上 下
2 / 7

聖女は騎士を応援してます

しおりを挟む
◆◆◆◆◆

「うおぉーーーー、痛い!やべ、コナリーの奴、怪我を負ったな、ふぇ、たまらん!」

コナリー = オブライエンが、怪我を負ったに違いない。俺は夜中に目覚めて、ベッドでゴロゴロ転がった。

「マコト様、大丈夫ですか!」

「うー、大丈夫に見える?痛み止め入りのポーション頂戴。今すぐに、いてっ、」

「既にご用意しております。ですが、聖女様のお体に障りますから、これ以上はお出しできません。申し訳ありません」

従者のデイジーが、コップ一杯のポーションを差し出した。デイジーが泣きそうな顔をしていたので、頭を撫でる。すると、頬を赤く染めた。やめて、おっさんにそんな可愛い顔を見せてはいけない。男の子でもね。

「んっ、ごふ、不味い!」

俺はポーションを一気に飲み干した。不味いが、痛みがすぐに和らぐ。すると、コナリーから通信が入る。頭に声が響くから、何時も妙な気分になる。

『すまない、マコト。今、魔王と交戦中だ』
「まじか!?」
『だが、一度後退する。痛みは酷いか?』

「いやいや、戦闘に集中して。こっちは平気だから。とにかく、生命の泉に避難して」

魔王の間の近くには、幾つものHP回復場所が設置されている。

魔王戦で攻略対象者が命を落とすと、乙女ゲームが開始しても、その人物は死んだことになり登場しない。乙女ゲーム自体には、バッドエンドはほぼ存在しない。だが、魔王戦で死んじゃうと、事実上のバッドエンドとなる。

『今、回復の泉にたどり着いた』

「いちいち中継しなくても大丈夫だよ。でも、被害状況を聞いておこうかな?」

『怪我人は俺だけだ』
「ふむ、誰かを庇ったね?」
『ノーコメントだ』

「私は、コナリーの契約者だよ?君が命を落とすと、私は永遠の眠りにつく。再度目覚めるには、男のキスが欠かせないが、おっさんの私に誰がキスをする!絶対にしないだろ!だから、命を粗末にするな、コナリー」

『マコト、俺はお前が契約者で嬉しい。魔王討伐を終えた後は、すぐに婚姻を結びたいと思っている。その、マコトは処女だろうから、不安はあるだろうが、安心してほしい。俺も童貞だから、きっと婚姻生活は上手くいく!』

なんてチョロい乙女ゲームなんだ!?すでに、コナリーが俺に攻略されているではないか!

「バカを言うな!私は聖女だが、男だ。処女じゃない。さらに言うと、童貞ではない!風俗の優しい女性が、挿入に導いてくれた。気持ちよかった!」

『そんな、バカな!くそ、早く王城にもどり、マコトを確保しなくては!皆、準備はよいか?魔王を倒すぞ!』

「まてまて、もっと休んでから魔王討伐にいけよ!バカなのか、コナリー!」

通信が勝手に切れた。しばらくして、体に痛みが走った。

「うぎょーーー、ポーション大量にちょーだい!デイジー、デイジー、魔王とコナリーが交戦中だ!ぐほっ、魔王の攻撃を喰らった!HPガリガリされてるーーー!」

俺は気絶するまで、ポーションを飲み続けた。


◆◆◆◆◆◆
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界転移してΩになった俺(アラフォーリーマン)、庇護欲高めα騎士に身も心も溶かされる

ヨドミ
BL
もし生まれ変わったら、俺は思う存分甘やかされたい――。 アラフォーリーマン(社畜)である福沢裕介は、通勤途中、事故により異世界へ転移してしまう。 異世界ローリア王国皇太子の花嫁として召喚されたが、転移して早々、【災厄のΩ】と告げられ殺されそうになる。 【災厄のΩ】、それは複数のαを番にすることができるΩのことだった――。 αがハーレムを築くのが常識とされる異世界では、【災厄のΩ】は忌むべき存在。 負の烙印を押された裕介は、間一髪、銀髪のα騎士ジェイドに助けられ、彼の庇護のもと、騎士団施設で居候することに。 「αがΩを守るのは当然だ」とジェイドは裕介の世話を焼くようになって――。 庇護欲高め騎士(α)と甘やかされたいけどプライドが邪魔をして素直になれない中年リーマン(Ω)のすれ違いラブファンタジー。 ※Rシーンには♡マークをつけます。

ヤンデレ執着系イケメンのターゲットな訳ですが

街の頑張り屋さん
BL
執着系イケメンのターゲットな僕がなんとか逃げようとするも逃げられない そんなお話です

塩評判は当てにならない。

猫宮乾
BL
 腰を痛めた祖父の代わりに、家賃の回収に向かった僕は、ロベルトと出会う。なお、僕は就職先が騎士団に決まっているので、祖父が治るまでの臨時代理だ。ちなみに僕は第五騎士団だけど、噂によると第一騎士団の団長は塩対応で評判らしい。優しいロベルトとは全然違いそうだな、と、思っていたら――? ※異世界もの、平凡が溺愛されるお話です。

市川先生の大人の補習授業

夢咲まゆ
BL
笹野夏樹は運動全般が大嫌い。ついでに、体育教師の市川慶喜のことも嫌いだった。 ある日、体育の成績がふるわないからと、市川に放課後の補習に出るよう言われてしまう。 「苦手なことから逃げるな」と挑発された夏樹は、嫌いな教師のマンツーマンレッスンを受ける羽目になるのだが……。 ◎美麗表紙イラスト:ずーちゃ(@zuchaBC) ※「*」がついている回は性描写が含まれております。

【完結】地獄行きは確定、に加え ~地獄の王に溺愛されています~

墨尽(ぼくじん)
BL
地獄の長である獄主に、何故か溺愛されてしまった34歳おっさんのお話 死んで地獄に行きついた霧谷聡一朗(34)は、地獄の長である獄主の花嫁候補に選ばれてしまう 候補に選ばれる条件は一つ「罪深いこと」 候補者10人全員が極悪人の中、聡一朗だけは罪の匂いがしないと獄主から見放されてしまう 見放されたことを良いことに、聡一朗は滅多に味わえない地獄ライフを満喫 しかし世話役の鬼たちと楽しく過ごす中、獄主の態度が変わっていく 突然の友達宣言から、あれよあれよと聡一朗は囲い込まれていく 冷酷無表情の美形×34歳お人好し天然オジサン 笑ったことのない程の冷酷な獄主が、無自覚お人良しの聡一朗をあの手この手で溺愛するストーリーです。 コメディ要素多めですが、シリアスも有り ※完結しました 続編は【続】地獄行きは~ です

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

処理中です...