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◆◆◆◆◆
『ざまぁ!』と叫ぶダニエルの声を聞きながら、俺は大袈裟に背後にひっくり返った。
「うごぉーー頭がぁ~割れるーー!」
回復魔法師の攻撃など、俺ならば鮮やかに避けることは可能だ。だが、あえて俺はダニエルの魔法の杖を脳天に食らった。
非常に痛かった。めちゃくちゃ痛かった!
「ひー、死ぬぅ~ーダニエルに殺された!」
「待て、エトヴィン!『殺された』はないだろ?生きてるじゃないか!えー、死にそうなの?違うよね?ムキムキなエトヴィンの頭はムキムキだから、大丈夫だよね?」
ダニエルの奴、俺を脳筋だとゲスっているのか?いやいや、ここは弱々しくダニエルに助けを求める。
「ダニエル・・助けてくれ。死ぬかもしれない。うぐっ、死ぬ前に遺言を・・」
「えー、ちょっと待って。今、回復魔法をかけるから。エトヴィン、しっかりして!」
おバカさんのダニエルが、俺に駆け寄ってくる。うーん、やっぱりダニエルはおばかさんだよなぁ?こんな奴が、魔物と契約しているとは思えないのだが。
いやいや。こんなやつに限って、暗黒面があってもおかしくはない。しかし、飯屋の床に何時までも転がっているのは辛いな。油でぎとぎとしてやがる。
「エトヴィン、しっかりして!今から、回復魔法かけるからね」
「うう、ダニエル・・すまない」
全身が、あたたかくも優しい風が取り巻く。ダニエルの回復魔法だ。うーん、相変わらず気持ちいい。気持ちよくて、何故か下半身に勃起の気配を感じたが、今からダニエルを騙す・・謝るのに、おったっている場合ではない。
不意に、エアハルト = ローエンシュタインがダニエルに声をかけてきた。
「ダニエル、魔力耐性が落ちているのに・・回復魔法を使って大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫。自分の魔法からは影響を受けないから。なんだろうね?馬車酔いするけど、自分で馬を走らせたら酔わないって感じかな?この説明で分かった、エアハルト?」
ふむ?そういえば、ダニエルの魔力耐性・・確かに落ちてるな。何故だ?
「ダニエル、すまない。理解できなかった。だが、エトヴィンはわざと君の攻撃を受けたのだから、回復魔法をかけてやる必要はないよ」
ばれてた。
「そうだ、ダニエル君。彼は丈夫そうだから大丈夫だと思うよ。それより、君にバスターミナル牢獄の件で聞きたいことがある。こちらの席に戻っておいで」
ばれてた。
「はーい、ゲルトラウトさん!」
おい!ちょっと待て!あっさり、ゲルトラウトの言葉に従うな。まて、まて、まて!
◆◆◆◆◆◆
『ざまぁ!』と叫ぶダニエルの声を聞きながら、俺は大袈裟に背後にひっくり返った。
「うごぉーー頭がぁ~割れるーー!」
回復魔法師の攻撃など、俺ならば鮮やかに避けることは可能だ。だが、あえて俺はダニエルの魔法の杖を脳天に食らった。
非常に痛かった。めちゃくちゃ痛かった!
「ひー、死ぬぅ~ーダニエルに殺された!」
「待て、エトヴィン!『殺された』はないだろ?生きてるじゃないか!えー、死にそうなの?違うよね?ムキムキなエトヴィンの頭はムキムキだから、大丈夫だよね?」
ダニエルの奴、俺を脳筋だとゲスっているのか?いやいや、ここは弱々しくダニエルに助けを求める。
「ダニエル・・助けてくれ。死ぬかもしれない。うぐっ、死ぬ前に遺言を・・」
「えー、ちょっと待って。今、回復魔法をかけるから。エトヴィン、しっかりして!」
おバカさんのダニエルが、俺に駆け寄ってくる。うーん、やっぱりダニエルはおばかさんだよなぁ?こんな奴が、魔物と契約しているとは思えないのだが。
いやいや。こんなやつに限って、暗黒面があってもおかしくはない。しかし、飯屋の床に何時までも転がっているのは辛いな。油でぎとぎとしてやがる。
「エトヴィン、しっかりして!今から、回復魔法かけるからね」
「うう、ダニエル・・すまない」
全身が、あたたかくも優しい風が取り巻く。ダニエルの回復魔法だ。うーん、相変わらず気持ちいい。気持ちよくて、何故か下半身に勃起の気配を感じたが、今からダニエルを騙す・・謝るのに、おったっている場合ではない。
不意に、エアハルト = ローエンシュタインがダニエルに声をかけてきた。
「ダニエル、魔力耐性が落ちているのに・・回復魔法を使って大丈夫なのか?」
「ああ、大丈夫。自分の魔法からは影響を受けないから。なんだろうね?馬車酔いするけど、自分で馬を走らせたら酔わないって感じかな?この説明で分かった、エアハルト?」
ふむ?そういえば、ダニエルの魔力耐性・・確かに落ちてるな。何故だ?
「ダニエル、すまない。理解できなかった。だが、エトヴィンはわざと君の攻撃を受けたのだから、回復魔法をかけてやる必要はないよ」
ばれてた。
「そうだ、ダニエル君。彼は丈夫そうだから大丈夫だと思うよ。それより、君にバスターミナル牢獄の件で聞きたいことがある。こちらの席に戻っておいで」
ばれてた。
「はーい、ゲルトラウトさん!」
おい!ちょっと待て!あっさり、ゲルトラウトの言葉に従うな。まて、まて、まて!
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