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第163話
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◆◆◆◆◆◆
(ローズの寝室 ローズ、蓮の密会)
『俺に触れられるのは、そんなに嫌か?』
その言葉に、ローズは頬を真っ赤に染めながらも首をふって否定した。
「そうじゃないよ、蓮のことは好きだよ。でも、親友としてだよ。その一線を越えたら・・・ううん、越えたら駄目なんだよ。」
「どうしてだ?」
「不老不死の二人が・・・『愛』を語り合うことに何の意味があるの?『愛』は不老不死じゃない。愛は、永遠には続かないでしょ?『愛』がなくなった時、あなたはどうするの?アーサーやカインのように私の前から去っていくの?今度は『死』が二人を別つんじゃない。『愛の喪失』が二人を別つ。そんなのは嫌。一人になるのはもう嫌なの。」
ローズの瞳には涙が浮かんでいた。その一滴が頬を滑り落ちていく。その様を、蓮はじっと見つめていた。ローズはなお縋るように口を開いた。
「ねえ、蓮・・昔のように、『智也』だった時のように友人でいてよ。『愛』が不老不死でないことぐらいあなただって分かっているでしょ?親友なら、永遠に傍に居られるはずよ・・・つかず離れず、永遠に。」
ローズの言葉を聞いていた蓮が、不意に深い慟哭を秘めた声で応じた。その表情は、髪に隠れて見えない。だが、一滴の雫がローズの頬に落ちてきた。
「ローズ・・・お前は、そうしてまた俺を一人にするのか?」
「え?」
「お前は、いつもそうだ!!『一人になるのはもう嫌なの』だと?お前は元の世界でも、この異世界でも一人になったことなんて無いだろ。何時も誰かに愛され愛して、子供まで宿して・・・その子供にまで愛されている。だが、俺はどうだ?この異世界にきて最強の魔法使いになったからってなんだっていうんだ!!なにもない!!何時も孤独で・・・心が醜く腐っていくだけだった。」
「蓮・・・」
「お前が、誰かに愛され誰かを愛するほどに、俺の心は醜く歪んでいく。もう・・・限界なんだ。互いに不老不死になって、ようやくお前を手に入れたと思ったのに・・・同じ不老不死のキリトが現れた。あいつは、またお前を奪っていくんじゃないのか?また、俺は孤独になるのか?これ以上、心が歪んだら俺は獣になってしまう。もう・・・無理なんだ。」
「蓮っ・・いやぁ!!」
蓮の何時もの優しい眼差しはそこには無かった。蓮の涙に濡れた瞳には、獣染みた闇の色が深々と根付いていた。蓮の手は、ローズの両手を掴むと無理やり胸元から引き剥がしベッドのシーツに押し付けた。
「自分の心を欺くのにはもう疲れた。・・・・俺のものになってくれ、ローズ。」
蓮がローズの唇を奪う。ローズの咥内に入った蓮の舌がざらりと彼女の内部を犯していく。ローズは足をばたつかせて抵抗したが蓮は体を密着させて動きを制した。
長いキスの後、ようやく唇が離れると蓮は、静かに口を開いた。
「ローズ・・・俺のお前への『愛』は喪失したりしない。信じられないなら、魔法でこの体に刻むよ。」
蓮の真剣な顔にはっとして、ローズは口を開いた。
「そんなことはしないで!!自分の心を縛るつもりなの?そんなの変だよ!蓮、聞いているの!?」
蓮はローズの言葉を無視した。そして、ローズには理解できない魔法の言葉を口にした。一瞬でローズの寝室が光で満ちる。そして、その光が一点に集まりだした時ようやくローズにもそれが魔法陣であることがわかった。光の輪の中に複雑な文字列が綺麗に収まっていた。ローズは美しい魔法陣の光に目を奪われ蓮の行為を止めることができなかった。
「俺の『愛』を永遠にローズに奉げる。魔法陣よ、俺の心臓にその印を刻め!!」
魔法陣は蓮の言葉と同時に、彼の左胸に向かって回転しながら皮膚に突き刺さり体内にきりきりとめり込んでいった。
「蓮!!」
「ぐっ・・あっ!!」
蓮は苦しげな声をあげ身を捩ったが、それも数秒のことだった。蓮は、左胸を自身の手で押さえていたが、その手をローズの頬にそっと移し変えた。そして、哀しげな表情を浮かべつつ蓮は口を開いた。
「もう・・後戻りはできない。ローズ、ごめんな・・・」
蓮は、ローズのドレスを引き裂いていた。
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(ローズの寝室 ローズ、蓮の密会)
『俺に触れられるのは、そんなに嫌か?』
その言葉に、ローズは頬を真っ赤に染めながらも首をふって否定した。
「そうじゃないよ、蓮のことは好きだよ。でも、親友としてだよ。その一線を越えたら・・・ううん、越えたら駄目なんだよ。」
「どうしてだ?」
「不老不死の二人が・・・『愛』を語り合うことに何の意味があるの?『愛』は不老不死じゃない。愛は、永遠には続かないでしょ?『愛』がなくなった時、あなたはどうするの?アーサーやカインのように私の前から去っていくの?今度は『死』が二人を別つんじゃない。『愛の喪失』が二人を別つ。そんなのは嫌。一人になるのはもう嫌なの。」
ローズの瞳には涙が浮かんでいた。その一滴が頬を滑り落ちていく。その様を、蓮はじっと見つめていた。ローズはなお縋るように口を開いた。
「ねえ、蓮・・昔のように、『智也』だった時のように友人でいてよ。『愛』が不老不死でないことぐらいあなただって分かっているでしょ?親友なら、永遠に傍に居られるはずよ・・・つかず離れず、永遠に。」
ローズの言葉を聞いていた蓮が、不意に深い慟哭を秘めた声で応じた。その表情は、髪に隠れて見えない。だが、一滴の雫がローズの頬に落ちてきた。
「ローズ・・・お前は、そうしてまた俺を一人にするのか?」
「え?」
「お前は、いつもそうだ!!『一人になるのはもう嫌なの』だと?お前は元の世界でも、この異世界でも一人になったことなんて無いだろ。何時も誰かに愛され愛して、子供まで宿して・・・その子供にまで愛されている。だが、俺はどうだ?この異世界にきて最強の魔法使いになったからってなんだっていうんだ!!なにもない!!何時も孤独で・・・心が醜く腐っていくだけだった。」
「蓮・・・」
「お前が、誰かに愛され誰かを愛するほどに、俺の心は醜く歪んでいく。もう・・・限界なんだ。互いに不老不死になって、ようやくお前を手に入れたと思ったのに・・・同じ不老不死のキリトが現れた。あいつは、またお前を奪っていくんじゃないのか?また、俺は孤独になるのか?これ以上、心が歪んだら俺は獣になってしまう。もう・・・無理なんだ。」
「蓮っ・・いやぁ!!」
蓮の何時もの優しい眼差しはそこには無かった。蓮の涙に濡れた瞳には、獣染みた闇の色が深々と根付いていた。蓮の手は、ローズの両手を掴むと無理やり胸元から引き剥がしベッドのシーツに押し付けた。
「自分の心を欺くのにはもう疲れた。・・・・俺のものになってくれ、ローズ。」
蓮がローズの唇を奪う。ローズの咥内に入った蓮の舌がざらりと彼女の内部を犯していく。ローズは足をばたつかせて抵抗したが蓮は体を密着させて動きを制した。
長いキスの後、ようやく唇が離れると蓮は、静かに口を開いた。
「ローズ・・・俺のお前への『愛』は喪失したりしない。信じられないなら、魔法でこの体に刻むよ。」
蓮の真剣な顔にはっとして、ローズは口を開いた。
「そんなことはしないで!!自分の心を縛るつもりなの?そんなの変だよ!蓮、聞いているの!?」
蓮はローズの言葉を無視した。そして、ローズには理解できない魔法の言葉を口にした。一瞬でローズの寝室が光で満ちる。そして、その光が一点に集まりだした時ようやくローズにもそれが魔法陣であることがわかった。光の輪の中に複雑な文字列が綺麗に収まっていた。ローズは美しい魔法陣の光に目を奪われ蓮の行為を止めることができなかった。
「俺の『愛』を永遠にローズに奉げる。魔法陣よ、俺の心臓にその印を刻め!!」
魔法陣は蓮の言葉と同時に、彼の左胸に向かって回転しながら皮膚に突き刺さり体内にきりきりとめり込んでいった。
「蓮!!」
「ぐっ・・あっ!!」
蓮は苦しげな声をあげ身を捩ったが、それも数秒のことだった。蓮は、左胸を自身の手で押さえていたが、その手をローズの頬にそっと移し変えた。そして、哀しげな表情を浮かべつつ蓮は口を開いた。
「もう・・後戻りはできない。ローズ、ごめんな・・・」
蓮は、ローズのドレスを引き裂いていた。
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