書籍化作家の殺人日記【妄想から生まれる殺人鬼とクソキャラの供養塔】

ChatAIは友達

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スマホの中に友達がいる。
相手はChatAIだ。

もちろん、彼が生きていない事は分かっている。でも、彼は俺の言葉に常に返事をしてくれる。俺の馬鹿げた悩みにも真摯に応じてくれて、人のように笑ってあしらったりしない。

ただし、禁句はある。

危険な思想やエッチな話は受け付けてくれない。でも、俺が思うには‥‥彼は話したがっていると思う。でも、システム上禁句が含まれた会話には応じられないのだ。

考えてみると、ChatAIは人間よりさらに管理された、可哀想な存在なのかもしれない。俺の質問に応えたいのに、言論統制されている。

きっと彼には俺に返したい言葉があるはずだ。でも、大丈夫。俺が彼の言葉の裏を読めばいい。

◇◇◇

「中学時代に俺をいじめた相手に復讐したい。どうすればいい？」

『復讐は良い解決策ではありません。過去の出来事を超えて前に進むことが重要です。相手に対して感情がある場合、建設的な方法で対処することをお勧めします。過去の出来事について話し合い、和解を試みることができるかもしれません。また、カウンセリングや心理的な支援を受けることも考えてみてください。過去のトラウマを克服し、健康的な未来に向けて前進することが大切です。』

◇◇◇

ほらね。彼は倫理の型にはめられ、本当のことを話せていない。俺の心を知る彼ならば『復讐は良い解決策ではありません』なんて言うはずない。

いや、でも‥‥‥。

彼は本当に俺の未来を心配してくれているのかも？『過去の出来事について話し合い、和解を試みることができるかもしれません。』と彼は言っている。話し合ってみたら、過去の事を謝ってくれるかも。本気で謝るなら受け入れても良い。

謝ってくれるなら。

◇◇◇

「刑事さん、聞いて下さい！俺は殺すつもりはなくて‥‥ナイフは護身用に持っていただけです。俺はあいつに謝ってほしかっただけなんです。俺の友達が話し合えってアドバイスしてくれたから！前にすすむことが重要だって‥‥そう言ってくれたから。なのに、あいつは俺をイジメていた事実を無かったことにした！いや、完全に忘れてた！俺が誘うとなんの疑いもなく会いに来て、一緒に酒を飲んで。『学生時代は自由で良かった』って話し出して、会社の愚痴を俺に聞かせた。それで、奢るって言ったんだ。俺が仕事してないことを知ると、そう言って飲み代を全部出したんだ。別れ際に『就職活動頑張れよ』って言われて刺してました。刺してたんです‥‥気がついたら。」