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第69話
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◆◆◆◆◆◆
私は、『トモ』の祖母に視線を向けて口を開いた。
「『トモ』はカインに殺された時に、彼に呪いを掛けたよね。その呪いを解く方法を私は聞きに来たの。ギルミット族は呪いを掛けるのが得意だったのでしょ?だったら、呪いを解く方法も確立されていたはずだよね。教えて欲しいの、カインの呪いを解く方法を。」
老婆は、ゆっくりと口を開いた。
「わしは、この牢獄塔に囚われて以来王宮の者に数々な拷問を受けてきた。それもこれも、次期王位のカインの呪いを説く方法を聞き出す為じゃった。その拷問で、この目もやられ、足も動かなくなった。それでも、わしは一言も話さなかった。『トモ』がその命を削ってカインに掛けた呪いじゃ。成就させてやりたいではないか。いまさら、わしが何か話すとでも思ったのか?」
『トモ』の祖母はそう言うと、見えぬ目で視線を私から蓮に移し口を開いた。
「じゃが・・・・『トモ』の生まれ変わりであるレンになら、わしの知識を与えてやってもよい。『トモ』は、わしらの直系の先祖が書いた禁断の魔法の書の中の一つの魔法陣を使ったことだけは間違いない。だが、その書物には、呪いの解き方は載ってはおらなんだ。正直に言ってしまうとな、わしにも『トモ』が掛けた呪いを解く方法が解らんのじゃ。じゃが、その魔法の書を全て読み解く力を有するものであれば、呪いを解く魔法陣を生み出すことも可能だろう。レン、お前が最強の魔法使いならばできるはずじゃ。」
「その禁断の魔法の書はどこにあるんだ、ばあさん?」
蓮がそう聞くと、老婆は僅かに動く指で己の頭を指差し口を開いた。
「魔法の書はもう燃やしてこの世には無い。だが、書物に書かれた文章は一文一句違わず全てわしの脳の奥深くに封印してある。それを全てお前にやろう、レンよ。封印を解く方法は簡単じゃ。わしの脳を喰らうことじゃ。それで、封印は解かれお前に知識が渡る。」
「脳を喰らうって・・・それって、比喩だよね?ねえ、蓮・・・そうだよね?」
私は不安になって蓮の方を見て口を開いた。
蓮は私の質問には答えず真剣な表情で、石の椅子に縛り付けられた老婆を見ていた。やがて、何かを自らに納得させるように蓮はゆっくりと目を瞑りそして、その目を見開いた時には、私が見たことも無いような恐ろしい表情をしていた。
「蓮!!」
私は不安になって蓮に抱き付いた。蓮はそっと私を抱きしめると頬を優しく撫でると、耳元で囁いた。
「智也、先に牢獄塔から出ていてくれないか?」
「どうして、蓮?ねえ、『トモ』のおばあちゃんの脳を喰らうってどういう意味?蓮が何時も私の心を読むように、『トモ』のおばあさんの脳を覗いて知識を得るってことだよね。そうだよね・・・蓮?」
「お願いだから、先に牢獄塔から出ていてくれ。お前に防御の魔法を掛けて、今から牢獄塔の門の前に送るからしばらく待っていてくれ。」
「嫌だ。蓮、そんな怖い顔して今から何をするつもりなんだよ!!」
「頼むから。お前に・・・・見られたくないんだ!!」
蓮はそう言うと、私をぎゅっと抱きしめキスをした後に、私の両肩を掴むと塔の石の壁に向かって突き飛ばした。私は、壁にぶつかると思って目をぎゅっと瞑り身構えた。
でも、衝撃は無くそろりと目を開いた時には、私はもう牢獄塔の一番下の木の門の前にいた。私の周りに蓮が掛けた魔法の防壁が張ってあるの事が解った。牢獄塔の最上階を見上げると、蓮が放つ青い炎のオーラが見えた。私が得た青い炎の力のお陰だろうか?
私は、塔の最上階に向かって彼の名前を叫んでいた。
「蓮っーーーーーーーーーーーーーー!!」
蓮の名前を何度叫んでも、牢獄塔の最上階に届くはずも無くもちろん彼からの返事も無かった。私は、木の門を両手で何度も叩きながらいつの間にか涙ぐんでいた。
蓮が今『トモ』の祖母に何をしようとしているのか想像もしたくなかった。でも、蓮なら私やモモをこの世界から還す為にギルミットの魔法の知識を得ようと最悪の選択をする気がした。
・・・・脳を喰らう。
恐ろしいほどの表情をして『トモ』の祖母を見ていた蓮を思い出して、私は身震いした。もし言葉通りの行為をしてしまったら、もう蓮はまともに笑うことができなくなってしまうのではないだろうか?
不安が胸いっぱいに広がっていった。
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私は、『トモ』の祖母に視線を向けて口を開いた。
「『トモ』はカインに殺された時に、彼に呪いを掛けたよね。その呪いを解く方法を私は聞きに来たの。ギルミット族は呪いを掛けるのが得意だったのでしょ?だったら、呪いを解く方法も確立されていたはずだよね。教えて欲しいの、カインの呪いを解く方法を。」
老婆は、ゆっくりと口を開いた。
「わしは、この牢獄塔に囚われて以来王宮の者に数々な拷問を受けてきた。それもこれも、次期王位のカインの呪いを説く方法を聞き出す為じゃった。その拷問で、この目もやられ、足も動かなくなった。それでも、わしは一言も話さなかった。『トモ』がその命を削ってカインに掛けた呪いじゃ。成就させてやりたいではないか。いまさら、わしが何か話すとでも思ったのか?」
『トモ』の祖母はそう言うと、見えぬ目で視線を私から蓮に移し口を開いた。
「じゃが・・・・『トモ』の生まれ変わりであるレンになら、わしの知識を与えてやってもよい。『トモ』は、わしらの直系の先祖が書いた禁断の魔法の書の中の一つの魔法陣を使ったことだけは間違いない。だが、その書物には、呪いの解き方は載ってはおらなんだ。正直に言ってしまうとな、わしにも『トモ』が掛けた呪いを解く方法が解らんのじゃ。じゃが、その魔法の書を全て読み解く力を有するものであれば、呪いを解く魔法陣を生み出すことも可能だろう。レン、お前が最強の魔法使いならばできるはずじゃ。」
「その禁断の魔法の書はどこにあるんだ、ばあさん?」
蓮がそう聞くと、老婆は僅かに動く指で己の頭を指差し口を開いた。
「魔法の書はもう燃やしてこの世には無い。だが、書物に書かれた文章は一文一句違わず全てわしの脳の奥深くに封印してある。それを全てお前にやろう、レンよ。封印を解く方法は簡単じゃ。わしの脳を喰らうことじゃ。それで、封印は解かれお前に知識が渡る。」
「脳を喰らうって・・・それって、比喩だよね?ねえ、蓮・・・そうだよね?」
私は不安になって蓮の方を見て口を開いた。
蓮は私の質問には答えず真剣な表情で、石の椅子に縛り付けられた老婆を見ていた。やがて、何かを自らに納得させるように蓮はゆっくりと目を瞑りそして、その目を見開いた時には、私が見たことも無いような恐ろしい表情をしていた。
「蓮!!」
私は不安になって蓮に抱き付いた。蓮はそっと私を抱きしめると頬を優しく撫でると、耳元で囁いた。
「智也、先に牢獄塔から出ていてくれないか?」
「どうして、蓮?ねえ、『トモ』のおばあちゃんの脳を喰らうってどういう意味?蓮が何時も私の心を読むように、『トモ』のおばあさんの脳を覗いて知識を得るってことだよね。そうだよね・・・蓮?」
「お願いだから、先に牢獄塔から出ていてくれ。お前に防御の魔法を掛けて、今から牢獄塔の門の前に送るからしばらく待っていてくれ。」
「嫌だ。蓮、そんな怖い顔して今から何をするつもりなんだよ!!」
「頼むから。お前に・・・・見られたくないんだ!!」
蓮はそう言うと、私をぎゅっと抱きしめキスをした後に、私の両肩を掴むと塔の石の壁に向かって突き飛ばした。私は、壁にぶつかると思って目をぎゅっと瞑り身構えた。
でも、衝撃は無くそろりと目を開いた時には、私はもう牢獄塔の一番下の木の門の前にいた。私の周りに蓮が掛けた魔法の防壁が張ってあるの事が解った。牢獄塔の最上階を見上げると、蓮が放つ青い炎のオーラが見えた。私が得た青い炎の力のお陰だろうか?
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「蓮っーーーーーーーーーーーーーー!!」
蓮の名前を何度叫んでも、牢獄塔の最上階に届くはずも無くもちろん彼からの返事も無かった。私は、木の門を両手で何度も叩きながらいつの間にか涙ぐんでいた。
蓮が今『トモ』の祖母に何をしようとしているのか想像もしたくなかった。でも、蓮なら私やモモをこの世界から還す為にギルミットの魔法の知識を得ようと最悪の選択をする気がした。
・・・・脳を喰らう。
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