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第160話
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◆◆◆◆◆◆
ローズ母さんは、僕の前に回りこむと僕の頬に両手を当てると口を開いた。
「キリト君が、私を誘惑するわけないでしょ!!勝手に邪推して、相手を貶めるようなことを言わないで。確かにあなたは王として生まれてきたけど、キリト君と何も変わらない人間なんだからね。あーもう、こういう選民思考とか厄介だよね。こういう感情から暴君のネロとか生まれちゃったんだよね、きっと。」
「母さん・・・何の話をしているんだよ?」
「私はね、あなたに横暴な王になっては欲しくないのよ。私は知っているのよ。・・・・あなたが、秘密裏に気に入らないという理由だけで、王宮詩人を闇に葬ったことを。」
「!!」
母にそのことを知られていたなんて。
僕は一気に青ざめた。だが、それ以上に、ローズ母さんは青ざめているように見えた。
「私はただあなたに・・・民を愛する優しい王になって欲しいの。」
僕は目を瞑って俯いた。
優しい王になんて・・・なれやしない。
僕の父カイン王は、兄のアーサーの女魔法使いを嫉妬心から殺し、逆に呪いを掛けられたと聞いたことがある。そんな父の血をひいている僕が、優しい王になんてなれるものか。
いや、王の資格すらない。民のことなんて今の僕は少しも考えてやしない。
ただ、欲しいものは・・・・一つだけ。
ローズ母さんの愛が欲しい。
「王は孤独なものだって、あなたのお父さんと触れ合って初めて知ったの。その孤独が、カインの命を縮めてしまったようなものよ。私は、あなたにはそうはなって欲しくはないの。・・・・ラインハルト、あなたには、友人とよべる人がいる?信じられる友はいる?」
母の言葉に、僕は目を見開き己自身に問いかける。
友人?
そんなものは・・・いない。
「母さんには・・・信じられる友はいるの?」
僕は逆に質問していた。ローズ母さんは僅かに微笑んで、視線を壁に身をもたげている男に送った。レンはその視線を受けると、何故か一瞬哀しげな表情を浮かべたがすぐに笑顔を送り返してきた。
ローズ母さんはさらに言葉を続ける。
「大人たちだけに囲まれて育ってきたあなただからこそ、同じ歳の友人が必要だとおもうわ。そして、その役はキリト君が相応しいと思うの。彼は博学でとても面白い人よ。彼は魔法使いでもあるから、互いに納得し合って王の契約魔法使いにすることもできる。王は、何人でも契約魔法使いを持つことができるのでしょ?そうすれば、あらゆる場面であなたたちは支え合って生きていくことができるはずよ。」
ローズ母さんの迫力に押されるようにして、僕は思わず開き直りの愚痴を漏らしていた。
「わかったよ、ローズ母さん。・・キリトと友達になればいいんだろ?なるよ、なるよ。じゃ、今日からキリトは僕の友人だ。そういうことになったから、よろしくなキリト。」
僕はそう言うと、ベッドから立ち上がったキリトに近づいて腕組みしたまま友人宣言した。キリトはすこし困惑した表情を浮かべながらも、「光栄です」と一言言って礼をした。
こうした経緯で、僕には同じ歳の友人らしきものができた。
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ローズ母さんは、僕の前に回りこむと僕の頬に両手を当てると口を開いた。
「キリト君が、私を誘惑するわけないでしょ!!勝手に邪推して、相手を貶めるようなことを言わないで。確かにあなたは王として生まれてきたけど、キリト君と何も変わらない人間なんだからね。あーもう、こういう選民思考とか厄介だよね。こういう感情から暴君のネロとか生まれちゃったんだよね、きっと。」
「母さん・・・何の話をしているんだよ?」
「私はね、あなたに横暴な王になっては欲しくないのよ。私は知っているのよ。・・・・あなたが、秘密裏に気に入らないという理由だけで、王宮詩人を闇に葬ったことを。」
「!!」
母にそのことを知られていたなんて。
僕は一気に青ざめた。だが、それ以上に、ローズ母さんは青ざめているように見えた。
「私はただあなたに・・・民を愛する優しい王になって欲しいの。」
僕は目を瞑って俯いた。
優しい王になんて・・・なれやしない。
僕の父カイン王は、兄のアーサーの女魔法使いを嫉妬心から殺し、逆に呪いを掛けられたと聞いたことがある。そんな父の血をひいている僕が、優しい王になんてなれるものか。
いや、王の資格すらない。民のことなんて今の僕は少しも考えてやしない。
ただ、欲しいものは・・・・一つだけ。
ローズ母さんの愛が欲しい。
「王は孤独なものだって、あなたのお父さんと触れ合って初めて知ったの。その孤独が、カインの命を縮めてしまったようなものよ。私は、あなたにはそうはなって欲しくはないの。・・・・ラインハルト、あなたには、友人とよべる人がいる?信じられる友はいる?」
母の言葉に、僕は目を見開き己自身に問いかける。
友人?
そんなものは・・・いない。
「母さんには・・・信じられる友はいるの?」
僕は逆に質問していた。ローズ母さんは僅かに微笑んで、視線を壁に身をもたげている男に送った。レンはその視線を受けると、何故か一瞬哀しげな表情を浮かべたがすぐに笑顔を送り返してきた。
ローズ母さんはさらに言葉を続ける。
「大人たちだけに囲まれて育ってきたあなただからこそ、同じ歳の友人が必要だとおもうわ。そして、その役はキリト君が相応しいと思うの。彼は博学でとても面白い人よ。彼は魔法使いでもあるから、互いに納得し合って王の契約魔法使いにすることもできる。王は、何人でも契約魔法使いを持つことができるのでしょ?そうすれば、あらゆる場面であなたたちは支え合って生きていくことができるはずよ。」
ローズ母さんの迫力に押されるようにして、僕は思わず開き直りの愚痴を漏らしていた。
「わかったよ、ローズ母さん。・・キリトと友達になればいいんだろ?なるよ、なるよ。じゃ、今日からキリトは僕の友人だ。そういうことになったから、よろしくなキリト。」
僕はそう言うと、ベッドから立ち上がったキリトに近づいて腕組みしたまま友人宣言した。キリトはすこし困惑した表情を浮かべながらも、「光栄です」と一言言って礼をした。
こうした経緯で、僕には同じ歳の友人らしきものができた。
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