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第98話
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◆◆◆◆◆◆
「勘がいいな、智也は。たしかに、生まれてくる子を連れて帰る事はできない。お前の産む子は、この世界の輪廻の輪に縛られている。輪廻の輪をきる魔法陣で元の世界に連れ帰ることもできるがその子が幸せになれるとは思えない。不死の身を得て永遠に一人で世界をさまようことになる・・・そんな人生が幸せだと思うか?」
「蓮は、ノートに文章を書いた時点で魔法陣に囚われてしまったんだよね。輪廻の輪をきられた蓮は・・永遠の命を得てこの世界で一人で生きていくつもりなの?」
蓮は私がそう聞くと、急に私に近づき強く抱きしめてきた。そして、耳元で囁く。
「智也・・俺をお前が夢の中で見た『愛する人』にしてくれないか?お前の愛する子を俺に託してくれないか?」
「蓮!!」
きつく抱きしめられて、息が苦しいほどだった。蓮は切ない表情で、さらに口を開く。
「お願いだ・・・不死を得た俺に生きがいを与えてくれ。お前の子供が王位に付いたなら、俺が全力で守る。そして、智也の血が流れた王家を俺が未来永劫に渡って守っていくから。」
私も蓮を抱きしめ返しながら、言葉を発した。
「蓮、あの夢は正夢にはならないよ。私は我が子を残して元の世界に帰るとも思えない。それに、夢の中では私の子供は王家の証である青い炎を身に纏っていた。でも、それってありえないでしょ?私は王家の人間じゃないし、この子の父親のカインも僅かしか王家の血をひいていない。青い炎を宿して生まれてくるなんてありえないもの。」
「お前の産む子供は青い炎を宿さないと駄目だ!!誰の目から見ても、王位に付くのに相応しい人物でないと、王位を巡って跡目争いが起こる。最悪、暗殺の危機にだって晒される。」
「暗殺!!そんな。」
私は真っ青になって、自分のお腹をさすった。僅かだが、お腹が膨らんできたような気がする。私は泣きそうになって、蓮に縋りついた。
「どうすればいいの?どうすれば、この子は王位に相応しい人物だと誰もが認めてくれるの?」
「側室の子はアーサーがそうであったように、どうしても王位を継ぐには不利だ。カインの正妃のフレアはおそらく子ができぬ体だ。正妃が子を産まない限りは側室の子でも王位を継げる。だが、その子が王家の人間の証である魔法使いとの契約ができないとなると話は別だ。カインは正妃の子だったことから次期王位という地位に付けたが、それでも王侯貴族の誹りに苦しんだ。側室のお前の子はさらに酷い誹りを受けて苦しむことになるかもしれない。それどころか、王位についても暗殺されてすぐにその座から引き摺り下ろされる可能性もある。」
私は震え上がっていた。蓮は、そんな私を優しく抱きしめながら話はじめた。私は、黙って聞き入っていた。
「怖い話をしてわるかった。でも、現実は厳しいものなんだ。でも、安心しろ俺が絶対に守ってやるから。それに・・忘れたのか智也?お前は俺の宿した青い炎に二度触れてその身に僅かだが青い炎を宿している。その青い炎は胎盤を通してゆっくりとお前の子供に流れ込み引き継がれている。元々カインは王家の血を僅かだがひいているから、その子であるお前のお腹の子供も青い炎を受け入れる素質があったんだな。それでも、まだ魔法使いと契約を結ぶほどの力は宿していない。だが、俺の持つ青い炎を分け与えれば話は別だ。」
「蓮の青い炎を貰うってこと?でもどうすればいいの、蓮?」
「直接俺の魔法で青い炎を胎児に送り込めば、力が強すぎて受け入れ容量を超えて焼けてしまうとも限らない。」
「じょ、冗談でしょ!!そんなの駄目よ。」
「分かってる。ようするに、赤ちゃんが生まれるまでにすこしずつ智也の胎盤を通して俺の青い炎の力を赤ちゃんに送り続けてあげればいいんだ。子宮と胎盤に守られている胎児へ栄養を送る為に食物を体内に取り入れるように、青い炎の力を宿した物を智也が口にすればいいんだ。」
私は首をかしげながら口を開いた。
「じゃあ蓮が食べ物に青い炎を魔法で宿してくれたものを、口にすればいいってことなのね?」
「いや・・それだけじゃ時間が足りない。子供が生まれ出た時に誰もが王家の血をひいていると思わせるためには、もっと効率的に青い炎を取り入れないと駄目だ。」
「だったらどうしろっていうのよ?」
私が聞くと蓮はすこし咳払いをした後に口を開いた。
「智也、俺の尿を飲め。」
「・・・・・・・。」
私は次の瞬間に蓮の顎に拳を叩き込んでいた。ばきっといい音がした。
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「勘がいいな、智也は。たしかに、生まれてくる子を連れて帰る事はできない。お前の産む子は、この世界の輪廻の輪に縛られている。輪廻の輪をきる魔法陣で元の世界に連れ帰ることもできるがその子が幸せになれるとは思えない。不死の身を得て永遠に一人で世界をさまようことになる・・・そんな人生が幸せだと思うか?」
「蓮は、ノートに文章を書いた時点で魔法陣に囚われてしまったんだよね。輪廻の輪をきられた蓮は・・永遠の命を得てこの世界で一人で生きていくつもりなの?」
蓮は私がそう聞くと、急に私に近づき強く抱きしめてきた。そして、耳元で囁く。
「智也・・俺をお前が夢の中で見た『愛する人』にしてくれないか?お前の愛する子を俺に託してくれないか?」
「蓮!!」
きつく抱きしめられて、息が苦しいほどだった。蓮は切ない表情で、さらに口を開く。
「お願いだ・・・不死を得た俺に生きがいを与えてくれ。お前の子供が王位に付いたなら、俺が全力で守る。そして、智也の血が流れた王家を俺が未来永劫に渡って守っていくから。」
私も蓮を抱きしめ返しながら、言葉を発した。
「蓮、あの夢は正夢にはならないよ。私は我が子を残して元の世界に帰るとも思えない。それに、夢の中では私の子供は王家の証である青い炎を身に纏っていた。でも、それってありえないでしょ?私は王家の人間じゃないし、この子の父親のカインも僅かしか王家の血をひいていない。青い炎を宿して生まれてくるなんてありえないもの。」
「お前の産む子供は青い炎を宿さないと駄目だ!!誰の目から見ても、王位に付くのに相応しい人物でないと、王位を巡って跡目争いが起こる。最悪、暗殺の危機にだって晒される。」
「暗殺!!そんな。」
私は真っ青になって、自分のお腹をさすった。僅かだが、お腹が膨らんできたような気がする。私は泣きそうになって、蓮に縋りついた。
「どうすればいいの?どうすれば、この子は王位に相応しい人物だと誰もが認めてくれるの?」
「側室の子はアーサーがそうであったように、どうしても王位を継ぐには不利だ。カインの正妃のフレアはおそらく子ができぬ体だ。正妃が子を産まない限りは側室の子でも王位を継げる。だが、その子が王家の人間の証である魔法使いとの契約ができないとなると話は別だ。カインは正妃の子だったことから次期王位という地位に付けたが、それでも王侯貴族の誹りに苦しんだ。側室のお前の子はさらに酷い誹りを受けて苦しむことになるかもしれない。それどころか、王位についても暗殺されてすぐにその座から引き摺り下ろされる可能性もある。」
私は震え上がっていた。蓮は、そんな私を優しく抱きしめながら話はじめた。私は、黙って聞き入っていた。
「怖い話をしてわるかった。でも、現実は厳しいものなんだ。でも、安心しろ俺が絶対に守ってやるから。それに・・忘れたのか智也?お前は俺の宿した青い炎に二度触れてその身に僅かだが青い炎を宿している。その青い炎は胎盤を通してゆっくりとお前の子供に流れ込み引き継がれている。元々カインは王家の血を僅かだがひいているから、その子であるお前のお腹の子供も青い炎を受け入れる素質があったんだな。それでも、まだ魔法使いと契約を結ぶほどの力は宿していない。だが、俺の持つ青い炎を分け与えれば話は別だ。」
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