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第37話 灰色女性のあそこ

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「パウル・ミュラー、俺のライカに何をした?」


アルフレッド・ノーマンが低い声を出し、ゆっくりとこちらに歩き出す。何だかアルフレッドの全身から、黒いオーラが漂っている様に見えるのだが気のせいだろうか?いや、ここはゲーム世界だ。こんな演出があったような、いやなかったかな。

とにかく、アルフレッドは凄く怒っているようだ。でも標的が、パウル・ミュラーのようで良かった。


「ま、待て!アルフレッド、俺は悪くない。何も悪くない!!」

「何が悪くないのかを説明してもらおうか、パウル・ミュラー。仮眠室に鍵を閉めて、俺の恋人であるライカ=ベラドンナを閉じ込めた。そして、部屋の中からライカの悲鳴が聞こえた。今、ライカは床に座り込んで涙目になっている。パウル・・説明をしろ。説明ができない事をライカにしたのならば、風紀委員としてお前を処罰する」

パウル・ミュラーは顔を引きつらせて必死に言い訳を始めた。

「だから、俺は悪くないんや!悪いのは、ライカの方や!!ライカはベッドに上るといきなり俺を誘惑するようなポーズを取った。そして『ぐりぐり』しろと俺に言ってきた。だが、俺ははっきりと嫌やと断った。そうだよな、ライカ?」
「ああ、うん。パウルに『ぐりぐり』して欲しいと頼んだけど断られたんだ。パウルはケチだよね。でも、パウルは『ぐりぐり』ならハッシュにしてもらえって言ったから、僕はそうする事にしたんだ」
「ああ、そうや。俺は、はっきりと断った!」
「でも急に気が変わったのか、パウルは僕の腕を掴んで胸に抱き寄せた。そして、突然『ぐりぐり』してきたんだ。すごく痛かったから、僕は悲鳴をあげちゃったってわけ」
「まて、ライカ!俺はお前を胸に抱き寄せてなんかいない。お前が勝手に、俺の胸に飛び込んできたんやろ!!」
「え、そうだっけ?」

それにしても『ぐりぐり』されたところがまだ痛い。床に座り込んだままパウル・ミュラーと言い合いをしていると、突然アルフレッド・ノーマンに抱き上げられた。しかも、また姫だっこだよ・・恥ずかしい。

「ライカ、正直に答えて欲しい」
「何、アルフレッド?」
「君の方から『ぐりぐり』して欲しいと、パウル・ミュラーに頼んだのか?」
「そうだけど、何?」
「・・ちなみに、どこを『ぐりぐり』して欲しいと頼んだんだ?肩かな?ライカは肩が凝っていたのかな?」
「肩なんて凝ってないよ。『ぐりぐり』の場所はちょっとはっきりしないけど、睾丸とアナルの中間くらいかな?」

アルフレッド・ノーマンの表情が固まった。パウル・ミュラーは両手で顔を覆っている。正直に語ったのに、そんな顔をしないで欲しい。アルフレットはぎこちなく表情を動かし、無理矢理笑顔を作った。だが、笑顔が引き攣っている。ものすごく不自然な笑顔だ。怖いんだけど、凄く怖いんだけど。

「つまり、ライカはパウルにそこを『ぐりぐり』してもらって・・前立腺への刺激を求めたという事なのかな?ライカ、君は俺と『恋人契約』を交わしている事を忘れないで欲しい。もしも、性欲がどうしようもなく高まった時には、次からは俺に相談して欲しい。『恋人契約』を交わした者として・・善処するつもりだ」

アルフレッドはどうやら酷い誤解をしているようだ。しかも善処するって・・どう善処するのだろう。とにかく、アルフレッドの誤解を解かなくてはいけない。

「僕は前立腺への刺激なんて求めてないよ。何言ってるの、アルフレッド??あのね、僕が知りたかったのは、女性の『あそこ』の位置なんだ。パウルが、男女の営みについての動画を見せてくれたんだけど、僕には女性の『あそこ』が良く見えなかったんだ。僕は近々童貞を捨てようと思っているんだ。だけど、挿入の位置が分からないと失敗しそうで怖いでしょ?だから、パウルに正確な女性の『あそこ』の位置を『ぐりぐり』して体感で覚えようとしたところ。わかった、アルフレッド?」

「童貞を捨てるだと!?」
「童貞を捨てるやと!?」

アルフレッドとパウルが同時に声をあげた。何だよ、僕が童貞を捨てようとしているが、そんなに意外な事なのか。将来、僕だって灰色女性と恋に落ちた可能性が全くないとは言い切れないはずだ。その時の為の対策を今から立てて何が悪い。

いざ、結婚を決めた灰色女性に挿入しようとして、『あそこ』の位置が分からず何度も挿入に失敗したらどうする。振られる。確実に灰色女性に振られる。男としてそれは嫌だ。それに、パウルやコックさんが言うように、灰色女性の胸がふにゅふにゅしているのかも確かめたい。

「パウルは男の人より女の人とのセックスする方が気持ちいいって力説していただろ?胸がふにゅーとしていて、挿入しながらもみもみすると、最高に気持ちが良いって言っていたよね?パウルは、エロ動画を見せながら何度も言ってたよね?そんなに気持ちが良いなら、僕も童貞を捨てようかなとちょっと思ったんだよ。そんな意外そうな反応しないでくれる?」
「ライカ、床に降ろすが平気か?」
「アルフレッド、全然平気だよ。それより、姫だっこは恥ずかしいからやめてもらいたいんだけど、アルフレッド」

「次からも姫抱っこだ、ライカ。それは恋人として譲れない。そして、今回の件では、お前には何の落ち度もないことが判明した。一瞬ライカを淫乱男なのかと疑ってしまった、すまない。無垢なライカは他人に洗脳されやすい事が、今回の件ではっきりとした。これからは、『恋人契約』を結んだ俺がライカへの性教育を行う。まずは『雄しべと雌しべ』の話から始めよう」
「雌しべと雄しべ・・」

僕とアルフレッドとの会話に噛みついたのはパウルだった。パウルは何を思ったのか、ベッドの上に飛び乗るといきなりM字開脚をした。その姿を見たアルフレッド・ノーマンの眉間に深いしわが入った。

「アルフレッド、騙されたらあかん!!ライカ=ベラドンナは、確実に淫乱男や!俺の姿を見ろ、アルフレッド!!ライカは俺の前でこんな格好をして俺に『ぐりぐり』を迫ったんやで?俺以外の男にこんな事やってたら、確実に凌辱されてたはずや!だから、アルフレッドは俺に感謝すべきーーーーーーぎゃぁああ!!」

パウル・ミュラーは、アルフレッド・ノーマンが繰り出した足蹴りを股間に喰らってベッドに沈没した。どうやら、気絶したようだ。申し訳ない、パウル。アルフレッドが怖すぎて、庇う事は出来なかった。



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