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第22話

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私は、アーサーの部屋目掛けて脱兎のごとく駆け、ノックもせずに扉を開いた。全速力で走った為に、私は上手く言葉が出せず、荒い呼吸音をアーサーに聞かせる羽目になった。

「ぜーはぁ、ぜーはぁーーーー。アーサー・・・カインから招待状が・・・はぁーー届いたってーーぜぇーーはぁーーー・・・。」
「おい、トモヤ・・大丈夫か?」
かなり大丈夫じゃない。アーサーが心配そうに私に駆け寄ってくれたがその顔が、困惑した顔になり軽く咳払いした。
「アーサー?」
「いや・・その、トモヤがどんな性癖を持っていようとも俺はかまわないが・・・幼い妹にその性癖をお強要するのはどうかと思うぞ。」

「げっ!!」

私ってば、猫モモを背中にしがみ付かせたままアーサーの部屋に走ってきちゃったんだ。しかも、私の肩に顎を乗せたモモが禁断のメアリーコレクションペニス棒を、口に咥えてとろとろと唾液を流していた。
「ぎゃぁああ、モモ!!そんなもの口に咥えてるんじゃないの!!」
私は猫モモからペニス棒を取り上げる。唾液でべったりとなったペニス棒を投げ捨てようとして、この部屋がアーサーの部屋であることを思い出して投げ捨てようとした手を止めた。私は厭らしい棒を持ったまま、冷や汗をたらたら流しながら言い訳を考える。アーサーは興味深そうに、私が持った唾液塗れの彫刻凸凹のペニス棒をじろじろ眺めていた。
「すごい細工だな。尖っている部分もあるが、これを入れて痛くないのか?」
「痛みと快感が入り混じってこそ究極の快楽が訪れると、お姉さまはあそこをべとべとにさせながら言ってましたろ。」
「そうなのか、トモヤ。痛みを伴うセックスが好みなのか?なるほど・・・では、ロープとろうそくをレンに用意させよう。」
「ちがーーーう。モモが今言った『お姉さま』は私じゃなくてメアリーの事だから。ちょっと、アーサー自分の妹に彼氏でも紹介してあげたら?処女だから、あんな妄想アブノーマルに走っちゃうのよ」
私がそう言うとアーサーが面白そうに笑った。
「お前だって、処女だろ?お前も、アブノーマル妄想の持ち主なのか?」
「違うわよ。私は、いたってシンプルなセックスが好みで・・って、何を言わせているのよ。そんなことじゃなくて・・・カインから招待状が来たって本当?」

アーサーは、カインの名を聞くとすこし顔を歪めた。でも、それも一瞬の事だった。彼は、カインからの招待状を机から持ってくると私に見せてくれた。
「カインが王家の血筋を引く女性と結婚するらしい。俺や妹に王宮での婚姻の祝いに出席せよとほぼ命令口調で手紙が来た。おまけに、お前や、レンの事まで王宮には筒抜けらしい。トモヤとモモと契約した魔法使いのレンを連れてくるように、手紙には書いてあった。」
「アーサーは出席するの?」
私の問いに、アーサーはカインからの手紙を見つめながら淡々と呟いた。
「あいつは、腹違いとはいえ俺の弟だからな。出席する義務がある。レンも俺と契約した魔法使いである以上王宮には一緒に行ってもらう。だが、トモヤ・・・お前は行く必要はない。」

「どうして私は駄目なの?私だって、王宮に行ってみたいよ。カインにだって会ってみたいし。」
アーサーの初恋の少女を殺した男。そして、次期王位を継ぐもの。
その男の事を私は知りたかった。
「王宮は、お前が考えるほど楽しいところじゃないよ。トモヤはこの城に居てくれ。」

「怖いのか、アーサー?智也を籠の鳥のようにその手の内に置いて、誰にも見せたくないのか?特に・・カインには?」

蓮がいつの間にかアーサーの部屋の壁にもたれ掛かって、私たちのやりとりを見ていた。蓮が口を挟むまで、そのことに私たちはまったく気が付かなかった。これも、魔法使いの力なのだろうか?
アーサーは、蓮の言葉に煽られるように語気を強めた。

「俺が、怖がっている?カインを恐れているというのか、この俺が!!俺はあんな奴には負けない。俺はあいつより勝っている。母の身分を除いては全て俺の方が上だ。あんな奴が王位を継ぐよりも、俺が継ぐほうがよりこの国をよい方向に向かわせるはずだ!!」

アーサーの燃えるような魂がその体から透けて見えるような気がした。



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