21 / 26
アルファとオメガとベータ
しおりを挟む
◆◆◆◆◆
「いらっしゃいませ~ー、え?ひぃ、アルファーーー、あ、あの、あぁ、て、店長をお呼びしますぅ、しぱらくお待ち下さいー!」
サイゼリヤの店内に入った途端にコレだ。
可愛い女ベータの店員さんは、俺たち‥‥というよりアルファを見て動揺した。そして、何故か店長を呼びにスタッフルームに駆け込んでしまう。
「‥‥なるほど」
「なるほど?」
山崎アルファが『なるほど』と呟いたので、俺はそのまま聞き返した。
「時期が悪かったかもしれない。」
「時期とは?」
「サイゼリヤグループの親会社は珍しくベータ資本なのだが、アルファ資本の会社が敵対的買収を仕掛けて騒動になっている」
「えっ、そうなの?知らなかった!」
俺は初めて知った事実に驚く。サイゼリヤの親会社がベータ資本であることも知らなかった。だから、サイゼリヤはベータの聖地と呼ばれているのか。
「初めて知ったようだね。優斗さんもあまりニュースをみないのかな?」
アルファの言葉に反発を覚えて俺は俯く。それを不審に感じたのか、山崎さんが俺の顔を覗いてきた。
「どうしましたか、優斗さん」
β『やはりアルファは無神経ですね』
「え!?」
「わ、ちょっと待って!今のは俺の発言ではなく、チョーカー経由の三日月さんの声ですから、山崎さん!」
俺がネックチョーカーを指先で小突くと、山崎は納得して頷く。だが、その顔は厳しい。
「了解した。では、三日月に尋ねる。『アルファは無神経』と君は言ったがどういう意味だ?」
β『先程、山崎さまはこう仰った。「優斗さんもあまりニュースを見ないのか」と。これは、明らかにオメガに対する蔑視が含まれています。おそらく無意識のことでしょうが、婚活相手に対する配慮が足りません。』
「三日月さん‥‥」
ドキューン❥❥ってきた。三日月さんの指摘通りだったから。長い歴史の中で、オメガは世間の情勢を知ることを禁じられてきた。ただ番ったアルファに従う事のみを望まれた長い歴史がある。
今は是正されてオメガも自由になった。それでも積極的に世間の事を知ることは、はしたないとされている。それが歯がゆくも、結局その風潮に従う己がいる。
「なるほど‥‥三日月の指摘は正しいようだ。優斗さん、どうか顔を上げて下さい。私の言葉で貴方を傷つけた事をお詫びします」
「‥‥山崎さん」
「申し訳ない」
アルファがオメガに頭を下げる。そんな姿は見たこと無い。
「駄目です、山崎さん。オメガに頭を下げるなんて‥‥駄目です」
俺は山崎の腕を掴んで頭を上げるように促す。すると、山崎は顔を上げて真剣な表情で俺を見つめる。
「私はオメガに頭を下げたことがない。そのように教育されてきた。だが、貴方を喪うくらいなら‥‥頭くらい下げる。優斗さんを逃したくない。」
ズギューン❥❥❥ってきた。メガネのアルファが俺を欲してくれている。これは‥‥脈アリなんじゃないの?
その時だった。男の遠慮気味の咳払いが聞こえた。俺と山崎は同時に視線を向ける。
「サイゼリヤの店長の早乙女と申します。アルファさまにおかれましては、どのようなご用向きでのお立ち寄りでしょうか?」
なんか‥‥完全なる拒絶を感じる。
◆◆◆◆◆
「いらっしゃいませ~ー、え?ひぃ、アルファーーー、あ、あの、あぁ、て、店長をお呼びしますぅ、しぱらくお待ち下さいー!」
サイゼリヤの店内に入った途端にコレだ。
可愛い女ベータの店員さんは、俺たち‥‥というよりアルファを見て動揺した。そして、何故か店長を呼びにスタッフルームに駆け込んでしまう。
「‥‥なるほど」
「なるほど?」
山崎アルファが『なるほど』と呟いたので、俺はそのまま聞き返した。
「時期が悪かったかもしれない。」
「時期とは?」
「サイゼリヤグループの親会社は珍しくベータ資本なのだが、アルファ資本の会社が敵対的買収を仕掛けて騒動になっている」
「えっ、そうなの?知らなかった!」
俺は初めて知った事実に驚く。サイゼリヤの親会社がベータ資本であることも知らなかった。だから、サイゼリヤはベータの聖地と呼ばれているのか。
「初めて知ったようだね。優斗さんもあまりニュースをみないのかな?」
アルファの言葉に反発を覚えて俺は俯く。それを不審に感じたのか、山崎さんが俺の顔を覗いてきた。
「どうしましたか、優斗さん」
β『やはりアルファは無神経ですね』
「え!?」
「わ、ちょっと待って!今のは俺の発言ではなく、チョーカー経由の三日月さんの声ですから、山崎さん!」
俺がネックチョーカーを指先で小突くと、山崎は納得して頷く。だが、その顔は厳しい。
「了解した。では、三日月に尋ねる。『アルファは無神経』と君は言ったがどういう意味だ?」
β『先程、山崎さまはこう仰った。「優斗さんもあまりニュースを見ないのか」と。これは、明らかにオメガに対する蔑視が含まれています。おそらく無意識のことでしょうが、婚活相手に対する配慮が足りません。』
「三日月さん‥‥」
ドキューン❥❥ってきた。三日月さんの指摘通りだったから。長い歴史の中で、オメガは世間の情勢を知ることを禁じられてきた。ただ番ったアルファに従う事のみを望まれた長い歴史がある。
今は是正されてオメガも自由になった。それでも積極的に世間の事を知ることは、はしたないとされている。それが歯がゆくも、結局その風潮に従う己がいる。
「なるほど‥‥三日月の指摘は正しいようだ。優斗さん、どうか顔を上げて下さい。私の言葉で貴方を傷つけた事をお詫びします」
「‥‥山崎さん」
「申し訳ない」
アルファがオメガに頭を下げる。そんな姿は見たこと無い。
「駄目です、山崎さん。オメガに頭を下げるなんて‥‥駄目です」
俺は山崎の腕を掴んで頭を上げるように促す。すると、山崎は顔を上げて真剣な表情で俺を見つめる。
「私はオメガに頭を下げたことがない。そのように教育されてきた。だが、貴方を喪うくらいなら‥‥頭くらい下げる。優斗さんを逃したくない。」
ズギューン❥❥❥ってきた。メガネのアルファが俺を欲してくれている。これは‥‥脈アリなんじゃないの?
その時だった。男の遠慮気味の咳払いが聞こえた。俺と山崎は同時に視線を向ける。
「サイゼリヤの店長の早乙女と申します。アルファさまにおかれましては、どのようなご用向きでのお立ち寄りでしょうか?」
なんか‥‥完全なる拒絶を感じる。
◆◆◆◆◆
5
お気に入りに追加
390
あなたにおすすめの小説
尊敬している先輩が王子のことを口説いていた話
天使の輪っか
BL
新米騎士として王宮に勤めるリクの教育係、レオ。
レオは若くして団長候補にもなっている有力団員である。
ある日、リクが王宮内を巡回していると、レオが第三王子であるハヤトを口説いているところに遭遇してしまった。
リクはこの事を墓まで持っていくことにしたのだが......?
オメガに転化したアルファ騎士は王の寵愛に戸惑う
hina
BL
国王を護るαの護衛騎士ルカは最近続く体調不良に悩まされていた。
それはビッチングによるものだった。
幼い頃から共に育ってきたαの国王イゼフといつからか身体の関係を持っていたが、それが原因とは思ってもみなかった。
国王から寵愛され戸惑うルカの行方は。
※不定期更新になります。
【完結】寝る前に自家発電して下半身丸出しのまま眠ってしまった俺が、朝起こしに来た幼なじみに美味しく頂かれてしまう話
ルコ
BL
「ん、んんっ?んあぁぁぁっ??!」
俺、須藤 芽生(すどう めい)16歳。
朝、目が覚めたらなにやら下半身(局部)が湿った温かい何かに包まれていて、しかも時折絡み付くように吸引されている?
ん~尋常じゃないほど気持ちいい・・・も、もしや、俺、フェラチオされちゃってる?!えっ、えっ??夢にまで見たフェラ初体験中??!
う~む、あり得ない。ならこれはやっぱり夢か?夢だよな??夢にまで見ちゃってるんだよ。て事は俺の欲望が反映されているはずで・・・なら、今俺のモノを咥えているのは、昨日寝る前に自家発電のおかずにしたエロ動画「せーえきごっくん♡まりあちゃん♡♡」のまりあちゃんだろ?!あぁ・・・まりあちゃんが俺のを・・・
そう思って目を開けると、俺のチンコを咥えていたのは幼なじみの瀬名 樹(せな いつき)だった。
ーーーーーーーーー
タイトルそのまんまです!
R18には*を付けます。て、ほぼ付いてますねw
三万字くらいの短編です(番外編を入れると四万字くらい?)。勢いだけで書きました。
婚約破棄に異議を唱えたら、王子殿下を抱くことになった件
雲丹はち
BL
双子の姉の替え玉として婚約者である王子殿下と1年間付き合ってきたエリック。
念願の婚約破棄を言い渡され、ようやっと自由を謳歌できると思っていたら、実は王子が叔父に体を狙われていることを知り……!?
絶滅危惧種の俺様王子に婚約を突きつけられた小物ですが
古森きり
BL
前世、腐男子サラリーマンである俺、ホノカ・ルトソーは”女は王族だけ”という特殊な異世界『ゼブンス・デェ・フェ』に転生した。
女と結婚し、女と子どもを残せるのは伯爵家以上の男だけ。
平民と伯爵家以下の男は、同家格の男と結婚してうなじを噛まれた側が子宮を体内で生成して子どもを産むように進化する。
そんな常識を聞いた時は「は?」と宇宙猫になった。
いや、だって、そんなことある?
あぶれたモブの運命が過酷すぎん?
――言いたいことはたくさんあるが、どうせモブなので流れに身を任せようと思っていたところ王女殿下の誕生日お披露目パーティーで第二王子エルン殿下にキスされてしまい――!
BLoveさん、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうに掲載。
騎士団長の俺が若返ってからみんながおかしい
雫谷 美月
BL
騎士団長である大柄のロイク・ゲッドは、王子の影武者「身代わり」として、魔術により若返り外見が少年に戻る。ロイクはいまでこそ男らしさあふれる大男だが、少年の頃は美少年だった。若返ったことにより、部下達にからかわれるが、副団長で幼馴染のテランス・イヴェールの態度もなんとなく余所余所しかった。
賊たちを返り討ちにした夜、野営地で酒に酔った部下達に裸にされる。そこに酒に酔ったテランスが助けに来たが様子がおかしい……
一途な副団長☓外見だけ少年に若返った団長
※ご都合主義です
※無理矢理な描写があります。
※他サイトからの転載dす
【完結】世界で一番嫌いな男と無理やり結婚させられました
華抹茶
BL
『神に愛された国』といわれるミスティエ王国。この国は魔術技術がこの世界で一番栄えていて、魔術師たち個々の能力も非常に高い。だがその中でもシルヴィック家とイスエンド家は別格で、この国の双璧と言われるほどの力量を持っていた。
だがこの二家はとにかく犬猿の仲で白魔術師団副団長ジョシュア・シルヴィックと、黒魔術師団副団長ヴァージル・イスエンドも例外なくとにかく仲が悪かった。
それがこの国の魔術師団全体に伝播し雰囲気は最悪だった。お陰で魔獣討伐でもミスが目立ち、それを他国に知られてしまいこの国は狙われることになる。
そんな時、ミスティエ王国の国王はとんでもない王命を発令した。
「ジョシュア・シルヴィックとヴァージル・イスエンドの婚姻を命ずる」
「は……? はぁぁぁぁ!? な、なんでこんな奴と結婚しなきゃいけないんだ!」
「なっ……! 僕だって嫌に決まってるだろう! お前みたいないけ好かない奴と結婚なんて死んだ方がマシだ!」
犬猿の仲である二人が結婚させられたことにより、その関係性は大きく変わっていく――
●全14話です。
●R18には※付けてます。
【完結】【R18BL】異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました
ちゃっぷす
BL
Ωである高戸圭吾はある日ストーカーだったβに殺されてしまう。目覚めたそこはαとβしか存在しない異世界だった。Ωの甘い香りに戸惑う無自覚αに圭吾は襲われる。そこへ駆けつけた貴族の兄弟、βエドガー、αスルトに拾われた圭吾は…。
「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」の本編です。
アカウント移行のため再投稿しました。
ベースそのままに加筆修正入っています。
※イチャラブ、3P、レイプ、♂×♀など、歪んだ性癖爆発してる作品です※
※倫理観など一切なし※
※アホエロ※
※ひたすら頭悪い※
※色気のないセックス描写※
※とんでも展開※
※それでもOKという許容範囲ガバガバの方はどうぞおいでくださいませ※
【圭吾シリーズ】
「異世界転移したオメガ、貴族兄弟に飼われることになりました」(本編)←イマココ
「極上オメガ、前世の恋人2人に今世も溺愛されています」(転生編)
「極上オメガ、いろいろあるけどなんだかんだで毎日楽しく過ごしてます」(イベントストーリー編)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる