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第24話
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◆◆◆◆◆◆
数日後に、王宮でカインの婚儀が行われる。その前に私たち一行は王宮に入ることになり、アーサーの城から山一つ越えたこの国の首都アザンガルドへ向かって馬車を走らせていた。
「猫モモ、見てみなさい。あれが、この国の首都、アザンガルド。そしてその中心にあるのが、王宮よ!!すごいでしょ。」
「うにゃぁーーー!!すごい眺めです。」
城を出て馬車二台連なって舗装されていない道を走り、峠を一つ越えたところでようやく王宮のあるアザンガルドの町が見えてきた。見晴らしのよい場所で馬車は止まると、モモとメアリーが元気よく馬車から飛び出して綺麗なアザンガルドの街並みを高台から眺めていた。
私はといえば・・・車酔い、もとい馬車酔いしていた。
「うげぇーーー。馬車弾みすぎ。左右に揺れすぎ。ううっ。アーサー、父親に会ったら、道はアスファルトで固めるよう言っておいてよ。うげぇーーーー。」
「レン、アスファルトってなんだ?」
「うーん、石畳の滑らか版って感じかな?それにしても、智也って車酔いする性質だったっけ?」
「女になって性質が変わったんだよ。今、生理中だしね・・・この馬車のバウンドがたまらん。きつい。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
男二人が黙り込んだので、私はアーサーと蓮を見て口を開いた。
「なんだよ、いきなり黙って?」
蓮がにやつきながら口を開いた。
「お前、生理がきたのか?」
「もう終わりかけだけどね。王宮に付く頃には終わりそう。血が出た時には焦ったよ。メアリーに頼んで生理セットを貰ったの。あの子って、ペニス棒を創った職人と同じ人に生理セットを作ってもらっているんだって。あの職人天才かもよ。使い心地、最高なのよね。ふわふわして・・・って、おーーい。男子・・・引いている。」
アーサーがちょっと顔を赤めながら口を開いた。
「黒髪の美女が、随分あけすけなことを言うと・・すこし、引いた。でも、さっきから馬車の中で花の香りがしている理由が分った。トモヤは、愛液もいい香りがするが血も花の香りがするんだな。」
「普通鉄臭いのになぁ、生理って」
「蓮、何でそんな事知ってんのよ?」
「や、前世で生理中の女とやったことがあるからな。」
「変態!!」
私はそう言いながら男二人を残して、馬車から降りた。馬車の外の空気を吸うと、幾分気分が良くなった。私もモモやメアリーに混じってアザンガルドの街並みを眺める。
「綺麗な街。王宮はベルサイユ宮殿みたい。ベルバラの世界だぁーー。」
「お前、男のくせにベルバラ観ているのかよ。」
蓮がいつの間にか私の傍にいて、嫌味を言った。私も言い返す。
「ケーブルテレビで、『ベルサイユのばら』を連続放送してるの。嵌るんだよね、あのアニメ。」
「アニメの事はいいが、生理の件はまずいことになったな。」
蓮が私に囁きかける。
「なんでだよ?」
「だって、この世界にコンドームがあると思うか?生理があるって事は、お前妊娠の可能性ありってことだぞ。お前、『愛する人』とセックスしたら元の世界に帰れるけど、そうでもない人とセックスした場合・・元の世界に帰れない上に、子持ち女になる可能性がある。」
「子持ち・・・私が?」
「何の話をしているんだ。トモヤもレンも内緒話が多すぎるぞ。妬けるじゃないか。」
アーサーが近づき私に話しかける。
そうか・・私、子供を産むこともできるんだ。アーサーの子だって、産めるんだ。そう思うとなんだか、嬉しくなってしまった。でも、蓮がそっと私の耳元で囁いた言葉が、私を現実に引き戻した。
「お前は、アーサーの子を産めないよ。あいつを愛している限り、セックスすれば元の世界に還される。諦めろ・・・そういう想いは。」
蓮がまた私の心を読んだ。
分ってる。アーサーとセックスした時点で、私は元の世界に還される。そして・・・男に戻るんだ。分っているのに・・こんなに胸が苦しい。どうすれば、この胸の痛みはやむのかな?
アーサーが、私の顔色が悪いことを気にして口を開いた。
「トモヤ、大丈夫か?顔色が悪い。」
「アーサー」
私は思わずアーサーに抱きついてしまった。アーサーは、私の突然の行動に驚きながらも優しく抱き寄せると口を開いた。
「馬車に戻って俺にもたれ掛かっているといいよ。そうすれば、酔いも少しはましだろう。この峠を下れば、アザンガルドはすぐだ。トモヤ、抱き上げるがいいか?」
「え?」
アーサーは、言うが早いか私をお姫様抱っこしてくれた。そして、そのまま馬車に向かって歩いていく。私は、アーサーにぎゅっと抱きつきながら、初めて女になってよかったと本気で想っていた。
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数日後に、王宮でカインの婚儀が行われる。その前に私たち一行は王宮に入ることになり、アーサーの城から山一つ越えたこの国の首都アザンガルドへ向かって馬車を走らせていた。
「猫モモ、見てみなさい。あれが、この国の首都、アザンガルド。そしてその中心にあるのが、王宮よ!!すごいでしょ。」
「うにゃぁーーー!!すごい眺めです。」
城を出て馬車二台連なって舗装されていない道を走り、峠を一つ越えたところでようやく王宮のあるアザンガルドの町が見えてきた。見晴らしのよい場所で馬車は止まると、モモとメアリーが元気よく馬車から飛び出して綺麗なアザンガルドの街並みを高台から眺めていた。
私はといえば・・・車酔い、もとい馬車酔いしていた。
「うげぇーーー。馬車弾みすぎ。左右に揺れすぎ。ううっ。アーサー、父親に会ったら、道はアスファルトで固めるよう言っておいてよ。うげぇーーーー。」
「レン、アスファルトってなんだ?」
「うーん、石畳の滑らか版って感じかな?それにしても、智也って車酔いする性質だったっけ?」
「女になって性質が変わったんだよ。今、生理中だしね・・・この馬車のバウンドがたまらん。きつい。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
男二人が黙り込んだので、私はアーサーと蓮を見て口を開いた。
「なんだよ、いきなり黙って?」
蓮がにやつきながら口を開いた。
「お前、生理がきたのか?」
「もう終わりかけだけどね。王宮に付く頃には終わりそう。血が出た時には焦ったよ。メアリーに頼んで生理セットを貰ったの。あの子って、ペニス棒を創った職人と同じ人に生理セットを作ってもらっているんだって。あの職人天才かもよ。使い心地、最高なのよね。ふわふわして・・・って、おーーい。男子・・・引いている。」
アーサーがちょっと顔を赤めながら口を開いた。
「黒髪の美女が、随分あけすけなことを言うと・・すこし、引いた。でも、さっきから馬車の中で花の香りがしている理由が分った。トモヤは、愛液もいい香りがするが血も花の香りがするんだな。」
「普通鉄臭いのになぁ、生理って」
「蓮、何でそんな事知ってんのよ?」
「や、前世で生理中の女とやったことがあるからな。」
「変態!!」
私はそう言いながら男二人を残して、馬車から降りた。馬車の外の空気を吸うと、幾分気分が良くなった。私もモモやメアリーに混じってアザンガルドの街並みを眺める。
「綺麗な街。王宮はベルサイユ宮殿みたい。ベルバラの世界だぁーー。」
「お前、男のくせにベルバラ観ているのかよ。」
蓮がいつの間にか私の傍にいて、嫌味を言った。私も言い返す。
「ケーブルテレビで、『ベルサイユのばら』を連続放送してるの。嵌るんだよね、あのアニメ。」
「アニメの事はいいが、生理の件はまずいことになったな。」
蓮が私に囁きかける。
「なんでだよ?」
「だって、この世界にコンドームがあると思うか?生理があるって事は、お前妊娠の可能性ありってことだぞ。お前、『愛する人』とセックスしたら元の世界に帰れるけど、そうでもない人とセックスした場合・・元の世界に帰れない上に、子持ち女になる可能性がある。」
「子持ち・・・私が?」
「何の話をしているんだ。トモヤもレンも内緒話が多すぎるぞ。妬けるじゃないか。」
アーサーが近づき私に話しかける。
そうか・・私、子供を産むこともできるんだ。アーサーの子だって、産めるんだ。そう思うとなんだか、嬉しくなってしまった。でも、蓮がそっと私の耳元で囁いた言葉が、私を現実に引き戻した。
「お前は、アーサーの子を産めないよ。あいつを愛している限り、セックスすれば元の世界に還される。諦めろ・・・そういう想いは。」
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私は思わずアーサーに抱きついてしまった。アーサーは、私の突然の行動に驚きながらも優しく抱き寄せると口を開いた。
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