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第22話 竜二さん下着はかせて?
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「あうっ!!」
背中。
めちゃ、痛かったーーーー!!
絶対に、今のはスタンガンだ。ビリってきたもの。ビリって。ああ、やっちゃったんだな。セックス中に、また僕は解離状態になったのかな?清一さんは、僕がセックス中に解離するのをすごく嫌がるからな。うーん、もう一回スタンガン来るかな?
「・・・・?」
あれ、二回目のスタンガンが来ないな。珍しいな。それに、何かが・・おかしい。何時もは、もっと息が詰まるぐらいに、ぎゅうぎゅう抱きしめて来るのに。なんだろ・・今の抱きしめ方はすごく心地いい。・・・あれ、やっぱり、二回目のスタンガンはないのかな??清一さんの顔を見ても大丈夫かな?怒られないかな?
「んん!?」
何故だ!!
今、僕を抱きしめているのは、清一さんじゃない・・竜二さんだ!!
んー、そうなると・・僕にスタンガンを押し当てたのは、竜二さんって事かな!?なるほど、竜二さんもセックス中にトリップされるのが嫌いなんだな。で、お仕置きされたと?竜二さん、がっつり清一さんの性癖を受け継いたんだな。やっぱり、親子だな。
いや、ちょっと待て・・思考がおかしい。
お仕置きするのは、清一であって・・その清一さんは、僕の誕生日に嫌がらせみたいに死んじゃったじゃないか!!なんでそんな重要な事を忘れてるんだ、僕は!!竜二さんは何時も優しく接してくれる、僕の大切な幼馴染だ。そんな彼が、穢れた僕とセックスするはずないよ。
なのに。なのに。竜二さんに抱きしめられている、僕の姿は下半身が裸だ。何故だ・・何故なんだ??いや、落ち着け。僕のあそこは、勃起していない!!それだけが救いだ。幼馴染に抱きしめられて、勃起してたら・・絶対、軽蔑されてた。とにかく、まず最初にすべきことは、下半身を何とかすることだ!!
「竜二さん、竜二さん。迷惑かけてごめんなさい。とにかく、ズボンを履くから。その見苦しくてごめんね。あれ・・下着がない!?」
「速水!?」
僕を胸に抱きしめる竜二が、目を大きく見開いて僕の顔を覗き込む。僕は顔を赤めながら、竜二に頼みごとをした。
「ごめん、竜二さん・・僕の下着が見当たらないんだけど、知らない?」
「速水・・解離状態から覚めたのか?それとも・・まだ解離状態か??」
やっぱり、僕は解離状態になっていたのか。でも、その前後の記憶がまだはっきりしない。僕って、本当に精神が弱い。まだ、現実逃避してる。何かきっかけが欲しい。
「お取込み中、すみませんね。速水さん、ほらあなたの下着とズボンですよ。『ムカデ男』があなたのアナルに指を突っ込んで楽しんでいる時に、速水さんが抵抗して全部脱げてしまったようです。ベッドから床に落ちていました。汚れてはいませんが、お嫌なら新しい下着を調達してきますが、どうします?」
「伍代、余計な事を速水に言うな!!」
僕の専属護衛の伍代さんが、僕の下着とズボンを持ってにっこりと微笑んでいた。何故か、反対の手には拳銃を握っている姿が、もはや、ファンタジーだ。でも、やっぱりここが現実世界だ。『ムカデ男』の言葉で、記憶が一気に蘇る。全く・・とんでもない目にあった。僕は深いため息をついて、伍代に語り掛けた。
「伍代さん・・色々思い出しました。とにかく、下着とズボンをください」
「そうですか。では、俺が履かせます。スタンガンで少し体が痺れているでしょ?速水さんが自分で履くより、俺が履かせた方が早いですから。もたもたと下半身丸出しで下着を履いている姿を、皆に見られるのは速水さんも嫌でしょ?それとも、性奴隷の速水さんなら、そんな姿を皆に見せても平気なのかな?」
「伍代、殺すぞ!!」
「竜二さん。僕の手に銃があることを忘れないでくださいね?私に銃を渡したのは、あなたの判断ミスです。それと、いい加減に組長の愛人を抱きしめるのはやめてもらえますか?速水さんも正気に戻ったようですし。もう竜二さんの保護は必要ないでしょ?・・ねえ、速水さん?」
なんだろ、竜二さんと伍代さんが険悪な雰囲気を部屋中にまき散らしている。でも、伍代さんに対して、少々不信感があったので、彼に下着を履かせてもらうのは躊躇われた。でも、自分で下着を履いたら伍代さんの指摘通り、かなり時間がかかりそうだ。スタンガンでまだ体が痺れてる。
「悪いけど、伍代さんは信用できない。僕が、アナル用スタンガンを廊下に投げ捨てた時・・伍代さん、もう廊下にいたでしょ?僕が、気が付かないとでも思いました?」
「あの時は、焦りました。いきなり扉が開いて、大人の玩具が飛んできましたから。咄嗟に身を隠したつもりでしたが、気が付かれてましたか。気が付いたなら、私に助けを求めればよかったものを」
「僕はあの時点で、あなたを信用できなかった。それだけです。そして、今もまだ不信感でいっぱいです。その下着とズボンを、竜二さんに渡してください。彼に履かせてもらいます」
僕の言葉に狼狽えたのは、竜二だった。
「お、俺が履かせるのか!?」
「え、駄目なの?じゃあ、時間かかりそうだけど、やっぱり自分で履くね・・」
「いや、待て。誤解だ。その、嬉しい。俺はお前に下着を履かせたい。ん、・・いや、今の言い方は変態みたいだ!!そうじゃなく、速水が俺を頼ってくれて、嬉しいって意味だからな?お前の下着を履かせるのが、嬉しいって意味じゃないから・・ほんとだぞ、速水!」
「竜二さん。その・・恥ずかしいので、早く履かせてください」
「ああ、任せろ!!」
「何ですか、この茶番劇?ああ、わかりましたよ。この役は、竜二さん譲ります。俺は竜二さんみたいに、男に下着を履かせて喜べる性癖はないので」
「黙ってろ、伍代」
伍代さんが僕の下着とズボンをベッドに投げ捨てると、スマホを取り出した。おそらく、電話の相手は清二さんだろう。なんて報告されるかな。伍代さん、結構意地悪だからなぁ・・心配だ。
「速水、ベッドに寝かせるからな」
「ん。履かせにくかったら言ってね。脚、開くから」
「・・あー、速水・・少し黙っていてくれないか」
「あ、ごめん。黙ってる」
僕はベッドに寝転ぶと、竜二に下着とズボンを履かせてもらった。うーん、もしかして、普通の人なら、何が何でも自分で下着やズボンを履こうとするものなのかな。僕の場合、ほとんど履かせてもらうのに抵抗が無いのだが。やはり、今でも僕は性奴隷の思考に縛られているって事かな。でも、せめて退行状態に陥ることは避けないと。退行状態の僕って、赤ちゃんみたいになるのかな・・恥ずかしい。
でも、今回僕が退行状態に陥ったのは、過去の記憶と重なって恐怖が増幅したためだろう。小学生だった『初物』の僕を三人の男が犯した。三人の大人が覆いかぶさって、僕は恐怖で震えあがっていた。その内の一人は『ムカデ男』で、あいつは『初物』の僕を犯した。痛かった、苦しかった。怖かった。
でも、もう大丈夫。
僕の囲い主の『清一』は死んだ。そして、初めて僕の体内を割り開いた『ムカデ男』も死んだ。部屋に飛び散った血液が、『ムカデ男』の死を物語っている。僕は『ムカデ男』の死を喜んでいる。あいつの死体を見たら笑い出してしまいそうだから、今は見ない事にした。僕は静かに目を瞑った。竜二さんに下着を履かせてもらっている状態で思考がうまくめぐるとは思えないが、『かさぶらんか』のオーナーとしてこの状況にどう対処すべきか考えることにした。
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