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第7話 蓮と同部屋でオッケーです

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アーサーが招待してくれたお城は、確かに規模は小さいけれどとても綺麗な城だった。

王家の血筋の家のみが彫ることを許されるらしい紋章が、瑠璃色の石に彫られ、それが白亜の城の中央部にはめ込まれている。

馬車が城の前に着くと、アーサーが先に下りて、私に手を差し出してくれた。私は慣れない男性の行為にテレながらも、その手に自分の手を重ねて地面に降りる。そして、改めて城を見上げる。これは圧巻!

「わぁー、すごく綺麗な城だ!!」

私が素直に城を褒めると、アーサーの妹のメアリーは気を良くしたのか、えへんと咳払いをしてこの城のできた経緯を説明してくれた。

「この城は、まだお父様がお元気だった時に王宮にお住まいだったお母様の為に、別邸として建てられたものなのよ。」

「別邸として作られたんだ」

私がそう応じるとメアリーはさらに言葉を続ける。

「お母様は王宮での生活に慣れなくて、よく体調を崩されていたの。それを気にされたお父様がこの国随一の城つくりの一族に、お母様のお心が休まる城を作るようにと命じられたの。そうして静養の地にこの白亜の城ができたのよ!」

私が城を見上げていると蓮がメアリーに話しかける。

「メアリー様、先ほどはお城を小さいと貶していらっしたのに、実はこの城がお気に入りなのでは?実際、とてもよくできた城だと俺は思います。」

蓮の言葉にメアリーは顔をぽっと赤くして口を開いた。

「確かに気に入っています。でも、やっぱり王家を継ぐかもしれないお兄様には、もっと大きくて立派な城に住んで欲しいです!」

メアリーの言葉にアーサーが気のない返事をする。

「王家なんて継がないって。跡取りならカインがいるだろ?」

「でも、もしもカインが死ぬようなことがあれば、残る男子は一人。お兄様だけでしょ!!」

メアリーの言葉に、急にアーサーの顔が険しくなる。そして静かに、『滅多なことを言うものではない』と妹を嗜めた。

怒られたメアリーは急にしゅんとなってしまったが、それを慰めたのが私の妹のモモだった。僕の背から彼女の背ににひょいと飛び移ると頭を撫でて口を開いた。

「メアリーはいい子。いい子。アーサーの事がすきなだけだのににゃぁー。怒られてかなしーー」

「きゃあ、こら。くすぐったい!!なんなのあなた。猫??訳わかんない!!」

「猫耳モモです~」

メアリーはモモを背中に背負ったまま、じたばたしていたがその内に何故か意気投合して、モモを自分専用の召使にしたいと言い出した。

つうか‥‥完全にペット扱いだな。

メアリーは自分の部屋にモモを連れて行きたいと、アーサーに聞いている。許可を貰いたいならアーサーではなく兄の私に聞けよ。

そう思っているとアーサーが察したのか、私に向かって口を開いた。

「妹はモモが気に入ったらしい。あいつは一度言い出すと、何を言っても聞かないからな。トモヤはモモの姉なのだろ?メアリーの部屋に妹を連れて行ってかまわないかい?」

姉ではなく兄なのだが‥‥。まあ、そんな事にこだわっていても仕方ない。メアリーが悪い子でないことも段々分ってきた。

「別にいいよ。モモお行儀よくするんだよ?」

「にゃーす」

だから何その返事‥‥。

「では、用意する部屋は二つでいいな」

「あ、別に部屋は一つでいいよ。私と蓮は一緒の部屋でいいから」

私が何気なしにそう言うと、アーサーは急に不機嫌そうになってじろじろと私と蓮を見た。

蓮はにやっと笑って私の肩を抱き寄せる。そのせいで完全にアーサーに誤解されてしまった。アーサーは不機嫌そうに口を開いた。

「魔法使いは女と交わると力が落ちる。その為、そばに女を寄せつかない者も多い。お前は違うようだな、レン」

「そうなのか?ふ~ん。まあ、いいや。アーサは誤解しているが智也は処女だ。まだ誰のものでもない。」

「なっ!?」

蓮に処女宣言されるとは、腹立つ。

「それに、俺にも選ぶ権利はある。どちらかというと、メアリーの方が興味があるな。金髪碧眼に一度は憧れるのは日本男児の健全なる証だ」

勝手にほざいてろ、蓮。

「トモヤは処女なのか?」

何故かアーサーの目がぎらぎらとして、私の胸や下半身を見てきた。蓮がさらに余計なことを言う。

「ああ、そうだ。山賊にやられていたら、もう処女じゃないけどね」

「安心しろ。俺が寸前で切り捨てた。あの時、股からは血は出ていなかった。処女は守られているはずだ」

「・・アーサー、あんた山賊殺しながら、どこ見てたんだよ!?蓮もしょうもないこと言うなっての!!」

私は真っ赤になりながら、男たちの恥ずかしい会話にピリオドを打つ。こうして、私は蓮と一緒の部屋で過ごすことになった。

私達の為に用意された部屋に入ると、そこはおとぎの国が広がっていた。天蓋のベッドなんて始めて見たので、私は興奮してしまう。

ベッドにぽふっと身を預け横になると、ぎしっとベッドが軋んで蓮が私に馬乗りになってきた。そして、胸を揉みこんでくる。

「ひぃあ!何してるんだよ、蓮!」

「もう少し女らしい言葉使えよ、智也。うーむ、C、いや、Dカップか。本当に女になったんだなぁ、智也」

蓮が妙に真面目な顔で私の胸を揉んでいる。

なんか、やばい感じ??




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