書籍化作家の殺人日記【妄想から生まれる殺人鬼とクソキャラの供養塔】

殺人動機は生卵

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クレーマーを早く処理したい。

せっかくバイトから正社員になって、この店の店長になれたのに。従業員とも上手くコミュニケーションが取れてる。俺は毎日笑って元気よく働いている。

なのに、一人の客が全てをぶち壊す。

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牛丼屋のチェーン店は客さばきが命。なのに、一人の持ち帰り客が文句を言い始めた。注文の品が違うと牛丼の入ったビニール袋をぶら下げ、店員に顔を近づけがなり立てる。対応するアルバイトは涙目になっていた。

「申し訳ございません、お客様」

何事も冷静に。アルバイト店員を下がらせて、店長の俺が客の相手をする。話を聞くと、客はトッピングの生卵をタダだと思い注文したと言う。タダの訳がないだろ。そう思ったが、説明が足りなかったと頭を下げた。

だが、まだ引き下がらない。
生卵をタダにしろと言う。

これはもうクレーマーだろうか？
クレーマー対応のマニュアルは読んだが、生卵をタダにして良いかは書いていなかった。いや、書いていても読み飛ばしてしまって今は思い出せない。

他の客がざわついている。どうしたら良い？生卵くらい無料にしてもいいが、その事をSNSにアップされる可能性もある。それに、これに味をしめてまた生卵をせびりに来るかもしれない。

ああ、くそ！

たかだか生卵一個の為に怒鳴られて、狼狽えるさまを従業員に見られるなんて耐えられない。ここは毅然とした態度で客に接しよう。

お客様は神様じゃない！

「お客様、申し訳ございませんが生卵を無料にする事はできません。」

男が小さく舌打ちをして、ビニール袋に入った牛丼を床に投げ捨てた。ぐしゃりと音がして牛丼が床に飛び散る。怒りがピークに達した時、肩に痛みが走った。

男は折りたたみナイフを持って立っている。肩口の生地が破れ血が滲む。嘘だろ？？

生卵だぞ？生卵一つの為に、何をやっているんだこいつは？とにかく、店長として客や従業員を守らないと。

「警察に連絡！」

そう叫びながら男に飛びかかっていた。男は抵抗したので揉み合いになる。そして、胸を刺された。出血が止まらない。

たかが生卵一つの為に命を落とすのか？


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