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第53話

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正妃フレアのダイエット大作戦が開始された。
ギルドが女に変身できた様に、魔法でフレアの体系を変えてしまうことも可能だったかも知れないがその方法は取らなかった。私は、フレアに自信を持って欲しかった。
彼女は確かに美人とはいえないが、ぽっちゃり可愛い系と言えなくも無い。・・・まあ、好みの問題だが。とにかく、彼女が安産型体系であることは元男の私にも分かる。
カインからの願いを引き受けた以上、私はフレアにお世継ぎを産んで欲しかった。彼女なら、良い母になれると思うから。

私は治療院の女医ギーナに頼んでダイエットメニューを組んでもらった。ギーナは、すこし食べるだけでお腹がいっぱいになるパンを作ってくれた。それを中心として、野菜中心の食事に切り替えた。
やる気を出したフレアは、そのダイエット食を毎日食べて食後は私や女性化したギルドとモモと一緒に中庭のバラ園を散策した。中央の噴水で、猫モモが水浴びをする中、ベンチに座ったフレアは私に真面目な顔で話しかけてきた。
「ねえ、トモヤ。あなたは・・・カイン様の事をどう思っていらっしゃるの?彼のお世継ぎを産みたいとは思わないのですか?」
「え、わたし??ん・・・。」
私は思わず黙り込んでしまった。アーサーと逢えなくなって随分時が経つ。彼の声や彼の姿を思い浮かべるたびに胸は苦しくなる。でも、逢えない時間が長くなるほどに、もしかしたら彼への想いが『愛』ではなかったのではないかと思い始めている自分がいる。
今では彼とセックスすることが怖いと思っていた。もし、私の中でアーサーが『愛する人』でなくなっていたなら、私はアーサーに抱かれても異世界から元の世界に帰ることができない。自分の『愛』が試されるようで、怖くてたまらなかった。私は、自嘲の笑みを浮かべて口を開いた。

「ごねんね。、フレア。私、あなたが初夜の日に逃げちゃったことを正直、笑っちゃったんだよね。フレアは怖がりなんだなって。でも・・私も一緒だ。私も怖くて堪らないよ。抱かれて自分の本心を知るのが怖いよ。怖くてたまらない・・・『愛する人』なんて、本当にこの世に存在するのかなって、疑心暗鬼状態。フレアを笑った自分が恥ずかしいよ。」
「トモヤ。」

フレアは、そっと私の手にその手を重ねてくれた。もう彼女の手は、むくみはなくすっきりとしていた。ダイエットは順調で、ぼってり体系からぽっちゃり体系にほぼ戻りつつあった。私はもう片方の手で彼女のすべすべの手を撫でながら口を開いた。
「頑張ったね、フレア。すごく綺麗になった。カインはきっとあなたを待っていると思うよ。彼に愛してもらえば、きっともっと綺麗になれると思うよ。」
そう言うと、彼女はぽっと顔を赤めた。そして、彼女はおずおずとしながらも口を開いた。

「私、今度カイン様が夜のお誘いをしてくださったら、寝室にいけると思います。」

彼女の言葉に私は思わず、フレアに抱きついてしまった。女の友情のようなものを彼女に感じている私は、心の底から彼女には幸せになって貰いたかった。子を抱き、夫のカインに愛されて幸せな一生を送って欲しい。
でも・・・カインは『トモ』の呪いによって現王よりも先に死んでしまうかもしれない状態だと女医のギーナが言っていた。私は、フレアの幸せのためにもカインにかけられた呪いを解きたかった。

真面目なことを考えている時に限って、誰かに邪魔されたりする。女性化したギルドが大きな乳房をゆさゆさと揺らせながら私に近づくと、べとべとの何かを私に手渡した。それは、猫柄の水着に見えた。
??

「トモヤ、猫モモの猫柄水着が噴水の水でべとべとになったから脱がせたぞ。」

ギルドの言葉で魔法使いを見上げると、素っ裸のモモがギルドの頭にぷりっとしたお尻を載せて器用に座っていた。幼いモモのあそこには毛が無いはずなのに、ギルドの髪の毛がもしゃっと妹のあそこの割れ目に入り込んでいた。ペッたんこの胸には愛らしいさくらんぼのような乳首が水を垂らしている。
ロリ男がもしこの場にいたら、そく射精していたに違いない。私は、悲鳴のような声をあげながら、変態ギルドの頭から素っ裸のモモを抱き寄せると妹をお姫様抱っこをしたまま自室へと走り去った。
フレアとギルドがあっけに取られて私の後姿を見ているのが分ったが、この際気にしていられない。どこにロリ変態がいるとも限らないのだから。
自室に戻ると、すぐにモモの水着を洗って干すと噴水の水で濡れて体が冷えてしまったモモを連れて温泉の湧き出る王宮のお風呂に向かった。脱衣室で私も服を脱ぎ捨てて、温泉に浸かることにした。

この世界のお風呂は混浴だが、こんな真昼間から温泉に浸かっている人は滅多にいないことはリサーチ済みだった。で、完全に油断していた。タオルで大事な部分を隠すことも無く堂々と浴場に入って掛け湯もしないままざぶんとモモを抱いたまま温泉に飛び込んだ。

「トモヤ、もっと静かに入れないのか?」

男の声が、湯けむりの中から聞こえた。私はアーサーの屋敷でもこんなことがあったなと思いつつ、驚きの声をあげていた。

「カイン!!」

王宮の豪華な湯船に、カインが一人で入っていた。カインとは肌を合わせた関係とはいえ、私は恥ずかしくて顔を真っ赤にしながら胸を両手で隠して湯船に肩まで浸かった。


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