、胸が潰れそうになりたまらなくなる。

もっと早くに救いだすべきだったのに、俺はラルフの血と肉を金にして商売にのめり込んでいたばか野郎だ。許される筈もないが、俺は伯爵家の親戚と揉めるラルフを実家に連れ戻した。

だが、ラルフはバルシュミーデ家の名前を捨てる気はないようだ。しかも、変態伯爵の面会に行くなどと言い出して、俺は黙り込んでしまった。

とにかく、俺はラルフの洗脳を解くことに専念することにした。


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